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父親

作者: 花邑結

 私は父の事が嫌い。


 どこが嫌いなのかと聞かれたら


 他人には優しく微笑む顔が嫌い。


 威圧的な声が嫌い。


 自分が絶対に正しいと思っている頭が嫌い。

 

 そして何より


 母を大事にしない父が大嫌い。





 でも、小さくなっていく父を見て、ふと想う。


 父は本当に私が見てきた通りの人なのだろうか。 


 私は本当に父の事が嫌いなのだろうか。


 そして、父は私の事をどう想っているのだろうか、と。


 それを確かめる勇気は、私にはない。

 

 ただ一つ、分かっている事は


 父の言動を、今も昔も私は気にしている。

  

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