表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
彼と魔族とお嬢様  作者: 秋雨サメアキ
第2章 死神の真実
17/177

遺された謎

ウェンが捕らえた2人によると依頼主を知っているのはあのリーダー格の男だけらしい。

その男はシルヴィアが斬ってしまったため、手掛かりは掴めなくなってしまった。



「むこうの依頼主はわからない。ついでにこっちもわからない。随分ときな臭いな」


死神とは一旦別れ、ガルドとの集合場所であった酒場で情報を整理するということになった。


「あの2人が嘘を言ってたってことはないの?」

「それはないでしょう」


ウェンが即答する。


「本当のことを言わなかった場合どうなるか脅しはしていましたからね。それでもダメだった場合に備えキッチリと準備もしていますし」


ちなみに捕らえた2人は一通り質問じんもんした後、エリーの意見もあって逃がしている。


「ウェンがそう言うなら信用するけど、ガルドのこともあるし相手はこうなることも読んでいるのではないかって不安になるのよね」


もしかしたらガルドが見つかり、事情を知ったシルヴィアたちが協力することを予め予想していた可能性もなくはない。




「つまりこうなることも予想していたってこと…?」


今まで上の空といった様子で会話に入らなかったエリーが口を開く。


「あくまで可能性として、ね」


「となるとさ」


ギュンターだ。


「自分で言うのも何だけど俺らってまぁお人好しだろ?そこを逆手にとられたってことになるんだが」


「あー、確かにそうね」

「正直腹が立ちますね」


お人好しの自覚があったのかとエリーは頬を緩ませる。



「僕から見ても3人ともお人好しだよ。それに後悔はしてないんでしょ?」


今回の件で今までのように人助けをしなくなるのは嫌だと、エリーは危惧していた。


「してないな」

「するわけないじゃない」

「しませんよ」


3人とも即答だった。

そう簡単に変わるわけないかとエリーは安堵する。


「この程度でお人好しが直るかっての。正直2年前のあれに比べれば基本どんなことでと余裕かもしれん…」


ギュンターは遠い目をしていた。

シルヴィアも嫌な思い出が蘇ったのか目から光が消えた。


「あれはキツかったわね。雪山で1週間遭難とかもう勘弁したいわ…」


そして顔が心なしか青ざめていた。




ウェンはそんな2人を見つつ


「大丈夫ですよエリーさん。シルヴィアさんもギュンターも学習しませんから。結局は何だかんだ言いつつ人助けしちゃうんです。まぁ僕も同じで学習しないし人助けしちゃうんですけどね」

「そうだね。ありがとう、ウェン」


やっぱりシルヴィアたちは優しいとエリーは再認識する。





「とりあえずギルドに報告しなきゃな」


結局話し合いはろくに進まず、遭難の思い出話になっていた。

雪山の他にも樹海で遭難やとある港から沖にある小島に行こうとしたら何故か遭難していたなど数時間ほどその話で盛り上がった。


もしかしてシルヴィアたちは全員方向音痴なのだろうか。

そんな一抹の不安が過るが深く考えないことにした。

恐らくそこを指摘してもエリー含め誰も得をしない。



「死神としばらく依頼をこなし、様子を探るって報告でいいか?」


ギュンターが10分程度で終わった話をまとめ、ウェン共々帰る支度をしていた。


一方のシルヴィアは


「それで構わないわ…ヒック」


この数時間、量こそ多くないものの酒を飲み続けていたシルヴィアは完璧に酔っていた。


「エリー、もっと積極的にきてもいいのよぉ」


シルヴィアは所謂絡み酒で、主に絡む対象はエリーになっている。



今もエリーに抱きつきながら普段は言わないであろうことを垂れ流している。そしてそのまま寝てしまった。


「これじゃ確実に明日は二日酔いですね…」


シルヴィアと同程度飲んでいるウェンとギュンターは全く酔う様子を見せていない。


なんとかシルヴィアを背負い、店からでるとギュンターが一言。


「悪いんだがそのままシルヴィアを背負ってきてくれ」

「手伝ってくれないの!?」


エリーとシルヴィアはほぼ同じ体格であり、体重もそう変わらないはずだ。


それなりに鍛えてるとはいえ、自分とほぼ同じ重さであろうものを持つのは正直キツい。



「荷物は俺らが持つから、な?」

「本音を言うとですね。シルヴィアさんが途中で起きて僕かギュンターが背負っていると文句を言うんですよ。それは僕もギュンターも嫌なのでエリーさんに任せようかと」


エリーは大きい、本当に大きなため息をつく。


「はぁー…、そういうことならわかったよ。まさかとは思うけどただ単にめんどくさいから理由を適当にでっち上げたってことはないよね?」

「で、でっち上げてないぜ、なぁウェン?」

「そんな事はありませんよ、絶対に、本当に」


かなり怪しいがエリーも疲れている。無駄にここで労力を使うよりもさっさと孤児院にシルヴィアを運んだ方がいいと感じ、歩みを進める。


30分後、孤児院に到着するとシルヴィアを部屋のベットに寝かせエリーもシャワーを浴び就寝。

今日は色々なことがありすぎた。明日のためにゆっくり休むことにする。


なお、翌日シルヴィアは見事に二日酔いになりその日は休日となった。


次回以降、少しずつキャラの紹介をしたいと思います。

初回は主人公、エリーたちです。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ