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後日譚 第94話


 情報料を多めに支払ったことだし、このまま『イレブン商会』についても教えてもらうとしよう。

 まずは、『イレブン商会』がどういった道具屋なのかを聞こうか。


「面白い情報をありがとう。その情報が本当であれば、確かにブルターニュ家に繋がっている可能性は高いな。まず『イレブン商会』についてを聞きたいんだが、教えてくれるか?」

「もちろん教えるわよ。奮発してもらっちゃったからね。王都の大通りにも店を構える道具屋で、国内だけで十数店舗を構える大手の道具屋。元々は安さを売りにしていたんだけど、今はそこそこの値段って感じの普通の道具屋ね」

「聞いたこともなかったが、そんなに店舗数がある道具屋なのか。それで……そんな大手の道具屋の黒い噂ってなんなんだ?」


 大通りにも店を構えているとのことだったし、悪事に手を染める必要がないと思ってしまう。

 大手だから悪事に手を染めないという考え自体が、素人の考えなのかもしれないが。


「人身売買を行っているって噂ね。国内だけでも十数店舗。国外にも手を広げていることから、色々な国や街で人を買っては奴隷にして、王都の闇市で売り捌いているって噂があるの」

「奴隷にしている――か。ということは、闇市にいる奴隷は『イレブン商会』が連れてきた人たちってことなのか?」

「確証はないけれど、そう言われているわね。安さを売りにしていた頃は、それなりにお客さんも入っていたみたいだけど、今は道具屋として人気がある訳ではないのよ。少なくとも、未だに大通りの一等地で店を構えられているのは異常ね」

「だから、そんな噂がついたんだな。具体的な話はなく、信憑性としては高い訳ではないって感じか?」

「具体的な話もあるわ。火のないところに煙って発たないのよ。『イレブン商会』のオーナーが、頻繁に闇市に出入りしているところを目撃されているわ。単純に買い物をしているだけの可能性もあるけれど、オーナーの護衛が元ザマギニクスの構成員なの」


 そうドヤ顔で話した情報屋。

 正直、まだ確証とはいえる情報ではないが、この二つの情報は大きいことに間違いない。


 闇市で張って、『イレブン商会』のオーナーが来るのを待ってもいいし、元ザマギニクスの護衛を狙って情報を探ってもいい。

 そして『イレブン商会』が黒と分かれば、後は『イレブン商会』とブルターニュ家の繋がりを調べるだけとなる。


「まだ確定とはいえないが、ほぼ黒といえるな。良い情報も貰うことができた。ありがとう」

「んふ、情報量はたんまり貰ったからいいのよ。ただ……あまり深入りはしない方がいいわ。この国の闇を覗き見ようとしている訳だからね」

「忠告ありがとう。ただの興味だし、深入りするつもりはない」

「そう。それなら安心だわ。可愛い子が死ぬのは嫌だからね」


 投げキッスをしてきた情報屋に軽く頭を下げてから、俺はバーを後にした。

 『イレブン商会』を調べるのは、明日ブルースに報告してからでもいいと思ったが……とりあえず張り込みだけするか。


 何かしら動きを見せるかもしれないし、ブルターニュ家ならまだしも、『イレブン商会』の方は警戒も緩いだろう。

 単独で行動することを決めた俺は、そのままの足で『イレブン商会』に行ってみることにした。



 情報屋から教えてもらった情報を頼りに、大通りの一等地へとやってきた。

 あまり意識していなかったが、本当に大通りのど真ん中に『イレブン商会』の店が構えられていた。


 最高の立地の上、看板もデカデカと掲げられているのだが、情報屋が言っていた通り人気店という感じではない。

 もちろん好立地ということもあり、客がゼロという訳ではないが、もし常にこの客足なのであれば、ここで店をやっていくのは不可能ということはド素人の俺でも分かる。


 この客足だけで、情報屋の話の信憑性が増したな。

 とりあえず確定させるためにも、『イレブン商会』と闇市の繋がりを探る。


 ひとまず普通の客として、『イレブン商会』にやってきた。

 商品は極めて普通のものばかりで、日用品から冒険者用の戦闘アイテム、それからポーション類と目立ったものは売られていない。


 唯一、イレブン商会饅頭というのが、オリジナル商品みたいだが……決して買おうとは思えない。

 適当にポーションを数本だけ購入し、俺は『イレブン商会』を後にした。


 ごく普通の道具屋ではあったが、オリジナリティが一切ない上に値段も安くない。

 店員の態度も良いとは言えないし、客がいないのも頷ける道具屋というが入った感想。

 店からじゃ、これ以上は何も見つからなさそうだし、張り込んでオーナーか護衛がやってくるのを待つとしようか。


 大通りの一等地ということもあり、人の往来が多いため非常に張り込みやすい。

 近くには喫茶店もあるため、俺はそこの喫茶店の窓側に陣取り、コーヒーを飲みながら張り込んでいる。


 張り込みを開始してからしばらくは特に変わった様子もなかったが、一時間ほど経った時、『イレブン商会』にあからさまに派手な格好をした人が入っていった。

 もしかしたら客かもしれないが、護衛もつけていたしオーナーな気がする。

 とりあえず……確認しに行ってみるとしようか。



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