ツタンカーメンの目玉はどこへ ⑤
ここは非常に重要なので、ツタンカーメン王墓の発掘状況を軽く説明しておこう。
発掘者はハワード・カーター。
イギリスの考古学者である。
念のためつけ加えておけば、カーナヴォンという貴族がスポンサー兼チームの代表であり、カーターは発掘現場を指揮する者という立場ということになっているので、ツタンカーメン王墓の発見者をカーナヴォンと書かれていても間違っていないらしい。
ただし、世間一般ではツタンカーメン王墓の発見者はカーターとされており、ここでもそれに従うことにする。
発見は千九百二十二年十一月。
そこから、土砂を取り除き、記録を取りながら奥へと進む。
そして、発掘は玄室に進む。
まず部屋一杯になる厨子を解体する。
そして、次が石棺。
それから、棺となる。
この間をカーターは細かな記録を取り、発見された遺物を丁寧に写真に収める。
当然三つの棺も写真に収められ、その後綺麗にされる。
ふたつの棺が取り除かれ、三つ目の棺である黄金の棺が姿を現す。
もちろん手をつける前に写真撮影がおこなわれるわけだが、このときには黄金の棺にも目が備わっていたのが確認できる。
だが、棺のクリーニングが終了し、立てかけられた形で撮影された写真では黄金の棺は目の部分は窪み何もない現在の状況になっている。
そう。
つまり、目玉がなくなったのはカイロ博物館に運び込まれた後などではなく、カーターが王墓の調査中ということになのである。