御前試合を終えて
御前試合は無事に幕を閉じた。
優勝者のハルミとペトラには国よりその栄誉が讃えられた。
とはいえ二人ともそれには関心は特になかった様子。
そして今後はどうするかとも考える。
「さて、今後はどうしますか?」
「なにか面白い事とかないですかね」
「面白い事ねぇ、冒険とかそういうのか?」
「まあ僕達は一応冒険者なんですけどね」
そうして今後を考えつつ街をぶらつく。
すると街の鍛冶屋の前で何かを見る。
「ん?鍛冶屋…でも閉まってますね」
「入ってみます?」
「新装開店というわけでもなさそうだな」
「一応入ってみましょ」
そうして鍛冶屋に入るギラ達。
中は静かで人の姿は見当たらない。
「人はいませんね」
「留守か?でも仕事場は使ってあるような感じはするね」
「つまり人がいるのは確かなのかな」
「うーん、どういう事なんですか?」
すると後ろから声がする。
「あれ、お客さんですか?」
「あんたは…ここの店主か?」
「どう見てもそんな感じですよね」
「えっと、どちら様かしら」
鍛冶屋と思われる女性はここで働いていたが今は休業しているという。
そしてギラ達に冒険者ならと依頼を頼んできた。
「えっと、私はエルミーって言います、みなさんが冒険者なら頼みたい事が」
「頼みたい事?一応聞くが内容次第だよ」
エルミーは頼み事を話してくれる。
「えっと、ある幻の金属を探してるんです、それを探してきてもらえませんか」
「幻の金属?それってオリハルコンとかそういう手のものですか?」
「そういえば過去にウルゲントの地下坑道でそんなもの見つけてましたよね」
「それとは別なのですか?」
エルミーが言うにはその金属は特定の条件でのみ生まれるという。
それの鉱石を採取して欲しいというのが頼み事だ。
「その金属はコルド鉱石って言います、寒い環境でのみ生まれるとか」
「コルド鉱石…初めて聞く名前ですね」
「寒い環境か、まあそういう土地は知っているが」
「本当に採れるのかが問題ですよね」
エルミーはその金属を採ってきてくれたら相応のお礼はするという。
もちろん断ってくれて構わないとも言う。
「まあ構わないか、私としても興味がある、引き受けるよ」
「私も異論はないです」
「ギラがそういうなら総意って事かね、そんじゃ引き受けるよ」
「感謝します、ただ私も何処で採れるかが分からなくて」
とりあえずそれなら情報集めからになる。
ギラ達はそれを引き受け情報集めに向かう。
「見つけたらここに持ってきてくださいね」
「分かりました、では少し時間はかかりそうですが、行ってきますね」
そうして鍛冶屋を出る。
「それで情報が得られそうなのは…」
「バドカだろうね、あそこなら多様な情報が揃ってる」
「ならバドカに行ってみますか」
「ですっ、それがよさそうです」
そうしてギラ達はバドカに向かうべく街を出る。
だが街を出るとどこかで見た連中が待ち伏せていた。
「見つけたぞ、ギラ…」
「どちら様です?覆面で顔が分からないと知り合いかは分かりませんよ」
「この覆面、大地の骨ですね」
「あの暗殺集団の?ギラってば何をしたの?」
彼らは大地の骨の残党だ。
デリーラの敵と称してギラ達に復讐にきたのだろう。
「貴様は我らが偉大なる首領、デリーラ様の敵だ、今後は貴様を必ずや殺してみせる」
「ここでは襲わないんですね」
彼らも流儀があるのだろう。
とはいえその目は殺意に満ち溢れていた。
「今後は全力で貴様を殺しにいく、寝れると思うなよ」
「はぁ、ストーカーですか、別に構いませんよ?襲ってきたら返り討ちにしますし」
「相変わらずの喧嘩腰なんですから」
そうして大地の骨の残党は宣戦布告をして去っていった。
今後はどこで襲われるか分からないだろう。
警戒だけはしておく事にする。
とりあえずギラ達はコルド鉱石の情報を求めバドカへと飛ぶのだった。