表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/240

死神は嗤う

王都ゾルゾーラに到着したギラ達。

とりあえず通行証の発行手続きをしてもらいに向かう。

通行証の発行は城にある事務局に行けばいいらしい。


「さて、さっさと通行証の手続きを済ませないと」

「ですね、でも待ちそうですよ?」

「発行だけで数日でしたよね?」

「まあ仕方ないですよ、王都観光でもして時間を潰すしか」


とりあえず王城へ向かう事に。

王城は観光も出来るようになっていて、観光名所でもある。

一部の場所を除き城内は自由に見て回る事が可能だ。

役所も兼ねているので当然と言えば当然ではある。


「次にお待ちの方、どうぞ!」


行列に並ぶ事もなくあっさり呼ばれる。

手続きを済ませるついでにこの人の少なさについても訊いてみた。


「書類はこれでいいんですよね、あとなんでこんな人が少ないんですか?」

「その事ですか、実は暗殺者が街に入り込んでいるらしく警戒しているんですよ」


その暗殺者とは大地の骨だろう。

王都に向かう途中に商人から聞いたのは本当のようだ。

流石に真っ昼間から騒ぎを起こすとも思えない。

とはいえギラはドス黒い炎が燃えるほどにその感情を昂ぶらせていた。


「分かりました、それで発行まで何日必要ですか?」

「三日もあれば用意出来ると思います、記載された宿に連絡しますので」


この世界では近代的な携帯端末も一般に浸透している。

とはいえギラはそれを未所持なので連絡先は宿屋を書いておいた。

今は警戒中なので人も少なかったのが幸いだろう。


そうして手続きを終えたギラ達は一旦宿へ向かい今後についても相談する。


「さて、隣国のアルセイムに行ってからは少し冒険者の仕事でもしたいですね」

「まあ国境を行き来出来れば何かと捗りますしね」

「行動範囲を広げるのが今は先ですっ、そうすれば何かと出来ますよ」

「ですね、僕もそれに賛成です」


とりあえずはギラの計画も行動範囲を広げてからになるだろう。

それを確認し通行証の発行までは自由にする事で決まった。

各自自由という事で街に繰り出す事に。


「ふぁ、王都は賑やかですね、少し耳障りです」

「あはは、ギラさんは静かなのがお好きなんですね」


ギラはリックと一緒に行動していた。

商店街の方に来ているのだが、どうにもギラは落ち着かないらしい。


「と、とりあえず何か食べません?」

「そうですね、何か辛いものでも食べたいです」


ギラは超がつくほどの辛党である。

とはいえ甘いものも嫌いではないので、好き嫌いはあるが好みは広い。

小洒落たカフェに入ろうとすると店の中から怒鳴り声が聞こえた。

ギラ達は店の中に入ってみる事に。


「お金を払うなんて知らなかったんです!」

「そんな嘘で誤魔化されると思うなよ!」


そこにいたのは美人のお姉さんだった。

どうやら無銭飲食らしい。

そこにリックが助け舟を出す事に。


「あの、なら僕が払います、これを」

「はぁ、この人達に感謝しろよ、次からはちゃんと金を払えよな」


なんとかその場を乗り切る二人。

そのお姉さんは世間知らずなのだろうか?


「ありがとう、助かっちゃったわ」

「それにしてもお金を知らないとでも?そんなヴァカが本当にいたとは驚きました」

「ま、まあまあ…」


そのお姉さんはリック達に予定を訊いてきた。

通行証が発行されるまでは滞在すると答える。


「ふーん、なら明日も会えない?場所はここの外でいいわよ」

「まあ別に構いませんけど、私達と何かしても何もないと思いますけどね」

「あはは、僕は構いませんよ、では明日の何時ぐらいに?」


時間の確認をする。

そのお姉さんは何かとあるのか、正午頃に指定してきた。

ギラは恐らくどこかから抜け出した王族か貴族だろうと思っていた。


「それじゃ明日の正午にね、それじゃ私は行くわ、約束よ!」


そう言ってそのお姉さんは人混みに消えていった。

正体が気になるところではあるが、とりあえずは明日に再び会う事に。

結局食事は出来ずにそのまま再度散策に戻る。

そうして今日は夜になりそのまま休む事に。


「さて」

「ギラ様?どこか行くんですか?」


ギラは夜遅くに外出するようだ。

行き先はあえて言わないでおく。


「…分かりました、ではお気をつけて」

「ええ、それでは少し行ってきます」


そう言ってギラは一人で夜の街へ。

そしてギラが向かったのは街外れの裏路地だ。

目的はというと…。


「さて、ずっと見てたんですよね?」

「ククク、流石に感づいていたか」


出てきたのはお馴染みの覆面。

ギラは呆れたように大きな溜息をする。

そして覆面は言葉を続ける。


「貴様は頭領に醜態を晒させた、それは死罪にも値する」

「だからなんですか?あなた達あのイカレポンチに心酔でもしてるんですか?」


その言葉に覆面は激昂する。

頭領、デリーラを馬鹿にされたからだ。


「頭領を侮辱する事は許さん!その侮辱には死を以て償ってもらう!」

「…分かりました、ではあなたをこの場でブチ殺せば解決しますね」


双方ともやる気満々だ。

覆面は先手必勝と言わんばかりに斬りかかってくる。


「ふぅ、血気盛んですねぇ、暗殺者なら少しは冷静になったらどうです?」

「黙れ!頭領を侮辱され冷静でなどいられるか!」


ギラは大地の骨というものが暗殺者には不向きだと改めて感じる。

感情をむき出しにしている時点で暗殺者としては普通なら失格である。

面倒になったギラはさっさと終わらせる事にした。

斬りかかる覆面を掴み取り地面に叩きつける。


「ぐっ!?」

「ふふふ、しょっぱいですねぇ、暗殺者なのに動きがバレバレなんですよ」


覆面は必死にその手を解こうとするが、あり得ないほどの力で押さえつけられていた。

そしてギラはその悪魔の笑みを覗かせる。


「ひっ!?き、貴様…なに…」

「いい声で泣いてくださいよ、絶望に染まった声で…泣いてください!」


覆面はその恐怖に逃げようと必死になる。

だが逃げる事など出来ずにその首を凄まじい力で締め上げられる。


「が、あぁっ…たす…け…たす…け…」

「あははっ!その内臓をぶちまけてくださいよ!醜く血で染まったその内臓を!」


ギラの手が覆面の腹を貫く。

そのまま心臓を鷲掴みにして引きちぎり握り潰した。

覆面はそのまま絶命し、その場に無残な死体となって捨てられる。


「大地の骨、私に喧嘩を売った事、後悔させてあげますよ…あはははははっ!!」


誰もいない夜の裏路地に響く声、それはまさに死神の嗤いだった。

血を魔法で洗い宿に戻る。

メーヌと翠はそんなギラをそれでも信じていた。

リックには内緒にしておこう、それは三人だけの秘密だ。


翌日裏路地で無残に惨殺された死体が発見され騒ぎになっていた。

そんなのは知らんとばかりに、ギラ達は通行証の発行まで滞在を続ける。


大地の骨は完全にギラの逆鱗に触れた、奴らはその炎に焼かれる事になろう…。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ