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彼と魔族とお嬢様  作者: 秋雨サメアキ
第2章 死神の真実
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死神

孤児院に到着し一日休みを挟んだ翌日、死神の捜査を始めることにした。


「死神の調査。の前にやるべきことがあるな」


フィレンツェ南部支部に向かう途中のことだった。


「いい加減出てきたらどうだ」


ギュンターは裏路地に声をかける。


そんなところに誰がいるのだろうとエリーが疑問をもつと

「…バレていたか」

裏路地から男が出てきた。





近くの酒場で男から事情を聞くことになった。


「なるほどね」


男の名前はガルド。

ガルドは抵抗もせず、聞かれたことを全て答えていた。

…些か不自然なほどに。


「友人が死神と共に依頼を受け死亡したと聞いたあなたは、偶然私たちが死神調査を始めたと知り、何かわかるのではないかと尾行していた…であっているかしら?」

「あぁその通りだ」


この男の気持ちもわからないでもない。GMギルドメンバーにとって情報は生命線だ。依頼で他のGMと競う可能性がある以上、おいそれと情報を流すわけにはいかない。


「ま、『情報』は立派な商品だからな。普通は簡単に言ったりはしないんだが今回は別だ。死神調査で得た情報は可能な限りそちらへ渡そう」

「ほ、本当か!?」


男は身を乗り出す勢いで食らいつく。


「男に二言はねぇよ」


ギュンターは周りにも「そうだろ?」と確認をとる。


「今回は利益が優先ではありませんからね」

「私は構わないわ」

「僕もそれで」


エリーたちも文句はないようだ。


「じゃ、そういうことで。報告がある時は夜のこの酒場でしたいと思うんだがそっちは大丈夫か?」

「あぁ、構わない。それに色々と…感謝する」

「いいってことよ」





ガルド別れ、南部支部に到着する。


「ここに死神が来るって話だ。偶然を装って奴の依頼に同行するぞ」


ギュンターの言う通り、死神と思わしき人物が入ってくる。

仮面をつけ、物々しい雰囲気の男ーー死神は、一直線に依頼が貼られている掲示板に近付く。


「私が行くわ」


シルヴィアが死神に近寄る。


死神が取ろうとした依頼書をほぼ同じタイミングで触れる。


「あら失礼。被ってしまいましたわ」

「失礼」

「私たちもその依頼を受けようとしていたのだけれど、譲れないかしら?」

「悪いが譲れないな」


シルヴィアと死神のやり取りハラハラする一行。


「こちらも譲れないのよ。そうね…だったら私たちが同行する、というのはいかがかしら?勿論、報酬はあなたに多くなるよう分配するわ」

「そうか…ならばいいだろう」

「ありがとう、仲間を読んでくるわね」




シルヴィアがこちらに戻ってくる。


「交渉成功よ。同行させてもらえるわ」

「グッジョブシルヴィア」


ギュンターが親指をビシッと立てる。


「とりあえず彼に皆を紹介しなくてはね」

「うーんなんだか怖いなぁ」


エリーは死神に若干の恐怖を抱いているようだ。



それを聞いたシルヴィアがエリーに近寄る。


「大丈夫よエリー。エリーは私が守るわ」

「それは本来僕が言う台詞なんだろうけどね…」


エリーは苦笑しながらも覚悟を決める。


「まぁゴタゴタ言ってても始まらないよね。行こう」


「私たちから名乗りましょうか。私がシルヴィア」

「ギュンターだ、よろしくな」

「エリーです」

「ウェンと言います、よろしくお願いします」


エリーたちはそれぞれ名乗る。その際エリーに死神は驚いていたように見えた。


「む…あぁ、よろしく頼む」

「あなたの名前は?」


恐る恐るエリーが訊ねる。

通称"死神"ではあるが何も「死神さん」と呼ぶ必要はない。それに彼自身が死神と名乗っているわけではないのだ。


死神は少しの間沈黙し、


「俺は"死神"と呼ばれいるのだろう?ならばそれで良い」

「いいのであればそう呼びますが…本当にいいんですか?」


ウェンは予想外の返答が返ってきたからか驚いているようだ。


「構わん」

「ではよろしくお願いしますね、死神さん」


こうして"死神"の依頼に同行し死神の調査を始めることにした。

だがこの時エリーたちは彼の本当の顔を知るよしもなかった。

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