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愛と現実

レンを見守る事にしたギラ達。

とはいえ二人の関係に口を挟むのも野暮である。

少し見守ったらさっさと次にいこうとも考えていた。

そんなわけで夜にバーに潜入する事に。


「いらっしゃいませ…って子供はこんなところに来るものじゃありませんよ」

「失礼ですね、これでも大人ですよ」

「まあ本当なのさ、見た目は子供だけどね」

「そういう事だから気にしちゃ駄目よ」


レンもそれに少し驚きつつも席へと通してくれる。

そこで各々カクテルを頼む。


「どうぞ」

「ああ、助かる」

「夜のバーもいい雰囲気ですね」

「そうね、お酒が進むわ」


レンはテキパキと接客をこなしていた。

メラのためにお金を稼いでいるのも納得である。

ちなみに他のメンバーは大体が未成年なのでお留守番である。

今回はギラとソウとモレーアだけでバーに来ている。


「ふぅ、お酒は静かに飲むに限ります」

「ギラって本当におっさん臭い一面もあるね」

「これは流石にあれよね」


そうしてお酒が進む。

そんな中こっそりレンを見にいく事に。

ギラはこっそりスタッフの控室に潜入する。


「おや、レンさん、あなたもしかして」

「お客様!?」


そこでは休憩で服を少しはだけたレンがいた。

だが驚くのはそこではなく、レンが女だという事だ。

以前のエリスの一件でもそうだが、同性愛というのはあるものである。


「すみません、勝手に覗いてしまって」

「ええ、でも僕が女だって知って驚きましたか」


まあそこまで驚く事でもない。

メラの事は内緒にして少し話を聞く。


「僕には好きな人がいるんです、でも女同士って事もあって家に反対されて」

「それで飛び出してしまったと」


その好きな人はメラだろう。

だが二人の決意の堅さも同時に伝わってきた。


「それでミリストスまで逃げたんです、家には戻りません」

「別にいいと思いますよ、人を好きになるのに理由なんて必要ないです」


ギラらしい一言である。

ちなみにレンとメラは肉体関係も持っているという。

女同士ではあるものの、その愛は本物のようだ。


「僕達は確かに愛し合っている、でも世間の目はなかなかね」

「私も同じケースを過去に見ましたが、その二人は気にしてなかったですよ」


それは以前の結婚式への乱入騒動の事だ。

あのときの二人はお互いを純粋に愛していた。

その結果王女だったエリスはそれを捨て恋人と自由になったのだ。


「でも現実的に世間の目はあります、家からしたら同性愛なんて複雑だろうし」

「それが嫌で逃げたなら別にいいではないですか、それともその程度なんですか?」


それに対しレンは強く反論する。

だが世間の目はどうしても厳しいのだ。


「世間の目なんて気にしたら負けですよ、思う存分イチャコラしていいのに」

「あなたは不思議な人ですね、そういう事にとても前向きで」


ギラとしても百合の二次創作やアニメ、漫画などは腐るほど見ている。

なのでそれは気にするような事でもないのだ。


「なので思う存分イチャつけばいい、この愛を見せつければいいかと」

「ははっ、まあそうもいかないけど少しは楽になったよ」


そうして休憩を終えレンは仕事に戻る。

ギラも何食わぬ顔で席に戻る。


「その様子だと上手く潜入出来たみたいね」

「ギラも人が悪いね、全く」

「ふふ、でも愛っていいですね、私がそれを渇望しているだけに」


愛を渇望するというギラ。

それは過去にあった事からの感情でもある。

愛する者に裏切られた事がその愛を渇望させる。


魔王になる事を選んだ過去。

それは愛も信頼も居場所も奪われた事からの反動でもあった。

その結果ギラは心の底では愛や友情に飢えているのかもしれない。


今の冒険はとても楽しく満たされている。

それは空虚なギラの心を少しは満たしていた。

愛や友情に裏切られたからこそ、今が楽しくもある。


そうしてレンは安心だと判断し、次の目的を探すのである。

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