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プロローグ
そこは、宇宙のようだった。四方を囲む群青色と、絵の具を垂らしたように存在するあまたの光。僕は、美しさとともに畏怖を覚えた。少し離れたところに椅子が二つとテーブルが一つ存在する。その椅子の片方は現在その勤めを全うしている。ある男をその上に乗せて。たいそうきれいな男だ。顔だけでない。このおかしな風景に溶け込む髪、自分を見透かすような星色の瞳、芸術品のような肢体、そしてその人を強調しながらも自らの存在感を放つ衣服。醜いという言葉が存在することを禁じられているように感じた。
「早くこっちにきたまえ。時間を浪費するわけにはいかないのでね。」
川の流れのように緩やかで、しかし力強い声。導かれるかのように足は前に進む。主人の判断が下されることを待たずに。不思議なことに浮遊感のようなものはなかった。ただ声のもとへと進む。
「それに腰かけたまえ。」
男と向かい合うようにして座る。
「さて、始めようか。」
テーブルの上に生まれた水晶玉に自然と目が向く。そして、物語が映し出される。