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後日譚 第83話


「魔王城は遠目からでも分かるほどの大きくて禍々しい城だった。俺にはいまいち分からなかったが、クラウスとエリファス曰く魔法壁が張り巡らされているらしい」

「魔法壁ですか? その壁を突破しない限り、入ることができないみたいな感じでしょうか?」

「エリファスはそんなようなことを言っていた。だから、俺達は引き返すことを決断――いや、引き返さざるを得なかったって感じだな」


 当たり前だけど、強固に守られていそうだな。

 魔法壁の突破方法を考えないと、魔王を倒すなんて夢のまた夢ってことらしい。


「魔王城自体はどうだったんだ? 王城と大差ないのか?」

「さっきも言ったが、禍々しい城だった。王城は神々しさを感じる造りだが正反対って感じだったな」

「その禍々しさは魔法壁のせいか? それとも特殊なもので建てられているのか?」

「おそらくだが、特殊なもので建てられている。とにかく真っ黒な城だった」


 聞いた限りでは、どう攻め込むのかも想像できない。

 攻城戦なんてしたこともないし、俺達だけの少人数では絶対に攻め落とせないのはやらずとも分かる。


「厳しすぎんだろ! そんで中には強い魔物がうじゃうじゃいるんだろ? シャーロットはいけるって言ってたけど無理すぎる!」

「俺もラルフと同意見だな。ドレークに話を聞く前は倒せると思っていたが、城に籠もってるなら不可能だ」

「ちなみにですが、クラウスはどうやって魔王を倒そうとしていたのですか?」

「それは俺には分からない。ただの壁役だっただけだからな。……ただ、何か策がありそうな感じではあったのは間違いない」


 何か策があった――か。

 魔法壁を突破する術を思いついていたのか、それとも全てを吹き飛ばす爆弾でも製造していたのか? 


 いや、そんな派手な動きをしていたのなら、流石のドレークでも勘づいているはず。

 ということは、魔王を強固な魔王城から引っ張り出す作戦があったって可能性が一番高い。


「……ん? クリス、何か思いついたって顔だな!」

「よく表情だけで分かったな」

「そりゃもう長いこと一緒にいるからな! で、何を思いついたんだ?」

「魔王を魔王城から引っ張り出せばいいってことを考えついただけだ。魔王が攻めて来ているってことは、何かしらの目当てのものがあって攻めてきているってことだろ。その目当てのものを俺達が手に入れて、それを餌に引っ張り出せば、強固な城を攻略しなくて済む」


 ラルフとヘスターは感心したように拍手しだした。


「ナイスアイデアだけど……上手く引きずり出せるのか? それと、魔王が人間を攻めてまで欲しいものを手に入れられるのか? あと魔王が欲しいものってなんだよ!」

「一番に思いつくのは領土ですかね?」

「いや、領土ではないと思う。さっきドレークが言っていただろ? 魔王の領土は自然が残っていて、手付かずの場所が多かったって。つまり、領土を欲している可能性は限りなく低い」


 魔王領ですら持て余しているのに、わざわざ攻めてまで欲するとは考えにくい。

 ということは、別の何かを欲しているということ。


「別の何かを欲している? そんなこと、クラウスは何も言っていなかったけどな」

「ドレークには言っていないだけで、確実に動いていたはずだ」

「ん? クラウスは突き止めていたってことか?」

「ああ。俺はそう睨んでいる。候補として一番可能性が高いのは……教会関連」


 枢機卿を含め、教会の連中を引き込んでいたのは、その何かを手に入れるためだと思う。

 八割方が憶測でしかないのだが、俺はクラウスと兄弟だからこそ動きがよく分かってしまう。


「あっ、枢機卿とそんな会話をしていたような……」

「マジか! ドレーク、何か心当たりがあるなら教えてくれ!」

「いや、ぼんやりとしか思い出せない」

「なんだよそれ! 頑張って思い出してくれよ!」

「無理を言うな。魔王関連だなんて思いもしてなかったんだぞ」


 これはドレークを詰めたところで思い出す可能性は限りなく低いだろう。

 ということは、教会の人間に聞いてみるのが一番早い。


 残念ながら、直にクラウスと取引していたであろう連中は既に殺してしまっているため、詳しい情報を聞き出すことは難しいかもしれない。

 こうなってくると生き残らせておいた方が良かったと思うが、こうなるなんて思いもしなかったからな。


「ドレークは教会に話を聞けるような人物はいないのか? さっきまで教会にいただろ?」

「お祈りしているだけだからいない。長年勤めているシスターだけだな」

「シスターじゃ知らなそうだな! 片っ端から当たっていくか?」

「あれ? クリスさんにも知り合いがいませんでしたっけ?」

「ああ、当たってみるつもりでいる。ドレークの知り合いがシスターだけってなったら、俺の方が可能性としては高いと思うからな」


 グラハムは家柄も良かったはずだし、教会が持っている“何か”について尋ねれば、知っている可能性は高いと思う。

 久しぶりにグラハムおすすめの料理屋にも行きたいし、すぐにでも訪ねてみることにしよう。


 ドレークのお陰で情報は集まったが、今のところ情報を集めれば集めるほど厳しいと思わされている。

 魔王が欲している何かを教会が持っていれば、まだ可能性は出てくるが……とにかくグラハムに話を聞いてみないと分からないな。



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