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【完結】追放された名家の長男 ~馬鹿にされたハズレスキルで最強へと昇り詰める~  作者: 岡本剛也
8章

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後日譚 第92話


 翌日。

 俺はラルフとへスターと別れ、話していた通り貴族を探ることにした。


 アレクサンドラは立場上、表立った動きはできず、ギルモアも副隊長ということで同じ理由で動けない。

 ということで、ブルースだけを貸してもらい、俺はブルースと二人で貴族について探ることになった。


「まさかクリスと一緒に行動することになるとはな! 初めて出会ったときは想像もしていなかったぜ」

「俺も思っていなかった。というよりも、俺に対して敬語じゃなくていいのか?」

「今は隊長がいないからいいんだよ。それとも敬語を使ってほしいのか?」

「いや、別にどっちでも構わない」

「じゃあタメ口でいかせてもらう! 喋りづらいしな」


 ブルースとそんな会話をしつつ、まずは王城に向かうことにした。

 闇市では貴族の影すら見えないということもあり、今のところ手がかりがゼロ。


 そのためシャーロットから話を聞き、ギルモアから聞いた噂と照らし合わせて確かめていこうと考えている。

 つい先日まで魔王を討伐すると息巻いていたのに、急に貴族のことを調べ始めたらシャーロットには変な奴だと思われるだろうが、こればかりは仕方がない。


「王女様とも交友関係を持っているって強いな! クリスが強いのは知っているけど、隊長もお前には敬意を示しているし……一体何者なんだ?」

「別に何者でもない。それよりも、ブルースは変な奴がいないかの注意だけしておいてくれ。見たことがないやつがつけていたら、すぐ俺に報告しろ」

「分かってるよ。ただ、まだ勘づかないと思うぜ? 隊長と副隊長がこちらに目を向かないようにしてくれるって話だったし」

「だとしても、警戒するに越したことはない。王城は敵のテリトリーである可能性が高い訳だしな」


 裏で糸引いている人間が有力貴族であった場合、この王城もテリトリーにしている可能性は非常に高い。

 少しでも勘づかれないためにも、こちらは常に十分な警戒をして動く。


「ここが王女様の部屋なのか! 俺、初めて入るわ」

「そうなのか? 王国騎士団に所属しているなら、何度か入ったことがあると思っていた」

「そんな訳ないだろ! 側近ぐらいしか普通は入れない。隊長ですら特別なぐらいだぞ」

「そう聞くと、俺が特別な気がしてきた。まぁいいや。とりあえず中に入ろう」


 部屋をノックしてから、俺は慣れた手つきで部屋の中に入った。

 ブルースは緊張しているようで、手と足が一緒に動いている。


「あら。王国騎士団からのアポイントメントだったからアーシャかと思っていたけど、クリスだったの?」

「シャーロットにちょっと聞きたいことがあって、今回はこういう形で話をする機会をもらった。……他に聞かれたくない話なんだが大丈夫か?」

「大丈夫よ。この部屋は安心だから。それで、聞きたいことというのは魔王のことかしら?」

「いや、違う。貴族について教えてほしいと思っているんだ」

「貴族のこと……? もしかして、貴族の中に魔王と関わりがある人間がいたの?」


 シャーロットは俺が魔王を追っていると思っているため、さっきから話がかみ合わない。

 ここはしっかりと訂正してから話をした方がてっとり早いだろう。


「それも違う。今、俺が追っているのは闇市についてなんだ。魔王のことは頭から消してくれ」

「闇市について追っている? クリスは本当に分からないわね。……まぁいいわ。貴族の何についてを聞きたいの?」

「黒い噂がある貴族を教えてほしい。闇市を調べていく中で、貴族が関わっているんじゃないかっていう説が出てきて、俺はその説が濃厚だと考えている」

「そういうことね。ドス黒い噂がある貴族なら心当たりはあるわよ」

「それは本当か? 名前は教えられるか?」

「もちろん。ルイーズ・フルク・ダラゴナ、ゴドフロア・リッシュ・ブルターニュ、そして……ゾフィー・ルドヴィク・フォン・ベルジック」


 何だか長い名前を羅列したシャーロットだけど、俺は誰一人として聞き覚えのない人間。

 首を傾げつつ、ここまで一言も言葉を発していないブルースに視線を向けると、口をあんぐりと開けたまま硬直していた。


「……ブルース。この三人を知っているのか?」

「し、知っているも何も……ベルジック家はこの国の三大貴族の内の一つだぞ! ダラゴナ家もブルターニュ家も、王都で知らない人間はいない大貴族だし、何より全員が王族派の人間だ!」

「王族派の人間? ――シャーロット、そうなのか?」

「ええ、そうよ。王というよりかは王子。つまり、私の兄についている貴族ね」


 てっきり貴族派、もしくは中立派の貴族だと思っていたが、まさかの王族派の貴族が闇市を裏で糸引いていたとは思わなかった。

 シャーロットの兄が知っているのかどうかは分からないが、もし知っているのだとしたら……いずれ国ぐるみでの動きになることの示唆。


 反吐が出そうになるが、まずは冷静に情報の整理を行うことが最優先。

 シャーロットも繋がっているかどうかも非常に大事になってくる。


「一応、聞いておくが、シャーロットとは繋がりはないよな?」

「そんな怖い顔しないでくれる? 年齢も年齢だし、私は色々動いていたんだから繋がりを持てる訳ないでしょ。向こうも第三王女である私に取り入ってこないわ。……まぁクラウスや教会の一件で名が上がった訳だし、これから接触してくる可能性はあるかもしれないけど」

「そうか。それを聞いて安心した。これから接触してきたとして、乗らないよな?」

「乗らない。私は下衆な人間にへりくだってまで王位に就こうなんて気は更々ないし、何よりクリスに殺されるのが怖いからね」

「別に手を組んだとしても殺しはしない。後悔はさせるが」

「そっちの方が怖いわ」


 何はともあれ、シャーロットは王族でありながら、こっちの味方のようで一安心。

 今の話を聞く限りでは、シャーロットの兄のみが繋がっている感じであったが、この辺りは調べないといけない。


 とりあえず……ルイーズ、ゴドフロア、そしてゾフィー。

 名前を知ることができたし、名前を元にこいつらの情報を集めていくとしよう。



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よろしければ手に取って頂けたら幸いです。

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