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併話

 


 目の前にいる子供達の唖然とした顔を見て我に返った。

 いかんな、どうも熱くなってしまったらしい。

 唖然とする子供達を見て苦々しい気分になる。

 歴史の講義をするのはいいが、まだ小学部の子供もいるのについつい熱をこめて語りすぎた。

 いかん、どうもいかんな、ここまできて焦っているのだろうか私は。

 そう考えて唖然としている子供達の、その後ろに座る『彼』を見遣る。

 私がこうしている理由のほぼ全て、そう言っていい件の『彼』、『全盲』の少年、『アンドリュー・ボース』だ。

 他の子供達が唖然とする中、彼もまた唖然としてはいるが、その表情は私の内容を理解した上でのそれだというのが見て取れる。

 今にも口に出して「うわあ」とでも言いそうなその顔に、安堵と共にしてやったり、という大人気ない感情が混じる。

 私が、イース・ラグナルがこの場所でこうして子供達を相手に、私塾の講師のような真似をしているのは全てが彼に、アンドリュー少年にこの顔をさせるためのものだ。

 ここまで来るのに随分と時間を掛けた。

 あの前校長が、『あの男』が余計なことをしてくれたお陰で散々に混乱した学園と組織の体制が整ったはいいものの。

 何故か『五星教団』の『原理主義回帰派』に属する穏健派外部団体の機関紙なぞを配達していた彼にどう近づいたものかと頭を悩ませ。

 どうも思想に共鳴したわけではなく、本当にただなんとなくそこを選んだという調査結果に、無駄に時間を浪費したと額に手を当てて嘆息し。

 校長に復帰した恩師と機関の他の面々とも協議を行い、どう彼と接触するか学園として、私個人としてどういうたち位置で向き合うかに頭を悩ませ。

 現状で学園に彼を無理に登校させるのは色々な意味で危険が大きく、尚且つ下手をすれば帰郷しかねないとの結論になり。

 様々な協議の結果、どういうわけか私が学園に現在存在する低学年の不登校児の担当教員となり、その業務の一環として彼と接触する事となった。

 不登校児の中に機関で育成している者を混ぜて、だ。

 現状の任に就けるだけの者がその年齢では数名しか居ない、いや数名も居た事を驚くべきか。

 それも別段、諜報や工作に対する教育を行った者ではなく、年齢に比して慎重に行動でき、彼がどういった存在かをある程度理解して危機感を持てる、というただそれだけの人選で選ばれただけだ。

 精々が監視員、連絡員と言った所か、それも育成途上の。

 子供のうちから教育こそすれ、それを子供のうちから何某かの任につけるような事は私の側の人間には、派閥にはいない。

 本格的な諜報員や工作員といったものは『あの男』の属する派閥の管轄であったのだが。

 いや、その人員を引っ張ってきてもこの任に適ったか甚だ疑問ではあるが。

 どうにも子供達を幼少期より眉を顰めざるおえない方法で教育、いや調練していたようだが、そんな人員に下手に接触させても『あの男』がそうであったようにまた大惨事になりかねない。

 派閥の立ち位置的に下手をすると内心に『盲』への敵愾心、下手をすれば殺意など抱いているやも知れぬのだから。

 そんな事だから全土での『盲』の幼少期での早期発見の任を恩師の派閥が担っていたのだ。

 あの派閥は下手をすれば発見の報告もなしに『処理』を行いかねないのだから。

 そもそも『あの男』があのような様で自滅したが為に、その派閥は当時はまだ混乱の途上にあった。

 そんな所に手を突っ込むことは私にはとてもではないが無理であるし、恩師の派閥もそんな余裕は無かった。

 そもそも立ち位置が対極すぎる為に、あの派閥の面子の内の誰かを取り込むなど考えの内にも上らなかったようだが。 

 そう言った訳で機関員として早すぎる任に付いたその子供達ではあるが、その数名だけでの接触には不安があった。

 よって自然な形でそれを行うために実際の不登校児と共に、となったのだが。

 正直に言うと、不確定要素を誤魔化すために更なる不確定な要素を混ぜ込んだようにしか思えなかった。

 木を隠すには森の中とは言うのだが、これは何か違うのではないか。

 そもそも、私は本来は研究者であって教育者ではないのに本職が手を拱いている不登校児を引率して『彼』に近づけとは。

 いや、理解は出来るのだ、実際色々と考えたのだろうとは思うのだ。

 考えすぎて、頭を捻りすぎてちょっとおかしな事になっているように思えたが、理由を説明されれば反論も難しかった。

 しかし、理解はしたが納得できるかというとそうも言い辛い。

 そもそも何故私なのか、ああ彼をここにいざなった責を取れと、そもそも誰も『彼』に下手に関わりたくないと言う事か。

 何故に不登校児を引率して交流なぞと、成程そういう手法で復帰支援をする事があると、何故今まで学園でそれを行っていないのか疑問であるがまあいいでしょう。

 何故に私の名前で既にアンドウ・レイ氏に連絡を取り、その交流の場がその現在『彼』が住む別宅になっているのか、何か問題でもとは問題ばかりでしょうが・・・!

 学園に登校させることが出来ないように、他の場所にそれを設けても『彼』がそこを訪れる保証がないと言うより現状を見るにまず来ないだろうと、成程わかりました。

 それで、そこで私に授業を行えと、年齢は近いと言ってもバラバラな子供達を相手に本職でない私が、学童保育の真似事をしろと。

 それで、それで、もうその子供達は機関員見習いたる者も含めて『機関』で面倒を見るから機密に触れない範囲で知識をつけてやって欲しいとはどういうことですか。

 何が『盲』に対する最高の実地学習を経た未来のエリート候補だね、ですか恩師よ。

 取り扱いのわからない危険物の取り扱いを実地で検証し学習するとは、素敵ですね研究者冥利に尽きる、驚嘆と感嘆と悲嘆と怨嗟で今なら目や口から魔法が照射できそうですよ。

 何が、対象を物扱いするのは感心しないな、ですか私の真似ですかぶっ飛ばしますよ。

 ・・・これ以上はやめよう、恩師とそのお仲間との不毛な掴み合いの口論など思い出すだけでまさしく不毛だ。

 何故こんな結論になった、言え!などと叫ぶなど、あの時の私はどうかしていたのだ。

 未だに非常に腹立たしいが、納得も出来かねるが、結果として現在非常に上手くいっているのが更に何とも言えないこのもどかしさ。

 いや、失敗などしたら目も当てられないのだから喜ぶべき、喜ぶべきなのだが・・・。

 不登校児との接触に、慣れない教師の真似事をし、彼らを外に、アンドウ氏の別宅に連れ出す為に奮闘し、『機関』の方から派遣される子供達とも上手く馴染ませるべく骨を折り。

 しかし空回るばかりで私は役に立たず、殆どが『機関』から来た子供達のお陰でそこまで漕ぎ付け。

 アンドウ氏の元に細部の調整をと思い足を運べば、今までの付き合いで信用してますので好きになさってください、『村』の方々には村長を通じて上手く言っておきますね、と笑顔で全権委任されて逆に頭を抱え。

 そも、氏は『機関』とはなんの関係も無いのに何故こうも協力的なのか、個人的な付き合いは長いが例の『村』の事すら『彼』の事があるまで語られたことがない。

 その事を今更ながらに疑問に思って聞いてはみるも、知りたかったですか?と満面の笑顔で逆に問われた。

 きっとあの異質な『村』の事なのだろうが『彼』の事を含め本気で知らなければよかったのではないかと考えないでもなかった私は閉口した。

 いや、アンドウ氏の商会が独自に扱う品の中に『村』の産物が混じっているのであろうし、それを秘匿するという意味合いがあったに違いない、そう思うことにした。

 私に声を掛けたの自体、あの『村』に行って体調を崩さないである程度の期間過ごせそうないしゃに他に心当たりがなかったからだと言われて更に閉口したが。

 やはり氏はあの『村』の異常さに気がついていたのか、いや長年に渡り取引があるとの話だったのだから当然か。

 知っていたから他の者ではなく私に話を持ってきたのか、確かに私は自分で言うのもなんだが『術者』としての力量も、それなりではあるとの自負はある。

 氏との出会いもそういった力量が問われるような厄介事での中であったし、そも辺境を巡るにはそうでなければ覚束無いのだから。

 しかし、碌な説明も無くあんな所に放り込むのは勘弁して欲しかった、移動手段もとんでもない代物であったし、いやある意味飛んでもいた代物だとでも言うべきかあの天外さは。

 その事を思い出し思わず愚痴を溢した私に、氏は苦笑をしながら謝罪してきた。

 その詫びも兼ねて出来る限り協力するとのお言葉だったが、続けて言われた、『彼』を王都へ送り出すなんて物好きなことをしたのですから頑張って面倒を見てあげてくれ、などと言われ重ねて、重ねて閉口した。

 ああ、そうですか、『彼』を王都にいざなった私が全て悪いのですか、貴方もそう仰るか。

 尤も、『盲』の事を、機関の事を知らぬ氏は『村』の人間を王都へなど誘った事に対しての言ではあったようだが、消沈した私はその事をそれ以上深くは尋ねずそのまま話を終わらせて王都へと戻った。

 それからも色々と苦労した、本当に疲れた、思い出したくも無いが思い返さずにはいられない。

 『彼』との久方ぶりの再会に、私が受け持つことになった子供達との顔合わせ。

 どうなる事かと気を揉むも驚くほどに何もなく、『彼』は当初は迷惑そうだったがそのうち大して気にも留めなくなった。

 馴れぬ引率を行い学園から子供達を連れて『彼』の元へと通い、馴れぬ世話を焼いて疲れ果てる日々。

 暫く経つとアンドウ氏が余計なことを言い出して子供達はそのまま別宅に泊まりだす、いやこの場合は引率の手間が省けて助かったのだろうか。

 しかし、それで『彼』といらぬ摩擦を起こさぬか気を揉むことになり胃が痛んだが。

 不安な為に私も泊り込む事になり、というよりも子供達も含め一緒に暮らしているようなものだったが、我が家にも単身で辺境を巡っていたため殆ど居らず、我が子ともあまり接していないというにそうなった為に接し方に頭を悩ませ。

 子供達に授業を行うも今まで教鞭を執った事がないために四苦八苦し、尚且つ『彼』は乗り気でないので参加せず。

 尤も、大陸の歴史等を教えるのはまだ先と決めていた為に問題は無かったのだが。

 読み書き計算は既に歳に相応しくない程に出来ていたのだし、歴史の授業が始まれば参加するという言質も取ったのでそこはよかったのだが。

 すぐに歴史の授業を行ってもよかったのかもしれないが、何分私も人に物を教えるのに不慣れで不安があったし、『彼』の人となりをもう少し把握してから慎重に行いたいと言うのもあった。

 それに、一般的に子供に歴史を教えるのが11~12歳からというのもあり、書籍などの類にも販売・閲覧に規制が掛けられていたのもある。

 できるだけ自然に、現状が既に一般的に見て限りなく不自然ではあったが、可能な限り自然に事を運びたかった。

 『彼』が王都に、この社会に完全に慣れる時間を置きたかったと言うのもある。

 既に変な意味で馴染んではいたが、いきなり新聞配達なぞ始めていたのがいい例だ。

 理由が自分の遊興費を稼ぐためなど、普通のその年頃の子供がする発想ではない。

 いや、『盲』の思考が普通でないのなど既に知ってはいたのだが。

 その切欠がアンドウ氏の、別に学園に行かずに適当に親元から送られてくる仕送りで遊びまわればいい、という発言に危機感を持ってなどと知った時も頭を抱えた。

 氏への今までの私の認識を訂正しなければと切に思った。

 ついでに言えば親元から、『村』から送られる仕送りの額にも頭を抱えたが。

 この金額を出せる親元の、『村』の人々も、それを使わずに自分で遊ぶ資金を捻出しようとする『彼』も、それを使えと唆すアンドウ氏も、なにか色々とおかしい。

 就業先もおかしいのだが、『彼』はその『五星新聞』の思想に傾倒する所か、何やら馬鹿にしている風でもあると見受けられるとの報告が後に上がってきて更に困惑した。

 あの思想に被れて貰っては大変困るので、気を揉んでいたこちらとしては大変助かる話ではあったが。

 ならば何故そこを選んだのかという話であり、後日に理由を尋ねてみたところ、社会的少数者マイノリティ向けの物だから部数が少なく尚且つ規則がゆるくて気楽そうであるという返答に頭を抱えた。

 確かに、確かに王都では、都市部ではこの新聞の思想は少数派に類する物ではある。

 しかし、広義の意味で言うならその新聞を発行している組織の大本は大陸最大最強の宗教組織なのだが。

 その大きさゆえに派閥が多々あり、その中でも原理主義に傾倒している過激派の中で穏健な部類に属する所の、その末端に位置する部署の機関紙なのだが。

 都市部では確かにこの機関紙の、その主張に賛同する者は少数派だが、辺境域では無視しえぬ影響力を持ち、主義主張の為に実力行使も厭わぬ会派の末端なのだが。

 即座にそこで歴史の講義でも始めてやろうかという衝動を押さえ込むのに苦労した。

 落ち着け、思想に傾倒していないのならば問題ない、問題ないのだと胃の府を抑えて唸ったものだ。

 そこから数年、とても長い時間だった。

 思想には傾倒する気配は全く無かったのでそこの心配はある程度経った頃にはなかったのはいい。

 子供達との接触が非常に淡白で互いに空気のようなそれだったが。

 尤も『彼』がそうであっても、私を含め子供達がそうであったかと言うには『彼』は重すぎる、と言うべきか存在感のありすぎる空気ではあったが。

 そこの所を子供達に聞いてみると、最初こそ物怖じしたようだが暫くすると馴れ、逆に居ると常に見守られているような安心感があるとの事だった。

 そういえば『村』の子供達との間でもそう言った話を聞いたようにも思う。

 学園の生徒達とそうならなかったのは彼らの気質の問題か、それとも最初に敵愾心を持たれたが故のそれだったのか、それとも通い続けていれば同じようになったのか。

 寮で個室などを宛がわれ、他と交わらず、入学式で悪目立ちをし、その後も色々と問題があったようだし何とも言えない所ではあるが。

 これは『あの男』の所為ではなく大部分が『彼』の気質と体質が悪い方へと作用してしまったのだろう。

 尤も、教職員の行動に掣肘を加えていたらしいので、全く否がないなどとは口が腐っても言わないが、言う義理もなければそんな気持ちも微塵もない事であるし。

 ともかく、思想に傾倒しないのはよかったのだが、配達を走って行っている事で身体能力が上昇し徐々に配達範囲を増やして行くのには参った。

 当たり前の結果ではあるのだが、身体強化を行えない状態で常人並に、元々が同世代の子供と比べて遅い部類だったのだがそれが同じ程度に。

 その後それを追い越して、終いには大人と伍する程度の速さになり、そして全く息切れをしない。

 多聞に疲れた様子は見受けられるようだが、それは当人の気分の問題だと思われる。

 それ以上は速度は伸びなくなったようだが、今度は自転車になぞ乗り出した。

 ただでさえ珍しいそれを、しかも王都でも見かけたことが無い二輪の物を態々特注してだ。

 それを苦もなく乗り回し配達に行くのにも唖然としたが、それを駆って昼の人が溢れる王都に乗り出したのにも唖然とした。

 ただでさえ人目を引くというのにそんな事をすればどうなるか、後日籠一杯に硬貨を、一部紙幣も混じっていたように思う、入れて戻ってきたその姿に最早引き攣った笑いしか出なかった。

 挙句にその総額の半数を、後に額が増えるたびに割合を増して押し付けてくるのに頭を抱えた。

 その子供達の自立支援にお役立てくださいとか言われて押し付けられた金銭の使い道に頭を抱え。

 新しく不登校児として仲間入りする子供達との接し方に悩み、空回って役に立たずに当事者である子供達に助けられて打ちひしがれ。

 規模が年々徐々に拡大してそのうち私塾になるのではないかと、と言うより既にそうなっているのではないかという現状のアンドレイ氏の別宅暮らしに胃の腑を押さえ。

 そして移動速度が上昇し、行動範囲が広がり、日に日に『彼』の追跡が困難になるという監視者達の苦情を受けながら私にどうしろと言うのだと愚痴を溢し。

 そして『彼』が王都東部の名物と化す頃には私は自身の頭髪と胃壁が未だ無事である奇跡に震えた、色々な意味で。

 そして、そして、そして、ようやく彼が小学部第五学年になったこの年に、私は歴史の授業を執り行う事となったのだ。

 何度さっさと歴史の授業を予定を切り上げて行ってしまおうかと考えたことか、別に前倒ししても彼の行動が変化したかは、した可能性は高いがそれが私にとって好ましい変化になったかは甚だ疑問ではあるが。

 長かった、本当に長かった、歴史の授業を聞いて唖然とする『彼』の表情に、今までの私がそうだったのだとこれからは君の番だと暗い悦びが沸いてくる。


 すぐに別の視線に気がついてそれも冷めたが。


 凍てつく様な、それでいて刺々しい雰囲気のそれに射竦められる。

 まるで本気で怒った妻にそうされたように背筋が伸び、視線の主を見遣る。

 年々妻に似てきた末の娘の姿がそこにはあった。

 妻と同じ青い髪に、同じく青い瞳から放たれる冷たく鋭利な眼差しが歳に似合わぬスラリとした容貌を引き立てる。

 何をやっているのかぶっ飛ばしますよ、とでも言わんばかりのその視線に私の焦りも引き立てられ慌てて授業を再開する。

 そう、私がこの任に就くにあたって一番納得できなかった、未だにできない事柄がこれだ。


 なんで機関からの派遣人員、その数人の子供の中に娘が居るのだ、と。


 常に王都外で勤務についていた私にとって接する機会が最も少なく、戻るたびに私をお客様扱いする子だったが、目に入れても痛くないほど可愛い娘だ。

 別に機関に関わっているのはいいのだ、妻も機関員であり私とはそこで出会ったのであるし、子供達は皆がその存在を知り関わりがある。

 だがその娘がよりにもよってここに居るのが納得できない。

 こんなリスクの高い場所に娘を置きたい父親などいるものか、そもそも教育環境として特殊に過ぎるのだ。

 よく出来た娘ではあるのだ、この子が居なければ私は子供達との関係を構築するのにどれだけの時間を要したか、それ以前にそれを成せたかすら疑問である。

 この子が上手く間を取り持ってくれたお陰でこうして私は任を全うできているのだし、流石に選ばれるだけはあるとも思うのだが。

 この常に妻に監督されているようなこの気分はなんなのか、父親の威厳とかいうものが、いやお客様扱いで元々無かったのだが。

 授業参観、業務視察、監視・監督、そんな言葉が頭に過る。

 娘相手にこうも腰が引けるのも色々な負い目がなせる業なのか、それとも男親と言うのはそう言うものなのか。

 

 本当に、頭髪と胃壁が未だに無事であると言う禍福どちらとも取れぬ我が身と娘の冷たい視線に震えるばかりだ。








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