シスターの行方
孤児院の子供からシスターの捜索を引き受けたギラ達。
食材の発注をしてそこから行方が知れなくなったという。
何者かに誘拐されたか、それとも意図的な失踪か。
ギラ達はそんなシスターの目撃情報を集める。
「駄目ですね、あれ以降の目撃情報はありません」
「うーん…ミリストスから出たとかでしょうか」
「だとしたらどこへ行ったのさ?自分から消えたって言うのか」
「分かりませんわね、何か裏でもあるとか?」
そうして情報を集めていると思わぬ情報を得る。
それは返り血らしきものに濡れているシスターだった。
「その人がシスターリア?」
「でもそうだとしたらなんで返り血なんて浴びてるのよ」
「人を殺したからじゃないですか?」
「仮にそうだとしたら一気にきな臭くなるな」
だがそれでもその情報を信じ目撃情報を辿る。
するとあの男に遭遇する。
「おや、また会ったね」
「ブルクハルトさん、そうだ、何か知ってるかもしれませんよ」
「商人ですし情報には通じてそうですわね」
「一応訊いてみるのです」
とりあえずブルクハルトにシスターリアについて訊いてみる。
「ふむ、孤児院のシスターの失踪、それについてなんでもいいから知らないかと」
「ええ、情報には通じてそうですから」
ブルクハルトは少し考えた後何かを思い出す。
「そういえば孤児院は経営が不安定とは聞いたね、その関係で裏の仕事もしているとか」
「裏の仕事ですか?」
ブルクハルト曰くその孤児院の子供達は隙がなかったという。
つまり何者かに訓練されている可能性があるそうだ。
経営が不安定というのに潰されない事もあり、どうにもきな臭いという。
「まさか孤児院で孤児に暗殺でも仕込んでるとか?」
「だとしたらシャレになりませんわ」
「私も詳しくは知らないが、その孤児院はどうにも怪しいと思っていてね」
「そのシスターも暗殺技術を持ってる、とか」
返り血らしきものに濡れていたシスター。
隙のない子供達。
やはり何か危険なものを感じる。
「なんにしても警戒はしておくべきだね、あの孤児院には確実に何かある」
「ええ、覚えておきます」
「でも行き先が分からないんじゃ…」
ブルクハルト曰くお金に困る場合もあったのなら、金に関係する何かとも言う。
金貸しなどは表に出ないだけで裏で商売はしているのだそうだ。
「とりあえず四日前ならその四日間のニュースでも洗い出せばいい」
「それもそうですね、少しやってみます」
「裏の仕事にはそういうのもありますのね」
とりあえず自分に助言出来るのはここまでらしい。
感謝の意は述べ、ブルクハルトも商売があるのでその場を去っていく。
「とりあえずニュースを洗うか、図書館に行けば古い新聞もあるはずだよ」
「情報を調べれば何かあるかもしれませんしね」
「でもブルクハルトの言ってた事も気になるな」
それは隙がないという子供の話。
金に困る事もあるのに、潰されない謎。
それはつまり何かしらの収入がある事を意味する。
金があるときはきちんと支払っている。
仕事が舞い込まなければ、当然その土地代は払えない。
とりあえず人間関係も調べてみる事にした。
「だけどやっぱり引っかかる、孤児院で暗殺者でも育成してるのか?」
「そこは僕も引っかかってますね、シスターリアが返り血を浴びてるなら」
「やっぱり誰かを襲った、それか殺したですか」
「服に返り血がつくなんてそれぐらいしかないですわよね」
なんにしてもきな臭さは強い。
シスターリアはどこへ消えたのか。
この四日間の間に何があったのか。
ギラ達はそんな謎について考える。
失踪した理由、目撃された血を浴びたシスター。
それらは孤児院という組織の思わぬ顔を見せる。
シスターの行方は分からない。
だがその足跡を辿れば何かが分かると信じる事にした。
孤児院の闇、それはその裏にある事情も関係していそうである。