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第66話 オックスター

二章開始です!

よろしくお願いいたします <(_ _)>ペコ


 一週間かけ、六つの村や街を経由しつつ、俺達はようやく目的地であるオックスターへと辿り着いた。

 この一週間の旅路はハプニングや事件満載だったが、なんとか誰一人として怪我や病気にかかることなく、オックスターへと辿り着くことができた。


「あの街がオックスターですか? 思っていたよりも早く辿り着けましたね」

「そうか? 色々ありすぎて、予定よりも大分かかってしまったと思うんだが……」

「俺も短く感じたなぁ。楽しかったからかもしんないけどよ!」

「あー、楽しかったっていうのはありますね。楽しい時間は過ぎるのが早く感じますから」


 オックスターまでの道中の感想を各々言い合いながら、俺達は目の前に見える街を目指して歩く。

 門はあるけど、レアルザッドや王都のようにしっかりとした作りではなく、入門検査もない。

 

 レアルザッドの時は、大量の毒草の上に薬草を置くことでなんとか誤魔化していたが、入門検査がないということはその作業を一切しなくていいということ。

 しこたま有毒植物を採取する予定の俺としては、入門検査がないというのは非常にありがたい。


 街に入ると、三大都市であるノーファストの近くの街なだけあり、やはり人はそこそこいるのだが……。


「思っていたよりも大きい街じゃないな。レアルザッドよりも幾分か小さい」

「確かに、あまり大きい街という訳ではなさそうですね」

「まぁ結局、俺達にはレアルザッドが大きすぎた気がするしなぁ。幼少期から過ごしている俺やヘスターですら、表通りのお店は数回しか行ったことないし」


 俺の生まれ故郷のデジールと、レアルザッドの中間くらい大きさの街って感じだ。

 広すぎても困るし、これぐらいの規模感の街の方が早く馴染めるから逆にいいような気がする。


「それもそうだな。何か買うものに困ったら、近くに三大都市のノーファストがある訳だし、立地的には最高かもしれない」

「そうですね! 駆け出しの私達には丁度良い街って感じです」

「それじゃ、一周ぐるりと街を回ってみようぜ! んで、良い定食屋に目星をつけておこう」

「定食屋の前に、拠点とする宿屋と冒険者ギルドからだろ。あとは鍛冶屋と武器屋と道具屋の位置も見ておきたい」


 俺は教会の場所も知っておきたいが、顔立ちの良い神父の話もあったから若干怖いんだよな。

 安直に冒険者名を“クリス”で登録してしまったが、偽名を使うべきだったと安直な行動を少し後悔。


 もう一枚、新たに冒険者カードを発行するのもありだが、一人で二人分の冒険者登録は除籍処分になると、冒険者になる前の説明で伝えられている。

 頻繁に教会に出入りしていたこともあるし、身分を偽ったのがバレて冒険者を除籍される方が辛い。

 “クリス”の名を変えることはひとまず却下とし、俺達はオックスターの街の散策を始めた。

 


「雰囲気も悪くねぇな! 裏通り的な場所はなさげだけど、露店を見る限りは物価も高くねぇし」

「そうだね。お店の種類も豊富だし、金銭的に裏通りしか利用できなかった私達からしたら利用できるお店は増えたのかも」

 

 二人の言う通り、お店は全体的にみても悪くない。

 今歩いている商業通りを見る限り、雑貨屋に八百屋に武器屋に鍛冶屋に酒場。

 それから料理屋に洋装品の店もあって、今一番必要としている宿屋も商業通りに何軒かあった。

 そして俺が一番気になったのは……


「なぁ、あの店なんだ? 錬金術師……。ヘスター、聞いたことあるか?」

「あー、確かポーションを作る人のことだったと思います。レアルザッドでは、ギルドがあった工業地区の工場で、ポーションを作っていたので錬金術師はいませんでしたが、工場がない村や街では錬金術師がポーションを作っているみたいですよ」

「へー。それは少し興味がある。……それにしても、ヘスターは随分と詳しいな」

「実は、『天恵の儀』で【魔法使い】の職を授けられたときに、色々と調べたことがあったんです。錬金術師は【魔法使い】の適性職業の人が多いと、『七福屋』のおじいさんが言ってましたので」


 ヘスターは、どうにかして適性職業を活かせないかを模索していたんだな。

 錬金術師はポーションを生成することができる――か。


 これは、もしかしたらこの近くの森や植物に詳しい可能性が出てきた。

 近い内に尋ねて、錬金術師の人とは仲良くなっておきたい。


「錬金術師はいいだろ。腹減ったから飯屋を探そう!」

「飯屋の前に宿屋だ。二人共、値段の安い宿屋の名前と位置を覚えておいてくれ」

「大丈夫です。商業通りにある宿屋の値段と名前は全て覚えました! 別の通りに行ってみましょう」

「流石だな。飯のことしか頭にない誰かさんと違って、本当に頼りになる」

「うるせぇ! クリスだって錬金術師のことで頭いっぱいだったろうが」


 俺のちょっとした嫌味に反応してきたラルフを無視し、商業通り以外も見ていくことにする。

 目当ての店は大体見つかったが、肝心の冒険者ギルドと教会も見つかっていないしな。

 まぁ最初から商業通りにあるとは思ってはいないため、気を取り直して街の奥側の散策に向かった。



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― 新着の感想 ―
[一言] コイツ、追われてるくせに何で偽名使わなかったんだろう、って思ってたら普通にアホだったんですね。
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