恋人の失踪
シスターリアは国に保護される事となった。
大地の骨の事も徐々に解明されていくだろう。
ギラ達は冒険者ギルドで依頼でも受けるべく街を歩いていた。
そんな中人探しをしている少女に出会う。
「ふぁ、眠いですね」
「ギラは相変わらず怠惰の塊みたいな」
「まあそれがギラ様ですし」
「もう慣れたのです」
すると街頭で呼びかけをしている少女が目に留まる。
孤児院の事とは無関係そうなので、声をかけてみる。
「そこの子、少し構わないか」
「私ですか?えっと、皆さんは…」
「呼びかけって事は人探しですか?」
「誰かを探しているようにも見えまして」
それに対し少女は、恋人が失踪したと言う。
昨日まで一緒にいたのに、突然置き手紙を残して消えたそうだ。
とはいえ金品などを持ち逃げされた様子はなかったという。
それでどうしても気になり探しているのだそうだ。
「なるほど、それで恋人の捜索を」
「どこに行ったとか手がかりはあるんですか?」
「えっと…分かりません」
「それならアタシ達が協力してやろうか?」
ソウが協力を申し出る。
どうせ今さらなのでギラ達も異論はない。
「でも…悪いです」
「こっちもどうせ暇なんですよ、なので何も問題はありません」
「はい、暇を弄んでいましたから」
「なので無問題なのですっ」
それに対して少女は、それならと協力を申し出る。
「そういや名前を聞いてなかったね」
「えっと、メラです、恋人の名前はレンって言います」
「メラさんですね、それでそのレンさんを探すと」
「でもどこへ行ったというんですの?」
メラはレンの家が厳しい家だと知っている。
それでもその想いを我慢出来なかったという。
そうして告白して二人で逃げるように同棲していたそうな。
「ふむ、まあとりあえず探すだけ探してみるよ」
「お願いします、私の方でも探しますから、あとこれが写真です」
「どうも、それでは探してきますね」
「何かあったら連絡するので」
そうしてメラと別れ、レンの捜索をする事に。
とはいえ情報もないので、どうするかと考える。
「おや?ギラ達じゃない、何してるの?」
「あなたは確か…メノウさんでしたっけ」
「一応訊いてみる?」
「まあ駄目元で訊いてみるのもいいだろう」
そうしてメノウに事情を説明する。
するとミッドハークでそれっぽい人を見たらしい。
その人は宝石屋で指輪を見ていたという。
「なるほど、でもそれ以降は分かりませんよね」
「うん、でもお金が必要みたいな事は聞いたから」
「お金が必要ですか、だとしたらどこかで働いている?」
「冒険者って感じはしないし、だとしたら仕事でも探したか」
メノウもそれ以上は知らないそうだ。
とはいえ少しでもヒントが得られたのは何よりである。
「私は次の秘境が待ってるから行くね、ギラ達も無理はしないんだよ」
「さて、ミッドハークですか」
「でも指輪って事は…」
「結婚ですねっ」
まあそれはさておき、そうだとしたら口を挟むのも野暮だと感じる。
メラには上手く口裏を合わせてレンが帰るのを待つのが得策か。
とはいえ指輪も安い買い物ではない。
それを買うとしたら短くても一ヶ月は必要だろう。
ギラ達はそれを確認すべくミッドハークに飛ぶ事にした。
メラには内緒にしつつ、そのままミッドハークへ。
ミッドハークでその宝石商にレンが来ていたという確認を取った。
そのまま働いていそうな店を当たる。
するとバーでレンが働いているという情報を得る。
主に夜の仕事だが給金が弾むという事で、その仕事を選んだそうだ。
その日の夜にその事は内緒にしつつバーでそれを確認する。
そこには美しい中性的な美男子が必死に働いていた。
それがレンだそうで、ギラ達も事情を黙ったまま見守る。
メラにも上手く言ってあるので無問題だ。
そうしてギラ達のレンとメラの愛の応援が始まるのだった。