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後日譚 第87話


 嫌々で敬語を使っているブルースと話をしながら、俺達は闇市へとやってきた。

 俺は久しぶりに来たのだが……確かに何も変わっていないように思える。

 王国騎士団の数は多いが、制御しきれていないようで、悪そうな連中がおかまいなしに闇市を行き来しているのが見えた。


「確かに治安が悪化しているように見えるな」

「はい。中はもっと酷い状況になっています。詳しくはギルモアに聞くのが早いと思いますが……見当たりませんね」

「中にいるんですかね? 俺が外まで呼んできましょうか?」

「いえ、クリスさんに中を案内するつもりでしたので、このまま闇市に入りましょう。中でギルモアと合流すればいいだけです」

「ちなみにだが、絡まれたらやり返しても大丈夫なのか?」

「ええ。正当防衛なら許可を貰っています。ただ、中途半端にやり返してしまいますと、一気に荒れますのでご注意ください」


 なるほど。

 ということは、手を出したいと思えないほどド派手にやればいいのか。 


 悪そうな連中は多いようだけど、『アンダーアイ』のような実力者はいないように見える。

 闇市の中は分からないが……まぁ軽く捻ることができるだろう。


「分かった。遠慮なくやらせてもらう」

「はい。遠慮なくやってしまってください」


 許可も貰ったところで、早速中に入ることとなった。

 アレクサンドラとブルースが、パッと見でも王国騎士と分かるような姿ということもあって、すれ違うチンピラ達には睨まれ続けている。


 非常に鬱陶しくはあるが、手を出してくる気配がないためこちらもスルー。

 中に進んでいくと……以前とはまた別の闇市が見えてきた。


「……確かに酷い有様だな」

「そうですよね。以前まではまだ体裁を保っていましたが、完全な無法者ばかりが集まる場所となっています」


 あちらこちらに店を出されており、そのほとんどが怪しい店。

 店主もチンピラのような風貌の者ばかりであり、盗品や違法薬物なんかを勝手に売っているといった感じだ。


「そういえば、奴隷達の姿が見えないな。みんな解放されたのか?」

「いえ、奴隷は建物の中におります。外は完全な治外法権。『アンダーアイ』や『ザマギニクス』が残した建物の中は、一応力のあるチンピラが集まっており、奴隷たちはそこで働かされています」

「解放されてはいないのか」


 その情報を聞かされ、テンションが落ちる。

 売る者も買う者もチンピラという異様な光景を横目に、闇市の中を進んでいくと……ダサいバンダナを巻いたチンピラの集団が俺達の前に立ち塞がった。


「おうおう! てめぇらは王国騎士団だな!? ここから先は通すなってブラッドリー様の命令だ! 引き返してもらおうか!」

「それは無理な相談だ。私達はこの奥に用がある」

「へー、そうかい! 外ではチヤホヤされるようだが、闇市の中じゃテメェらはただの害悪! ――おい、みんなァ! この騎士様たちはまた闇市を制圧しに来たんだとよぉ! やっちまおうぜ!」


 バンダナを巻いた変な連中は、周囲にいた人間を焚きつけ始めた。

 俺達はこの連中が焚きつける前から注目を浴びていたこともあり、野次馬たちがドンドンと集まり始めた。


「もう正当防衛になるか?」

「……ですね。このままではやられてしまいますので、正当防衛になるかと思います」


 アレクサンドラからの許可を貰ったため、俺は攻撃を行うことに決めた。

 流石に囲まれたらまずいため、狙うは周囲を焚きつけたバンダナ連中のトップらしき男。


「ウォい! 俺達はまだ手を出していないけど、攻撃して――」


 何か言っているバンダナ男だったが、俺は構わず懐に潜り込み、顔面をわしづかみにする。

 そして、何かアクションを起こす前に、そのまま地面に後頭部を叩きつけた。


「こいつ……本当にやりやがったァ!」

「囲め! 絶対に逃がすな!」

「逃がすな? 逃げる訳ないだろ」


 リーダーの仇を討とうとしているバンダナ連中にそう告げてから、一人ずつ拳を叩き込んでいく。

 みぞおちに狙いを定め、俺達の前に立ち塞がったバンダナ連中を全て地面に沈めた。


「うわ……やっぱクリスは強ぇな」

「無駄のない動き。流石ですね」

「他の奴らもやるか? 俺ならいつでも相手になるぞ」


 倒れて呻き声を上げているバンダナ連中を見下ろしながら、焚きつけられ、にじり寄ってきていた野次馬にそう問いかけた。

 焚きつけられる前までは睨むだけしか出来なかった臆病者ということもあり、一瞬でやられたバンダナ連中を見て動けなくなっている様子。


「三秒以内に散るなら見逃してやる。三……二」


 俺がカウントを始めたその瞬間。

 蜘蛛の子を散らすように逃げ出した野次馬たち。


 あまりにも情けないけど、チンピラなんてこんなものだろう。

 とりあえず……あえて気絶はさせなかったし、俺達を襲ってきたバンダナ連中に話を聞くことにしようか。



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