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別れは突然に

ミリストスに戻ったギラ達。

屋敷に戻ろうとすると何やら騒がしいものに遭遇する。

それは屋敷の方からのようで、ギラ達はそっちへ向かう。

屋敷の前は何やら黒服達が数人集まり何かの仕事をしていた。


「あの、何かあったんですか?」

「この屋敷に用なんですけど…」

「ん?あなた達はもしかしてギラ殿とそのご一行ですか」

「ええ、そうですが」


その言葉に黒服は神妙な顔をする。

そして昨夜の話を始める。


「昨夜、アヌシス様とキスカ様がお亡くなりになられました」

「そんな…嘘…ですよね…」

「その遺体などはあるんですか?」

「せめてその顔だけでも見ておきたい」


黒服はその遺体のある場所へと連れていってくれた。

そこで見たのはアヌシスのあまりにも衝撃的な姿だった。


「これは…どういう…事なんだ…」

「アヌシス様は体を機械化されており、下半身を失っていたのです」

「つまり布団から出なかったのって…」

「動けないというのではなく、動く事そのものが出来なかったか」


そしてキスカの方も対面させてくれる。


「彼女は…外傷なんかはないっぽいが?」

「彼女は自らの動力を停止させて亡くなりました、つまりメイドロボというものです」

「そんな…二人ともそんな秘密が…でも、こんなのって…」

「私達は竜の巣の写真を撮ってきた、でもそれを渡す相手はもういないと」


黒服は二人からの手紙を渡してくれる。

ギラはその手紙に目を通す。


「馬鹿な人です、死ぬと分かってて、それを見せないためになんて」

「アヌシス様は生命維持装置で辛うじて生きていました、ですがそれも」

「もう死ぬんだと分かってて僕達を行かせたんですか…そんなのって…」

「だがそれが彼女達なりの優しさなんだ、汲んでやろうじゃないか」


そして黒服は二人の遺体は今後誰も知らない土地に埋葬されるだろうという。

ギラ達にだけはそれを知っていて欲しいとも言ってくれた。

二人の生きていた姿を覚えているギラ達にだからこそ頼みたいという。


「分かりました、ではその墓の場所はあとで教えてもらいますよ」

「承知しました、では翌日秘密裏にその場所へご案内します」

「それでこの竜の巣の写真どうしましょうか」

「渡す相手もいないですしね」


黒服は今までの秘境の写真は加工して展示したいという。

それはアヌシスからの頼みでもあったらしい。


「分かりました、では頼みます、これが竜の巣の写真です」

「確かに、では後日この写真はその写真展に展示させていただきます」

「私達は一旦行きますね、宿に名前を出せば通してもらえるように伝えます」

「では彼女達の事を感謝しますわ」


そうしてギラ達は宿へ戻る。

黒服達も二人の遺体を埋葬する準備を進める。


「さて、我々も頼まれたからには仕事は全うせねばならないな」


一方のギラ達は宿に戻っていた。

今後の事も相談しておく必要がある。


「今後はどうします?」

「冒険に戻ろうにも今は…」

「とりあえず明日二人の墓を見てからでいいさ、今は気持ちの整理だろ」

「そうだね、突然だから少し気が動転してるかもだし」


ソウとハルミの言う事も尤もだ。

とりあえず明日に二人の墓を確認する。

そして今後の予定はそれから考えればいい。


「そういえばあの竜の言っていた悪って…」

「口振りからして大地の骨の残党だと思いますよ」

「はぁ、私って本当に変人ホイホイなんですね、自覚してますけど」

「それにも用心しつつ今日は一旦自由でいいですか?」


気持ちの整理をするためにも今日は自由にする事に。

今後の予定については明日改めて考える事にした。

二人の生きていた時間を少しとはいえ覚えていよう。

ギラは皮肉な笑みを浮かべ不謹慎だとしても、その二人の人生を皮肉っていた。


彼女なりにその生きる意味を何か感じたのだろう。

ギラは生というものをどこか遠くに見ているのだろうから。


今後の予定は明日、どうすべきか考えればいいのだ。

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