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彼と魔族とお嬢様  作者: 秋雨サメアキ
第2章 死神の真実
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ただその一点を

大剣と魔族の鎌がぶつかり合い、激しい音を響かせる。


「皮膚がダメなら鎌ならと思ったが硬いわ、当たり前だけどよ!」


後方に下がり体制を立て直す。


「ギュンター!魔力強化の使いすぎには注意してくださいよ!」


ウェンのありがたい説教を聞き流しつつギュンターは大剣を構える。


「まさか皮膚がゴム質で斬撃が通り辛いとは思ってもいなかったわ」


シルヴィアもこの4脚の魔族に攻めあぐねているようだ。




この4脚の魔族は魔力を放出バーストする他にその紫色の皮膚がゴム質で出来ているという性質を持っていた。


(道理でやられるGMギルドメンバーが多いわけだ)


辛うじて魔力を込めれば多少は通るものの、大ピンチがピンチになった程度と言っていい。



憑依術式リチュアで作成する武器自体が魔力の塊であるキニジと魔力が比較的多く魔力強化を維持できるエリーの2人は戦えているが、魔力に乏しいギュンターと万が一の保険である『影』のため魔力を使わないシルヴィアは厳しい戦いを強いられている。


一方魔術で戦っているウェンは相手が斬撃が通り辛かろうと何だろうと叩き潰す勢いで魔術を詠唱している。

ギュンターとシルヴィアは厳しいことを言ってしまえば足を引っ張っているとさえ言えてしまう。



ならばどうするか。

シルヴィアはこの状況を甘んじて眺めている人間ではない、それはギュンターも同じことだ。


「シルヴィア!このままじゃ俺たちの影が薄いままだよなぁ!?」


ギュンターはあえて挑発するように問いかける。


「当たり前じゃない!このままじゃエリーにカッコいいところ見せられないわ!」


当然のように返してくれる。

流石シルヴィアだと頬を緩める。



(さてさて言ってはみたけどどうする。皮膚は斬れないし鎌はアホみたいに硬いしな)


今自分にある手札しゅだんだけでなんとかする、それが一流の戦士である父親に教わったことだった。


(ま、難しいことを考えるのはウェンの役目だ。皮膚が通らないなら鎌だな、硬かろうと叩き折ればいいだけの話だッ!)


単純な話じゃないかと心を決める。



「おいシルヴィア、鎌を狙うぞ!」

「そう言うと思ったわ!」


シルヴィアも考えていることは同じだったらしい。


「ウェン少し頼まれるか?」

「鎌を狙うのでしょう?任せてください!」


どうやらウェンも同じだったようだ。

長年の付き合いは伊達ではない。




「鎌を狙うなら僕と師匠が気を引くからその隙に!」

「やるからには叩き折れよ?」


エリーもキニジも乗ってくれるようだ。


「じゃあ任せたぜ!右を狙うぞシルヴィア!」

「わかったわ!」


同時に飛び立つ。


一瞬魔族の視線がこちらを捉えるが


「貴様の相手は俺だ!」


キニジが魔族の左前足に猛攻を加える。


(流石キニジ・パール。注意を左に向けてくれた!)


「ガァアアアアッ!」


魔族はたまらず足下のキニジに左鎌を振り降ろす。


「ッ!甘い!」


キニジの前に躍り出たエリーが魔族の真正面から受ける。

だがそれだけでは終わらずそのまま鎌を受け流す。勢いを殺されないまま魔族の鎌は地面に突き刺さる。



一瞬、魔族の動きが止まる。

だがそれで十分だ。


「今だウェン!ぶちかませッ!」


ウェンの「わかりました!」という心強い返事がくる。


「宙に舞え対なる剣!災厄の名をもって切り刻め!"ディザスター・ツヴァイエッジ"!」


ウェンの背後に召喚された2本の剣が魔族の右鎌目掛けて飛翔。詠唱に違わずひたすらに斬り続ける。


「ガァアアァァ!?」


ミシッというヒビが入る音を聞き逃さない。


「決めるわよギュンター!」


ウェンがヒビを入れたただその一点を狙いシルヴィアと同時に大剣を叩き付ける。


だが鎌はまだ折れない。



(だったら…!無茶を許せよ相棒!)


己の全ての体重と筋力に加え今の自分の出せる最大出力の魔力強化を愛剣カベナンターに施す。


「ぜぁああああああ!」



渾身を乗せたギュンターとシルヴィアの一撃は


「ガァアアァァアアアアアッ!?」


見事に魔族の右鎌を叩き折ることに成功した。




「や、やった!」


シルヴィアが喜びの声を上げる。

このままいけば、勝てる。誰もがそう確信した。



だが。


「ッ! 下がれ2人とも!放出バーストする気だぞッ!」


しかしギュンターとシルヴィアは空中だ。エリーとキニジは範囲外まで下がったようだが2人はそうもいかない。


(ちぃっ!)


すぐさまギュンターはたった今叩きおった魔族の右鎌を踏み台にシルヴィア目掛けて飛ぶ。


「きゃあ!」


そのままシルヴィアにタックルをし範囲外まで押し出す。


「「ギュンター!」」


シルヴィアとエリーの悲鳴が重なる。


(なんとかシルヴィアは押し出せたか。後は頼むぜ相棒)


大剣を魔族と自分の間に置き、衝撃を少しでも和らげようと構える。どれほどの意味があるかわからないがやらないよりはマシだ。


「…!!」


次の瞬間、ギュンターの体は衝撃波を受けた。


だいぶ遅れましたが訂正です。

2章アズハル孤児院の話でマリーをメアリーと表記していました。正しくはマリーが正解です。

マリーって誰のことだよ?って思われたかもしれませんがのメアリーことです。

細かいところはまだ間違っているかもしれまんせんがご容赦ください。

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