表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
呪われた仮面公爵に嫁いだ薄幸令嬢の掴んだ幸せ【書籍1巻&コミックス2巻発売中!】  作者: 花宵


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

29/50

第28話 仮面公爵は少しでも危険を排除したい

 世界樹に祈りを捧げるため、リフィアはオルフェンと共にイシス大神殿を訪れていた。


「伯父上。僕が迎えに来るまでリフィアの事、くれぐれもよろしくお願いします」

「勿論だ。優秀な神殿騎士を護衛につけるし、神殿内の一番安全な部屋をリフィア様専用に準備してある。たとえ魔王だろうと近寄れないから安心してくれ」

「オルフェン様。お仕事中に、お手数をおかけして申し訳ありません」


 イシス大神殿への送り迎えでわざわざオルフェンの手間を煩わせてしまった事に、リフィアは申し訳なく思っていた。


「僕がやりたいからやっているんだ。何も気にする必要ないんだよ」

「そうですよ、リフィア様。こちらから使者を送るといってもかたくなに断ったのはオルフェンですから、お気になさる必要は微塵もございませんよ」


 どこかトゲのあるエレフィスの言葉に、オルフェンの眉がピクリと動く。


「もし転移中に事故でも発生したら大変ですから。優秀な神殿騎士の中に、自由に転移できる者は居られますか?」

「残念ながら、そこまでの者は居ないよ」

「そうでしょう? 危険に繋がる事は徹底的に排除しないといけませんので、僕が送り迎えするのが適任なんですよ」

「オルフェン、あまり束縛しすぎてリフィア様に愛想をつかされないようにな……」


 アレクシスの血を濃く継ぎすぎたのだろうな……と、エレフィスは乾いた笑いを漏らす。


「ぼ、僕はそんな事してないよ!」

「昔からお前は、大事なものは奥深くに頑丈に鍵をかけてしまっておく癖があるからな」

「それはアスターのせいです。僕は学習しただけですよ」


 げんなりした顔でオルフェンが呟く。アスターの目のつく所に大事なものは飾っておくな、それは子供時代にオルフェンが学んだ痛い教訓だった。


「オルフェン様が大切にされていたものって何ですか?」

「えっと、それは……」

「可愛い動物の置物だよ」


 気まずそうに言葉を濁したオルフェンの代わりに、エレフィスが答えた。


「伯父上!」

「別に隠す必要もないだろう。リフィア様がそんな事くらいで、お前を嫌いになると思っているのか?」


 恥ずかしそうに頬を赤く染め、オルフェンが口を開いた。


「魔力の強い僕には、怖がって動物が全く寄り付かないんだ。触れられないからその代わりに……昔よく集めてたんだ」

「だから先日、エレフィス様は動物のぬいぐるみをお渡しになっていたのですね!」

「い、今は別に集めてないからね!」


 必死に否定するオルフェンに、リフィアは「どうしてですか?」と首を傾げる。


「だって、その……もう子供ではないし……」

「好きなものを集めるのに、年齢は関係ないと思います」


 予想外の答えに驚いたのか、オルフェンは目を見張る。


「リフィアは嫌じゃないの? 僕がそんなものを集めていたら……」

「とても素敵だと思います。そうだ、オルフェン様! オルゴールを飾っている部屋に一緒に並べてはいかがでしょうか? 可愛い動物さん達と一緒に演奏会を聞いているみたいで、きっと楽しいと思うんです!」


(森の中を連想させるように、部屋をアレンジしたらもっと楽しそうだわ!)


 瞳をキラキラと輝かせて提案するリフィアに、「本当に敵わないな……」と、オルフェンは嬉しそうに呟く。


「ありがとう、リフィア」


 優しく目を細めてオルフェンは頭を撫でてくれた。


「ふふ、楽しみです!」


 日頃のお礼に、オルフェンに何か贈り物をしたいと思っていた。


(思わぬ形でオルフェン様の好きなものを知れて、よかったわ)


 プレゼントの方向性が定まって、リフィアからも自然と笑みがこぼれる。


「あ、そうでした伯父上。ついでに一年分の魔力結晶を奉納しておきますね」


 帰り際、思い出したかのように、オルフェンが手に付けていた腕輪を外して机に置いた。それは、魔力結晶の嵌め込まれた魔法具の腕輪だった。


「一年分も貯めたのかい!?」


 目を大きく見開いて驚くエレフィスに、涼しい顔をしてオルフェンが答える。


「面倒なのでまとめて貯めておきました」

「どこも毎月規定量の魔力結晶を作るのに苦労しているというのに。やはりお前はすごいな」

「呪いが解けた今、これくらいどうってことありませんよ。むしろ昔より、魔力も増えた気がします」


(毎月奉納する分の魔力を結晶に貯めるだけでもお父様達は大変そうだったのに、それを一年分だなんて……)


 ヴィスタリア王国では、爵位ごとに奉納する魔力結晶の量が違う。公爵位ともなれば貴族の中では最高位にあたるため、三番目の伯爵位に比べてその量は倍近く差がある。

 それを涼しい顔で一年分まとめて奉納できるオルフェンの魔力量の多さに、リフィアは改めて驚かされていた。


(オルフェン様を見習って、私も頑張ろう)





 リフィアが定期的にイシス大神殿へ通い世界樹に祈りを捧げるようになって、ヴィスタリア王国には様々な変化が訪れた。


 目に見えて変化が訪れたのは、魔物の出現量だった。各地で農村や海上を荒らしていた魔物の出現量が減り、安定した作物の収穫や漁業が出来るようになった。


 街道で人々を襲う魔物も減り、以前のように行商や旅芸人の巡回も活気を取り戻しつつあった。


 また日照りが続き干ばつ被害が深刻だった南部地方には雨が降るようになったり、年々寒さが厳しさを増す北部地方では吹雪が止んで晴れの日が続いたりと、人々が生活を営みやすい環境へと変化が現れ始めていた。


「東部地方で続いていた火山の活発化も落ち着いたようです。これも全てリフィア様のおかげです」


 嬉しそうに報告してくれるエレフィスに、リフィアは答える。


「エレフィス様、それは世界樹様が頑張ってくれているおかげですよ」


 世界樹のもたらす恩恵は、人々の生活にとっては欠かせないもの。その加護が失われれば、厳しい自然環境の中で人々は生活を営めない。


 感謝を込めて優しく幹を撫でると、世界樹がさわさわと葉を揺らす。


『く……るしい。おねがい、魔力を……止めて……』


 助けを求めるその声は、確かに世界樹から聞こえてきた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
新連載始めました!

魔力過多×暴食。互いの欠けを補い合う、共依存のダーク溺愛ファンタジー

わたくしを殺して、自由になりませんか?~偽装悪女の政略結婚~
(クリックで作品ページへ)
+ + +
『B's-LOG COMIC』より、コミックス2巻が1月30日(金)に発売します!
呪われた仮面公爵に嫁いだ薄幸令嬢の掴んだ幸せ
(クリックでAmazon商品ページへ)

コミカライズの試し読みは下記のリンクをご利用ください!(1話無料でお読みいただけます)
カドコミ


書籍1巻が『角川ビーンズ文庫』より発売中です!
呪われた仮面公爵に嫁いだ薄幸令嬢の掴んだ幸せ
(クリックでAmazon作品ページへ)
+ + +
「第11回ネット小説大賞」で小説賞受賞
書籍2巻、発売中です!
訳あり令嬢は調香生活を満喫したい! ~妹に婚約者を譲ったら悪友王子に求婚されて、香り改革を始めることに!?~
(クリックでAmazon商品ページへ)

『コミックグロウル』で、コミカライズの連載中です!
訳あり令嬢は調香生活を満喫したい! ~妹に婚約者を譲ったら悪友王子に求婚されて、香り改革を始めることに!?~
コミカライズの試し読みは下記のリンクをご利用ください!(1話無料でお読みいただけます)
コミックグロウル

+ + +
「第1回BKコミックスf令嬢小説コンテスト」で佳作受賞
コミックス単行本1巻が、『BKコミックスf』より、発売中です!
汚名を着せられ婚約破棄された伯爵令嬢は、結婚に理想は抱かない
(クリックでAmazon作品ページへ)

コミカライズの試し読みは、下記の先行配信先をご利用ください!
ピッコマ作品ページ

+ + +
COMICスピア コミカライズ原作大賞で、
準大賞と特別賞を頂きました!
特装版1巻(Renta限定おまけ漫画あり)配信中です
異世界転生して幻覚魔術師となった私のお仕事は、王子の不眠治療係です
(クリックでRenta!販売ページへ)

小説の電子書籍はコチラ↓ 異世界転生して幻覚魔術師となった私のお仕事は、王子の不眠治療係です
(クリックでRenta!販売ページへ)
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ