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フラッシュバック

 触る事は出来る。だが、力を入れる事、握る事は出来ない。例えば手すりはあらゆる所に居る。風景として、形状として、手すりですと名乗ってくれない。だから思わず握らされて刹那の走馬灯を貼り付けられる。

 俺はもう何かを握る事が出来ない。握ればたちまち「あの瞬間」が脳みそを走る。グリップに込めた力、ボールからの衝撃、宙を舞う帽子、崩れ落ちるあいつ。

 ああ、こんな頭いらない。この壁じゃない。そこのドアの方が硬いか。


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