皮剥ぎ
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「ねぇ!アーランクル!アーランクルってばぁ!!」
手を引かれながらも叫び続けるガルシアを無視しながらズンズンと宿屋の廊下を進むアーランクル。やがて彼らが泊まってる部屋の扉を開けると、アーランクルは乱雑にガルシアをベッドに投げ飛ばした。
「キャッ…!ア、アーランクル…?」
「……テメェ、何余計な揉め事の種蒔いてんだよ」
ベッドから起き上がったガルシアが見上げたアーランクルの顔はギルドの時の柔和な笑顔とは打って変わり、般若のように怒りで満ち溢れていた。
「自分でしでかした事のケツ拭けるなら文句はねぇ…。だけどよぉ、テメェは後のこと予想した上で啖呵切ったのか?何が起きるか想像した上で揉め事に割って入ったのか?やがては俺が止めて入るかもしれないなんてこと考えなかったのか!?えぇ!?」
怒涛のように流れ出るアーランクルの怒声。そんなアーランクルの様子にガルシアは怯え萎縮する。
「ご、ごめんなさい…。でも、あの子が殴られちゃうのは嫌だったから……」
「ハッキリ言ってやるよ、非力な奴が助けになろうとしゃしゃり出られたら邪魔なんだよ!いや、その後始末のこと考えたらもっとタチが悪い!!害悪ですらあるね!!」
止まらないアーランクルの罵詈雑言にガルシアは壊れたラジオのようにごめんなさい…ごめんなさい、と繰り返すのみである。
「チッ……しばらくはこの街に滞在する。それまではしっかり頭冷やしとけ」
そう言って部屋から出ていくアーランクル。バタン!と乱暴に閉められたドアを見つめながらひたすらごめんなさいごめんなさい、と呟き続けるガルシアだった。