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渓谷の大滝

ミリストスに戻ったギラ達はアヌシスに次の秘境の場所を聞きにいく。

秘境探しというのも案外面白いものだ。

そう思いつつアヌシスの屋敷へ。

屋敷に戻ると一人の黒服とすれ違うが、とりあえずアヌシスの下へ。


「氷の銀花の写真撮ってきましたよ」

「ふむ、確かに間違いありませんね」

「そういえばさっき黒服の人とすれ違ったんですが」

「あの人ですか、まあ何かとありまして」


どうやら何かとあるらしい。

とりあえずそれは置いて次の秘境について訊く。


「次はゼルキスの滝をお願いします」

「ゼルキスの滝、それはどこに?」

「場所はウルゲントの渓谷の上流の二番目の滝ですよ」

「つまり渓谷を遡れという事か」


渓谷の上流、それは川を源流に向けて進めという事だ。

滝は上流にある事が多くそれが川を作り上げるのだから。


「分かりました、では早速向かってみますね」

「ええ、それとその渓谷の上流では珍しい魚が見られるそうですよ」

「珍しい魚ですか、一応覚えておきます」

「それでは行ってきますわ」


そうして屋敷を出発する。

渓谷の上流を目指すからには歩く事になる。

狭い道になるだろうから空路は使えないだろう。

渓谷までは空から行き、そこからは徒歩である。


とりあえず街に出て準備を整える事に。


「食料とか他にも揃いましたね」

「はい、これなら万全ですよ」

「とはいえ秘境探しだと毎回準備にお金がかかるね」

「仕方ないさ、準備もなしに行けば死にかねん」


そうして荷物を確認していると聞いた声がする。


「おや、ヘンゼル様、そんな準備で探検隊でも始めましたか」

「ブルクハルト…」


そこにいたのはブルクハルトだった。

今は商売でここに来ていたようだ。


「ふむ、装備を見るに渓谷かな?」

「ええ、ゼルキスの滝まで行くんですが」


その言葉にブルクハルトは興味を示す。


「ゼルキスの滝、あの滝の滝壺には宝があると言われているね、本当かは知らんが」

「宝ですか?とはいえ噂程度の話ですよね」


その問いにブルクハルトは聞いた話を教えてくれた。


「なんでも滝壺の洞窟に開かない箱があるって話だ、知り合いの探検家からの話だよ」

「開かない箱、まあ覚えておきますね」


ブルクハルトもなんだかんだでリックを気にかけているのだろう。

彼が憎んでいるのはあくまでも金を溜め込む老人や貴族だ。

リックを憎む理由はないが、リックからは嫌われているだけである。


「さて、では私は商売があるので失礼するよ、話ぐらいは聞かせてくれ」

「それじゃ私達も向かいますか」

「ですね、行きましょう」


そうして空路でウルゲントにある渓谷に向かう。

渓谷の下流にソルバードを停めてロックをかける。

ここからは徒歩で上流を目指す事に。

今の時間からして半分進めれば上出来というところか。


渓谷を上流へ向けて歩き始めるギラ達。

その渓谷は川が流れ深い谷になっている。

落ちないように気をつけつつ歩を進める。


「ふぅ、流石にしんどいですね」

「まあ徒歩ですからね」

「アタシは歩くのぐらい慣れっこだけどね」

「ソウはスタミナお化けなのです」


確かにこれまでもソウは長距離を歩いても息一つ乱していなかった。

それは体力の使い方を知っているからなのだろう。

体力を温存しつつその力を発揮する事が出来るのは熟練を感じる。


「まあそれでも行くしかないよね」

「はい、私達も負けられません」

「なのですっ、ソウさんには負けないのですっ」

「元気で結構、ではさっさと進んでしまうか」


そのまま渓谷を上流へ向けて歩き続ける。

渓谷の脇にある森を進みつつ川の状態の確認をする。

流れは少しずつ激しくなっているようだ。


「そういえばキスカさんの言ってた珍しい魚ってなんですかね」

「この辺には出ないっぽいですね」

「私も魚のデータは多くあるが、珍しい魚となると限られるな」

「多分この渓谷にしか住んでいないとかではなくて?」


ペトラの言う通りならその魚はこの渓谷にしか生息していないのだろう。

だから珍しい魚と言われるのだろうから。

その魚の事も頭に留めつつ渓谷を上流へ向けて進む。


「半分までもう少しですかね」

「そうね、日が落ち始めてるからもう少し進んだら休むわよ」

「なら少しでも距離を稼ぐか、さっさと歩きな」

「ソウはこういうときはリーダーっぽいよね」


そうして少しでも距離を稼ぐべく渓谷を進む。

そして日が傾き出した頃合いになり、今日はここで休む事に。


「それにしてもこの携帯コテージハウスは便利ですね」

「森の中とかでもスペース取りませんし」

「どんな技術なんだろう」

「私としても気になるね、モレーアの魔法や道具は不思議なものが多い」


それに興味を示しつつもモレーアはそれを秘密にする。

ギラ達もそうだが、下手に異世界の事を話すのはあれだ。

なので無駄な事は極力話さないようにする。


そうして日が落ち夜になる。

夜は危険なので下手に出歩かないように心がける。

明日は早朝から歩くので今日はさっさと寝る事にした。

モレーアの技術は魔女と呼ぶに相応しいものである。


そうして夜は更けていく、獣の声が木霊する夜はその自然を感じさせていた。

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