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彼と魔族とお嬢様  作者: 秋雨サメアキ
第2章 死神の真実
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敵対者

死神との依頼はやはり魔族討伐のものだった。

死神曰くそこまで強くはないそうだが、油断しないに越したことはない。


「あれが目的の魔族だ」

『触手を生やした肉袋』といった風貌の魔族が今回の目標らしい。



「うわぁ」


簡単に言うとキモい。半年前に戦った魔族とは違い人の形を保っていないもののまた違った戦いにくさがあるといっていい。

辛うじて顔のようなものが肉袋の中央付近にあるが、あっても気持ち悪いだけである。



「相手の姿形で判断してはいけないわ、気を抜かずにいきましょう」


シルヴィアも嫌な顔をしているが仕方ないと剣を構える。

エリーも嫌々ながらも剣を抜く。


「近付きたくないですね、魔術使えてよかったですよ」

「人が魔術使えないからってお前…」


余裕の態度を崩さないウェンとそんな彼を恨めしそうに睨むギュンター。


「準備は整ったようだな、始めるぞ」


死神もどこから取り出したのか、短槍を構えていた。


「じゃあ行くわよ!」


シルヴィアの声を合図に魔族に挑みかかる。





結論から言うと死神の圧倒的な実力により魔族は何もできなかったといえる。

エリーたち4人も奮戦していたが、死神1人で倒したと言っていい。


「安らかに眠れ」


死神はそう言うと短槍を突き立て魔族に止めをさす。


「俺たち必要じゃなかったんじゃないのか?」


ギュンターが少し申し訳なさそうな表情をして死神に訪ねる。


「そういう訳でもない。お前たちがいなければこんなにはやく終わらなかったさ」

「素直にそう受けとることにするわ」


シルヴィアも圧倒的な実力差に落ち込んでいるようだ。





「さて、どうして依頼を受けたんだクロムウェル?」


魔族が完全に消滅すると唐突に死神が訪ねる。


シルヴィアは一瞬言葉を失ったものの


「…どうしてわかったのかしら?」


冷静を装いつつ訪ね返す。



「単純なことだ。単にシルヴィアとギュンター、2人の剣術がクロムウェルの…鉄騎隊で使われているものと同じだからだ」


1人は違うがなとエリーを一瞥する。


「言ってしまえばどちらかがクロムウェルかの識別はついていなかった。だからクロムウェルとだけ言ったのだがな。お前の方だったか…シルヴィア=クロムウェル」



死神の言っていることは全て真実だ。それ故に疑問が残る。

死神はこちらの素性がわかっているのにも関わらず、あえて泳がしていたというのだろうか。

だとすれば…死神は間違いなく


「あなたが僕らの素性がわかった上やっていたというのなら…僕らに危害を加えるつまりはないと?」

「あぁそうだ、お前たちに危害を加えるつもりはない」


エリーの質問に素っ気なく答える死神。


恐らくだが死神はシルヴィアが受けた依頼のことは知っているはずだ。

それを知ってもなおエリーたちと依頼を受けた。さらに言うなら魔族との戦闘中にエリーたちを殺す機会はあっただろう。それをしなかったのなら死神にこちらへの敵意はないと見ていい。




シルヴィアは何かが解ったのか口を開く。


「あなたがこちらに敵意が無いのはわかったわ。でも勘違いしないで」

「………」

「別に私たちもあなたに敵意があるわけじゃない、それに少しだけど謎は解けたもの」

「面白い、言ってみろ」


仮面で表情は見えないが少し楽しそうなことは理解できる。


「あなたと共に依頼を受けた人の殉死率が高いことについてだけど…単に魔族討伐の依頼を受けているからではなくて?」


死神は魔族討伐の依頼"のみ"受けていることから魔族依頼を受けるついでに自分の秘密を知られたくないため同行者も殺しているのだと思っていたがそれは違う。

単純に、ただ依頼の難易度が高いのだ。


深く考えすぎていたのだろう。こんな単純なことに気付かなかった。


「あぁそうだ。俺は手を下してはいない、勝手に魔族に殺されるだけだ」


まだ知り合って数時間だがこの死神の人となりは理解できる。こうやって繕ってはいるが、本当は間違いなく優しい人間だとわかる。


そんな人がなぜ疑われなければいけないのか…エリーは憤りを感じていた。



「それにもうひとつ、もしかしてあなた」


シルヴィアの言葉は続かなかった。死神がシルヴィアの口を手で塞いだからだ。

シルヴィアが「何をするの!」と言いたげだか死神のただならぬ雰囲気に言葉を飲み込む。


「少し静かに頼む。間違いなく近くに人がいる」

「それがどうしたってんだ」


一応シルヴィアの護衛であるギュンターが睨むが意に介さない。


「恐らくは俺の暗殺を目的とした奴らだ。無関係なお前たちを巻き込みたくはない、速く逃げろ」


ギルドからシルヴィアに依頼されたのは死神の調査のみだ。他のGMギルドメンバーにも依頼していたとしても殺害の依頼はないはすだ。



(つまり別の依頼主か?タイミング悪いな)


ギュンターは舌打ちをしつつも逃げる準備をする。


「いえ…間に合わないみたいです」


ウェンが何かに気付き、杖を構える。




10人の武器を持ったGMが既にエリーたちと死神を包囲していた。

「死神とその仲間か?構わんやれ」

リーダーと思わしき人物の隣に見覚えのある顔があった。


「なんでここにガルドが…」

「騙して悪いがこれも作戦なんでな。死んでくれ」


ガルドも剣を抜き、臨戦態勢に入る。


「クソ!全員片付けるぞ!」


ガルドの裏切られ、悪態をつきながら武器を構えるギュンター。

ここで戦わねば自分が死ぬ、そう言い聞かせエリーも剣を抜いた。


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