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第52話 王都


 ここから真っすぐ二時間ほど進む。

 そう言われた時はまだまだのように感じたのだが、話していたらあっという間に王都が見えてきた。


 レアルザッドと比べても圧倒的に大きいのが見ただけで分かり、門の前に並ぶ列がとんでもない距離にまで伸びていることが分かる。

 レアルザッドの四倍は大きいと聞いていたが、人の多さも含めてもっと大きいように感じるな。


「王都は初めて来たが、ビックリするほど大きいな」

「だろ? 俺もこの間来た時は本気でビビった」

「よくこの王都でブラッドを見つけることができたな」

「ヘスターが見つけてくれたんだよ。情報屋を使ったんだよな?」

「そうです。まずは情報屋のことを聞きまわってから、見つけた情報屋にお金を渡してブラッドさんの情報を頂きました。クリスさんから、お金は必要以上に頂けましたので」

「確かに賢いやり方だな。……ということは、ヘスターは情報屋の居場所も知っているのか? クラウスについてを調べたいんだが、その情報屋も紹介してくれたら嬉しい」

「もちろん紹介します。ラルフをブラッドさんに預けたら、二人で情報屋のところに行きましょうか」

「――えっ!? 俺が治療を受けているのを見守ってくれないのか?」


 驚いたように情けない声を上げたラルフ。


「見守ったところで、私とクリスさんは何もできないからね。時間の無駄だよ」

「酷すぎるだろ! せめて近くで励ましてくれよ。医者つったって、落ちぶれた医者なんだろ?」

「……ラルフってメンタル弱いよな。あれだけの過去があるんだから、ヘスターみたいに堂々としているのが普通じゃないのか?」

「負け癖みたいなのがついてるんだよ! 何をやっても上手くいかないみたいな――な。でも、最近はクリスの影響で落ち込むのはなくなってきただろ!」

「どうだかな。今だって泣き言いってるし」

「分かったよ! 一人で受ければいいんだろ。情報収集行ってこいよ」


 なんとか言いくるめたところで、ラルフを預けてから俺とヘスターは情報集めへと回ることとなった。

 まずは何にしてもブラッドと会うことが最優先なんだが、一体どんな人物なんだろう。

 この短い期間でブラッドが死んでいないことを祈りつつ、俺達は長い行列に並んで入門検査を待つ。



「身体検査と身分証の確認。それから鞄の中も確認させてもらうぞ」


 約一時間並び、ようやく俺達の番が回ってきた。

 数人の兵士に囲まれながら、危ない物を持っていないかの検査を受け、その後冒険者カードを見せたところで、無事に中へと通してもらうことができた。


 レアルザッドの入門検査よりも厳しく、毒草を持ち込んでいたら完璧に捕まっていたと思うほど、鞄の隅々まで確認された。

 とりあえず無事に通してもらうことができたため、俺達は大きな門を潜り抜けて王都の中へと入る。


 レアルザッドは街の綺麗さに驚いたが、王都はその人の数と店の多さに驚く。

 街の入口なのにもかかわらず、所狭しと店が並んでいて、入れ替わり立ち替わり人が入り乱れていく。


 斜め前方には滝のような噴水があり、その噴水の間からは丁度大きな城が見えた。

 あの城にはこの国を治める王が住んでいるんだよな。

 今まで一度も意識したことはなかったが、王城が見えたことでふと現実的に感じた。


「クリスさん、大丈夫ですか? 先に行きましょう」

「ああ、行こうか」


 王都へと入って立ち止まった俺に、ヘスターが先に進むよう促した。

 街並みに圧倒されている場合ではなく、早くやるべきことをやらなけばいけない。


 栄えている方向とは正反対に進んで行き、俺達は人がいない方へと歩みを進める。

 しばらく歩くと、前方に頑丈に作られたバリケードのようなものが目に飛び込んできた。


 あの先は裏通りと同じ臭いを感じ、バリケードの向こう側が闇市場だと察する。

 人で溢れかえり、王城が見えた先ほどの風景と同じ街とは思えないほど、異様な空気が漂っているな。


「あの先が闇市場か?」

「そうです。あそこに立っている人にお金を渡したら、中に通してくれると思います」

 

 ヘスターはバリケードの前で陣取っている人の前に立つと、金を少額だが握らせた。

 あれが通行料となっているらしいが、闇市場に向かうのに金がかかるのか。


 王都に入るのには金がかからず、闇市場に入るのには金がかかる。

 貧民が集まるエリアだと聞いていたが、少し違和感を覚えるな。


「クリスさん、行きましょう。中に入れます」


 俺はヘスターの後を続くように、俺は闇市場の中へと入ったのだった。




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