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第57話 情報屋


 手術が終わって二時間後。

 ようやくラルフが目を覚ました。


「ラルフ。気分はどうだ?」

「……んあ? …………ああ、そうか。手術を受けていたんだっけ」


 まだ寝ぼけているのか、小さくそう呟くと自分の足をゆっくりと見つめた。

 ガッチリと固定されていて傷口は見えないため、足を見てもあまり実感が湧いていない様子。


「痛みとかはないのか?」

「……ああ。というか、麻痺していて何の感覚もないな」

「まだ薬が抜け切れていないんだな。ブラッド曰く、手術は成功したようだぞ。まだ安心はできないけどな」

「順調に回復していけば元通り動けるって言ってたよ」

「……そうか。……クリス本当にありがとな」

「だから、まだ早いっての。ほら、宿屋に帰るぞ。おんぶか杖での自力か、どっちがいい?」

「今日はおぶってもらうわ。下半身が麻痺していて、まだ歩けそうにない」

「そうか。なら背中に乗れ」


 まだ元気のないラルフを背負い、俺達は『ギラーヴァルホテル』へと戻った。

 盛大に成功祝いを行う予定だったが、この様子では行うことは難しそうだな。



 部屋に戻ってご飯を食べ、ラルフが寝たのを確認してから、俺とヘスターは夜の街へと出てきた。

 王都に来たもう一つの目的である、クラウスの情報集めをこれから行っていく。


 今日はもう夜が遅いため、ヘスターがブラッドを探すために利用した情報屋のところにだけ行くつもりだ。

 とあるバーの一室で情報屋業を営んでいるようなのだが……。


「ヘスター、このバーなのか?」

「はい。この建物の二階にあるバーです」


 闇市場の中ではないのだが、闇市場に近い位置にある年季の入った建物。

 一階は既に閉まっているため正確には分からないが時計屋か何かで、二階が例のバー。

 三階以降にも店が入っていて、三階は何人もの女の顔写真が貼り出されているいかがわしい店で、四階はピンク色の文字でマッサージ店と書かれたこちらも恐らくいかがわしい店。


 全ての店が怪しさ満載なのだが、はたして入って大丈夫なのだろうか。

 ヘスターはそんな俺の心配も気にする様子もなく、ずかずかと迷いなく建物の中に入って行った。


 階段を上り、『OPEN』と書かれた古臭い木製の扉を押し開け、バーの中に入る。

 怪しさ満載だった外観とは打って変わり、お洒落な内装の小綺麗なバーだ。

 

 それに結構な数の人で賑わっており、客の雰囲気も悪くない。

 中心街から離れている上に、怪しさしかないバーの客なんてチンピラに近い人種しかいないと思っていたんだけどな。


「情報屋はどいつなんだ?」

「ちょっと待ってください。マスターに話をしてきますので」


 そういうと、マスターの真正面のバーカウンターに座り、銀貨二枚をテーブルの上に置き、何かを注文したヘスター。

 注文を受けたマスターは、グラスに水を注いでコースターの上に置き、それをヘスターに提供した。

 それから出された水を一気に飲み干すと、軽く会釈をしてから俺の下へと戻ってきた。


「今ので何かやり取りしていたのか?」

「はい。私についてきてください」


 言われた通り、ヘスターの後をついていくと、扉にポストのような穴の開いた部屋の前で立ち止まり、その部屋についた穴に先ほどのグラスの下に置かれていたコースターを入れた。

 しばらくしてから、カチリと開錠される音が聞こえたため、ヘスターは四回ノックした後に部屋の中へと入っていく。


「どうも、いらっしゃい。……あら、この間来てくれた子ね」

「お久しぶりです。情報を頂きたくて、また訪ねてきました」

「そう。どうだった? 前回の情報は」

「お陰様で見つけることができました。ありがとうございます」


 薄暗い部屋の中に座っていたのは、体中に紋章のようなタトゥーが彫られた男性。

 頭は刈りあげており、顔にもタトゥーが彫られているせいで正確な年齢が判別できない。

  二十代と言われれば二十代だし、四十代と言われれば四十代にも見える――そんな顔をした男性だ。


「ふっふっふ。それは良かったわ。今日はどんな情報が欲しいの? 安くはないけど、私が知っていることなら教えてあげるわ」


 情報屋の男がそう言葉を発したため、ヘスターは俺の方へ振り向き質問をするように仰いだ。

 俺はその情報屋の男に、クラウスについての情報がないかを問いかけたのだった。


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