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呪われた仮面公爵に嫁いだ薄幸令嬢の掴んだ幸せ【書籍1巻&コミックス2巻発売中!】  作者: 花宵


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第13話 薄幸令嬢は好転の兆しを見つける①

「このクリスタルを父上に見せれば、聖女としての地位と名誉を手にする事が出来るはずだ」

「私が本当に聖女なら、オルフェン様の呪いを完全に解く事が出来るはずです。ですが毎日祈りを捧げても、未だ完治させる事は出来ていません……」


 リフィアはぎゅっと拳を強く握ると、悲しそうに表情を歪ませた。


「それはきっと、まだ完全に神聖力を使いこなせていないからだよ。どんなに才能がある者でも、練習をしなければ使えるようにはならない。だから焦る必要はないよ。ルーの呪いは、必ず解けるはずさ」


 優しく諭すように、アスターは声をかける。


「どうすれば、使いこなせるようになるのでしょうか?」


 リフィアの質問に、アスターは顎に手を当てて考える仕草を取った後、口を開いた。


「……最後に聖女が確認されたのは、約三百年も前の事なんだ。だから具体的に何をすれば良いというのは、正直私にも分からないんだ、ごめんね」

「いえ、教えてくださりありがとうございます」


 バツが悪そうに頭をポリポリと掻くアスターに、リフィアは慌ててお礼を述べた。


(三百年も昔の事じゃ、分からないのも当然だわ)


「アスター殿下、私はまだ未熟ですし、そのような地位は望んでおりません。オルフェン様の呪いを解いて、少しでも長く共に過ごしたい。私の願いはそれだけです」


 まともに力も使えないのに、そのような大層な地位や名誉を手にしてしまえば、折角見つけた幸せが壊れてしまいそうな気がした。


「フィア。力なき者はいざという時、大切な者を守れない。お前が自身の力を明確にしておく事は、ルーを守る事にも繋がるんだ」

「オルフェン様を、守ることに……?」


 首をかしげるリフィアに、アスターは「そうさ」と説明を続ける。


「ここに来る前、少しだけフィアの事も調べさせてもらった。全く魔力を持たずに生まれた事で、エヴァン伯爵家では酷く冷遇されていたのだろう?」

「…………はい」

「今のままルーの隣に立って社交界に出たら、周囲は容赦なくお前を冷遇するだろう。そしてそれを見てルーは怒るし、少なからず傷付くはずだ。私は優しいお前達がそうして傷付く姿を見たくはないのだよ」


 アスターは悲しそうに目を伏せた。


(私が馬鹿にされるだけならまだ我慢できる。そんなの慣れっこだから。でもそのせいでオルフェン様が心を痛められるのだけは、絶対に嫌だ)


「私が聖女として認められれば、オルフェン様の隣に居ても迷惑にはなりませんか?」

「リフィア。たとえ君が聖女でなくとも、僕は迷惑だなんて微塵も思っていないよ。そこだけはどうか勘違いしないでね」


 リフィアの不安を拭うように、オルフェンは仮面の奥で目を細めて言った。


(オルフェン様はやはり、とても優しい方だわ……)


「ただ出来ることならリフィアには自分の正しい価値を知ってもらって、自信をつけて欲しいと思う。今までの環境が君の自尊心を深く傷付けてきた。それを見返す絶好の機会だと思うから」

「ありがとうございます、オルフェン様。何だか勇気が湧いてきました! 私は胸を張ってオルフェン様の隣に居たい。だからこの力をしっかり使えるように努力しようと思います」


 二人の話に聞き耳を立てていたアスターが、嬉しそうに口を開いた。


「それじゃあルーの呪いが完全に解けた時に、聖女としての地位を与えるのはどうかな? 実績もきちんとあるし、自信持てると思うんだ」

「アスター、たまには良い事言うな」

「たまにはってひどい!」


 心底驚いたといわんばかりのオルフェンに、アスターはすかさずツッコミ返す。


「とても良いご提案をありがとうございます。頑張ってオルフェン様の呪いを解いてみせます!」

「それでこれからの事なんだけど、フィアには冬の舞踏会までに、ルーの呪いを完全に解いて欲しいんだ。ルーにはそこで仮面を外して、呪いが完全に解けたことを示して欲しい。『聖女』の誕生とヴィスタリア王国の叡知『黒の大賢者』の完全復活を、皆に御披露目しようではないか!」

「黒の大賢者?」


 聞きなれない言葉にリフィアが首を傾げると、アスターが答えた。


「ルーの持つ称号だよ。黒髪を持って生まれるのはクロノス公爵家だけでね、彼はわずか十歳にしてこの国一番の魔法の使い手となった。そこで与えられた称号が、ヴィスタリア王国の叡知『黒の大賢者』。バジリスクの呪いを受けながらもここまで進行を遅らせる事が出来たのは、ルーが強い魔力で抗っていたからでもあるんだよ」

「オルフェン様、とてもすごい方だったのですね!」


 全く魔力を持たない自分と対局に位置する黒髪を持つオルフェンが王国一と呼ばれるのは、素直に納得できたリフィアだった。


 キラキラとした眼差しを向けられ、オルフェンは恥ずかしそうに口を開いた。


「大袈裟に言い過ぎだ、アスター。それを言うなら君だって、王家が生んだ奇跡の存在『希代の天才占星術士』だろう」

「占星術士とは……?」

「すこーしだけ未来を読み解く事が出来るんだ」

「未来が分かるのですか!?」


 大賢者に天才占星術士……ここには凄い人しか居ない。これが上流階級の世界……とリフィアは驚きを隠せなかった。


「そうそう。今日ここに来れば好転の兆しが出ていたから、全てを放り投げて来たんだ!」


 魔法で本を出現させたアスターは、パラパラとページをめくって光を放つ目的のページを二人に見せる。


「ちなみにこれは星の導きなんだけど、ルーの呪いはフィアが彼の全てを受け入れた時に解けるって出てるんだ。そこで聞きたいんだけど、初夜は済んだの?」

「君はいきなり何を言い出すんだ!」

「はい、オルフェン様の看病のために共に一晩過ごした事はあります」


 顔を赤く染めるオルフェンの隣で、リフィアは顔色一つ変えず普通に答える。


「え、なに……看病プレイとかしてるの? それがルーの趣味なの?」

「引いた目で見るな! まだ何もしてない!」

「初夜って、同じ部屋で共に一晩過ごす事じゃないのですか?」

「……え?」

「まさか……」


 きょとんとした顔で尋ねるリフィアに、二人は動揺を隠せずに居た。


「ねぇ、フィア。どうやって赤ちゃんが生まれるか、知ってる?」

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