ハルミ出陣
次の日になり、本日は御前試合の第二ブロックの試合だ。
ハルミの出番は第一試合の最終戦からになる。
ハルミは先に試合のために会場入りしている。
ギラ達もそれを応援すべく会場へとやってきた。
「さて、そろそろ始まりそうですね」
「ですね、ハルミさんは最終戦から出陣になります」
「ま、あの子は下手な剣士よりは強い、信じてやろうさ」
「ですわね、負けたら許しませんわ」
そうして第一試合が始まる。
今回も試合は白熱し、勝者はウィリーになった。
「順調ですね」
「ああ、勝ち進んでる選手はそれなりのレベルはある」
「燃え滾るぜぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」
「メーヌは完全にスイッチ入ってるね」
そうこうしているうちにハルミの初陣になる。
「さてっと、よろしくお願いします」
「ああ、こちらこそよろしく頼むよ」
カードはハルミとルナ。
その試合が始まった。
「とりあえず先手必勝だ!」
「せっかちだなぁ、でもね、私の剣を教えてあげる」
先手を仕掛けたルナの攻撃を受け流しそのまま反撃に転じる。
それはまさに清流の如き剣術だった。
「まさか…この…あたしが…」
「ナムサンっと」
何が起こったのか理解するまで少しかかった。
ハルミが受け流しつつ反撃を当てると、ルナが倒れた。
その一瞬の出来事に観客は大いに沸き立つ。
「ハルミさん…何をしましたの…」
「あれは恐らく回避しつつそのまま反撃しましたね、そして一撃は確実に当てた」
「それも人の体の中でも対応が困難と言われる場所ですっ」
「はぁ~、ハルミってあんな器用な真似が出来たのかね」
そうして試合はどんどん進む。
ハルミの第二戦の相手はジャクソンだ。
当然それも軽く勝ち進んでしまう。
それを見たギラ達はハルミの潜在能力に驚くしかなかった。
「あの子本当に一般人なのかね」
「怪我を庇っている…割には強すぎますわ」
「いえ、怪我は庇っていますよ、ただそれでも実力は発揮しています」
「凄いのです、感動なのです」
そうしているうちに第三戦に試合は進む。
そっちも試合は順調に消化されていく。
そしてハルミの第三戦の試合、レアードとの戦いが始まる。
「さてっと、ここも軽く突破しちゃおうかな」
「私にそう簡単に勝てると思わないでいただこう」
審判の合図と共に試合が始まる。
レアードは今までの試合から当然警戒して攻めてくる。
だがハルミの判断はこちらから攻める事。
剣道をやっていた事もありその一瞬の判断と対応には定評がある。
ハルミのフェイントに見事にレアードが釣られてしまう。
そのまま脇に一撃を叩き込みレアードは地に伏せ、ハルミの勝ちとなる。
「あの子やっぱり只者じゃないのは確定じゃないか」
「ええ、フェイントから脇への一撃、それも速度が凄かったですわ」
「まさに刹那の一撃ですっ」
「あれを見せられると今までの事は謝らなきゃいけないですよね」
そうしてハルミは決勝に進む。
決勝の相手は第二試合から勝ち上がってきたメヒアだ。
「さて、決勝が始まりますか」
「あの様子ならすんなり勝っちゃいそうですっ」
「でも決勝まで残ったからには簡単な相手じゃないだろうね」
「それでも彼女は勝つさ、今までの試合を見ればそれを確信もする」
決勝が始まった。
メヒアは鈍重ながらも攻撃の速度が速い。
当然一撃も重いという事になる。
「攻撃が速いとなると、迂闊にリーチには踏み込めないなぁ」
「来ないなら、こっちから行かせてもらう!」
メヒアが先手を仕掛ける。
だがギラはそのときにハルミが小さく笑ったのを見逃さなかった。
そして気づいたときにはメヒアが倒れていた。
観客も何が起こったのか困惑するその一瞬。
それを理解していたのはギラ達だけだった。
そうしてハルミの第二ブロックの優勝が決まる。
数秒の静寂の後大歓声が沸き起こる。
こうして第二ブロックの試合が終わる。
次は最後の試合への切符を懸け第一ブロックの優勝者との試合だ。
ハルミの剣にギラ達は驚くしかなかったのである。