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呪われた仮面公爵に嫁いだ薄幸令嬢の掴んだ幸せ【書籍1巻&コミックス2巻発売中!】  作者: 花宵


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第25話 薄幸令嬢は王都観光を満喫する

「用事も全て終わった事だし、王都を観光して帰ろうか」

「はい、楽しみです!」


 転ぶといけないからとオルフェンに腰を抱き寄せられ、王都の中央広場に設置された中級転移門へとワープした。


 広場を見渡すと楽器を演奏したり、歌ったり踊ったりなど、それぞれの得意な芸を披露している人達が目に入る。

 少し離れた場所には露店があり、アクセサリー類の小物や絵画、本や工芸品の他に食べ物や飲み物など様々なものを販売しているようだ。


「オルフェン様、これがお祭りというものでしょうか?」


 目の前の光景に心を踊らせながらリフィアが尋ねた。


「ここのムーンライト広場は、王都の中でも一番活気のある場所でね、毎日こんな感じだよ」

「いつもこんなに賑やかなイベントが行われているのですか!?」

「うん。ここはヴィスタリア王国の流行の発信源とも言われている場所でね。色んな道の職人や芸術家達が、こぞって自分達の作品を披露したり販売する場所なんだよ」

「だからこんなに賑やかなのですね!」

「ここに来れば、リフィアの好きなものが見つかるかもしれないと思ってね」

「初めて見るものばかりで、とてもわくわくします!」

「ゆっくり見て回ろうか」

「はい、楽しみです!」


 目に映るもの全てが珍しく、「見てください、オルフェン様!」とはしゃぐリフィアに、オルフェンは優しく相槌を打って色々説明してくれる。


「とても素敵な音色が流れるあの箱は、何て楽器なのでしょうか?」


 箱に付いたハンドルをぐるぐる回して陽気な音楽を奏でている大道芸人を見て、リフィアが尋ねた。


「あれは手回しオルガンだね。ハンドルを回して空気を送ることで、あのパイプから音を鳴らしているんだよ。リフィアはもしかして、音楽を聞くのが好き?」

「はい! 美しい音色に耳を傾けていると、幸せな気持ちになります」

「確か初めて会った時も、楽しそうに音楽に耳を傾けていたね」

「あ、あの時は! その……」

「楽しそうに微笑む君の横顔がとても綺麗だった。少しでも長くその笑顔が続けばいいなって、気がついたらあんな事をしていて……走って逃げられたらどうしようかと、実は内心ひやひやしてたんだ」

「そうだったのですか!?」

「うん……」


 オルフェンは恥ずかしそうに口元に手をやり頷いた。


「あの時は、とても嬉しかったです。こうしてオルフェン様と一緒に居られることが、本当に奇跡のようで幸せです!」

「僕もだよ。そうだ、折角だからオルゴールでも買っていこうか」

「オルゴールとは?」


 首を傾げると、オルフェンが優しく微笑んで答えてくれる。


「ネジを回すと、巻いた分だけ音楽が鳴るんだ。工房系の露店エリアに行ってみよう」


 そうして目的の場所へ向かおうとした時、斜め前方から元気な男の子の声が聞こえてきた。


「今から手品をやります! お兄様方、お姉様方、よかったら見ていってくださーい!」


 シルクハットを被りハーフパンツのタキシードに身を包んだ少年の呼びかけに、歩いていた人々が足を止める。


「珍しいね、折角だから見ていこうか」

「はい!」


 少年はポケットからカードを一枚取り出した。


「ここに何の変哲もない、ただのカードがあります。そこの綺麗なお姉さん! よかったらこのカード、二回破いてもらえませんか?」


 そう言って少年はこちらにカードを差し出してくる。受け取っていいのか分からずオルフェンを見上げると「大丈夫。やってごらん」とアドバイスをくれた。


「分かりました」


 少年から受け取ったカードを、リフィアは言われた通りに二回破いた。


「ありがとうお姉さん!」


 破ったカードを返すと、少年は笑顔でそれを受けとってくれた。


「それでは今から、この破れたカードを元通りになおしたいと思います!」


 少年は破れたカードを、小さくぎゅっと丸めていく。それを右手で握ると、「カードよ元に戻れ~元に戻れ~!」と左手で力を送るかのような仕草をして念じる。


「ご覧ください。僕のパワーが通じました!」


 右手から取り出したカードを、少年は観客に広げて見せた。パチパチと送られる拍手に、少年は嬉しそうな笑顔を浮かべ「ありがとうございました!」と胸に手をあてて一礼する。


「すごいです、オルフェン様! 破いたカードが元通りになりました!」


 二回も破いたカードが元通りになるなんて一体どんな仕掛けが……拍手を送っていると、オルフェンに頭を撫でられた。


「ふふ、リフィアは本当に可愛いね」

「き、急にどうされたのですか!?」

「食い入るように見つめて、純粋で可愛いなと思っただけだよ」

「とても不思議でしたので。やはりあれも魔法なのでしょうか?」

「いや、あれは魔法じゃないよ」


 再び少年に視線を向けると、光に反射してキラキラと光る銀色の髪が目についた。


「ではあの子にも神聖力が?」

「それも違うと思う。聖女は女性限定だからね」

「そうなのですね」


 どうやって破いたカードを元通りに出来たのだろう? 頭を悩ませるリフィアに、オルフェンが答えをくれた。


「あれはきっとミスディレクションを利用して、こっそりとあらかじめ用意しておいた物と入れ換えているんだよ」

「ミスディレクション、ですか?」

「観客の注意を間違った方に向けて、真実から逸らす技術の事だよ。たぶんあの念じてた時に左手に注目させて、右手ではこっそりあらかじめ握っていたものと入れ換えてたんじゃないかな」

「すごいですね! まさか初見で見破られるなんて思いませんでした」


 シルクハットを手にした少年が話しかけてきた。オルフェンは少年の持つシルクハットに、懐から取り出した金貨を数枚入れて言った。


「妻を楽しませてくれたお礼だよ」

「ええ?! こんなにいいんですか!?」


 少年はシルクハットに入れられた金貨を見て、目を見張る。


「また面白い手品を期待してるよ」

「ありがとうございます!」


 少年は深く頭を下げてお礼を言った。


「あの、とても面白かったです。また見せてくれると嬉しいです」

「今度は違う手品をお見せしますから、是非またお越しください!」


 ぶんぶんと笑顔で手を振る少年に見送られて、工房系の露店エリアに向かった。

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