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剣が奏でる舞曲

御前試合シングル戦の決勝当日。

ハルミはその胸を大いに高鳴らせていた。

ギラ達もそれに対し、勝ってこいと発破をかける。

そうして二つの剣はここに激突するのである。


「さて、決勝って事もあって緊張感あるね」

「大番狂わせとも言えるボタンという侍、当然ですよ」

「ハルミさんは彼女に本当に勝てますの?」

「それはどうだかね、本気を出せば別かも知れないが」


そうしているうちに試合場に二人が姿を見せる。

そして二人は一礼をする。


「さて、どうなりますか」

「ハルミさん…負けないで欲しいですね」

「勝つって信じるんですっ」

「ハルミに限って簡単に負けるとも思えないしね」


そして試合開始が告げられる。

二人は互いにその様子を窺う。

先に動いたのはボタンだった。


「っ!?」

「ふむ、うちの剣を受け止める程度にはやれますな?」


その一撃は速度に特化した剣士のそれとは思えないほどの重さだった。

まさに力と速度を両立させる反則級の剣である。


「とはいえ、手を抜いて勝てると思わんといてもらえます?」

「そうだね、私も手は抜けないかな、少しずつ慣らす、それだけ」


だがボタンは慣らす時間すら与えまいと怒涛の攻めを見せる。

それは今までの試合とは違う、待ちの戦法ではなく攻めの戦法だった。


「ほらほら!反撃してみんさい!それとも、その刀ごとへし折られたいどす?」

「やっぱりこのままじゃ駄目か、仕方ないね、また腕を壊す覚悟でやろうか」


ハルミが腕を下ろした。

そして今までに見せた事のない構えを取る。


「少しはやる気になったようどすなぁ、それでこそうちの見込んだ相手、高鳴りますえ」

「ふふ、私もこの構えはまさかまた使うとは思わなくてね、でもリミッターは外したよ」


それを見たギラとソウはハルミが明らかに本気になったのだと確信する。

ここからは瞬きすら許されない異次元の戦いが始まる。


「ほな、見せてみんさい!」

「そうだね、それじゃ…やろうかな!!」


ボタンの居合をハルミは正面から弾き返す。

そしてそのまま踏み込み鋭い斬撃がボタンを襲う。


「っ!?どうやらただ構えを変えただけじゃなさそうどすなぁ」

「ふふ、本気にさせたんだからさ、少しは抵抗してみせてよね!」


ハルミの剣はボタンを圧倒している。

今までとは違う明らかな形勢逆転だ。


「あんさん、何者どす!?構えを変えただけでそうも変わるものどすか!?」

「語るのは勝負のあと、少しは楽しませてよ、逃げちゃ駄目だよ!!」


ハルミの攻めはさらに加速していく。

ボタンは完全に防戦一方になっていた。

だがボタンもそれに負けるほど甘くはない。


「うちを…甘く見んといてもらえます!!」

「おっと、要するにそういう事ね」


ハルミはボタンの神速の居合を流れるように回避する。

そのまま反撃の切り込みに移り距離を詰めつつ一気に攻め立てる。


「まさに…清流、うちが圧倒されるとは、そうでないと面白くないどすなぁ!!」

「うふふ、私の剣の真髄、それは回避と攻めを一体化させた事だよ」


ボタンの斬撃の嵐もものの見事に回避する。

それを見ていたギラ達は度肝を抜かれていた。

これがリミッターを外したハルミの剣なのだと、その凄さを思い知っていた。


「ならば、その流れすらも断ち切って差し上げますえ!」

「清流は時として激流に…その一挙手一投足、全部をぶつける!!」


今までは清流だったハルミの剣は一瞬にして激流に変わる。

その激流はボタンを一気に飲み込んでいった。

激流と化したハルミの剣がボタンを地に伏せさせる。

その瞬間勝負は決まった、審判はハルミの勝利を宣告する。

会場は鳴り止まんばかりの爆音のような歓声に包まれた。


シングル戦決勝、ハルミの剣はそのリミッターを外した七分間だった。

次は複数戦、ペトラが出撃する。

一日間を置いて明後日に複数戦は開始予定だ。


ハルミの静と動の剣は見る者を圧倒したのである。

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