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【完結】追放された名家の長男 ~馬鹿にされたハズレスキルで最強へと昇り詰める~  作者: 岡本剛也
8章

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後日譚 第79話


 ギルド長と仲を深めつつ、俺達はイバンがいる林へとやってきた。

 騒ぎにはなっていないようだし、イバンは大人しく待ってくれているようだな。


「この林にアイスワイバーンがいるのか?」

「ああ。目立たないように隠れてもらっている」

「ドラゴンみたいなのを想像していたんだが、そんなに大きな魔物ではないってことか」

「別にそんなことはないと思うけど、どうなんだろうな! 俺は大きいと思ったけど意外と小さいのかも!」

「確かにドラゴンを想像すると小さいのかもしれませんね」


 そんな会話をしつつ、イバンの下に向かったのだが……ギルド長はイバンを見るなり叫んだ。


「何だよっ! めちゃくちゃでけぇじゃねぇか!」

「だから、俺は大きいと思うって言ったじゃん!」

「ドラゴンってこれくらいが標準なんですね。私はあまり詳しくないので小さいのかと思っていました」

「全然小さくない! それにしても……本当にドラゴンじゃねぇか!!」


 最初は声を上げて驚きこそしたものの、段々とドラゴンを見ることができているという事実に目を輝かせ始めたギルド長。

 王都のギルド長とはいえ、やはりドラゴンは珍しいようだ。


「それで……どうだ? イバンは街に入ることができそうか?」

「いや、絶対に無理だろ。俺が判断できる立場じゃねぇが、騒ぎになるのは確実だ」

「やっぱり無理なのかよ! 王都なら大丈夫だと思ったんだけどなぁ!」

「まぁ王女様に聞いてみるのが一番だ。仲が良いならなんとかしてくれるかもしれないぞ」

「ギルド長さんはなんとかしてくれないんですか?」

「俺には無理だ」


 きっぱりと断ってきたギルド長。

 悪い人ではないが、基本的に使えない人だな。


「それより、アイスワイバーンには触っても大丈夫なのか?」

「撫でるくらいなら大丈夫なはず!」

「俺達は攻撃されたことがないし基本的に大人しいが、攻撃されても責任は取れない」

「なんだそれ、怖すぎるだろ! 噛まれたりしないよな!? 俺はお前達を信じて触るからな!」

「怖いなら触らなければいいと思うんですけど……」


 ジーニアはそう伝えたのだが、ギルド長はどうしても触りたいようでゆっくりと近づいていった。

 一人の男として、触れてみたい気持ちはよく分かる。


「触るからな。触りますよーっと……うわっ、めちゃくちゃ冷たいな! それに龍鱗の感じがかっこいい」


 足の部分をゆっくりと撫でているギルド長の目は輝きに満ち満ちていた。

 イバンはそんなギルド長を見下ろしながら、何かを思いついたようで――急に大きなくしゃみをした。


「――っつ、うわああああああ! ――って、くしゃみじゃねぇか!」

「ギルド長、逃げすぎだろ! イバンもくしゃみくらいするって!」

「ワイバーンの急なくしゃみは怖いんだっての! くそっ、腰が抜けちまった」

「ギルド長なのにビビりなんだな」

「初めてのアイスワイバーンが怖いことにギルド長は関係ないだろ!」


 腰を抜かしたギルド長をからかいはしたものの、今のは完全にイバンが驚かすためにわざとくしゃみをしたはず。

 イバンの口角が微妙に上がっているし、ドッキリ大成功といった表情を見せていることからも間違いない。


 ギルド長とそんな戯れをしつつ、本題の隠れ家について聞くことにした。

 街に入る許可は出せなくとも、危険ではないことは分かってもらえただろうし、約束していた通り隠れ家は教えてくれるはず。


「それでギルド長。そろそろ隠れ場所を教えてくれ。イバンにも触らせたし、危険ではないことは分かっただろ?」

「もちろん。約束したしちゃんと教えるぞ。……まぁ腰を抜かした時に、小馬鹿にされた時は一瞬教えるのをやめようと思ったけどな」

「そんなちっちゃいこと言うなって! おしっこ漏らしたことは黙ってるからさ!」

「おい、断じて漏らしてはない! ……くっそ、散々イジりやがって。ギルド長ってのは結構偉いんだぞ」

「偉いなら、イバンを街の中に入れる許可を出してくれ」

「それは無理だ」


 そんな押し問答をしながら、ギルド長の案内で隠れ場所とやらに向かう。

 どうやら林を抜けた先にあるようで、林を抜けてからはイバンが目立たないように人目を避けて移動。


 しばらく川沿いを歩いていくと、見えてきたのは小さな滝。

 その先は崖になっており、ギルド長が向かう先には隠れられる場所なんて何もないんだが……一体どういうことだろうか。


「なぁ、どこに向かっているんだ? そっちには滝と崖しかないぞ!」

「まぁ黙ってついてこい。絶対に驚くからな」


 隠れ場所があると嘘をついていたとかではないようで、ギルド長の足取りは軽い上に言動からも自信あり気といった様子。

 未だにどこに向かっているのか分からないまま、ギルド長についていくと……ようやくその隠れ場所とやらが見えてきた。


「もしかしてだが、隠れ場所って……あの滝か?」

「ここまで来たら流石に分かったか。大正解。あの滝の裏は洞窟になっていて、いい隠れ場所になるんだわ!」


 かなり近づかないと分からないのだが、滝の後ろは確かに洞窟のようになっていた。

 滝以外に何もない場所だから基本誰も近づかないだろうし、期待していなかったが本当に良い隠れ場所かもしれない。


「すっげぇ! 秘密基地みたいでワクワクする!」

「滝しかなかったので期待していませんでしたが、あそこの洞窟ならイバンでも隠れられそうですね」

「ちなみに広さはどんなもんなんだ?」

「見た目に反してかなり広いぞ。アイスワイバーンでも余裕で生活できるし、いつでも水を飲むことができる」


 入口の上から水が流れてくるんだもんな。

 トイレとかも簡単にできるだろうし、隠れ場所だけでなく家としても非常に優秀なところかもしれない。

 しっかりとギルド長に感謝をしつつ、俺達はこの滝の裏の洞窟をイバンの隠れ家として使うことを決めたのだった。




私の別作品の『辺境の村の英雄、42歳にして初めて村を出る』の第1巻が、本日発売となっております!


大まかな内容なのですが……辺境の村の英雄だった主人公が齢42歳にして村を出て、人々と交流しながらその力を世界に轟かすお話となっています。

井の中の蛙大海を知らずという言葉がございますが、本作はその真逆。

井の中にいた龍の存在を大海が知ることになる――そんなお話でございます!


少しでも気になった方は、お手に取ってくださったら作者は泣いて喜びます!

どうか何卒、ご購入お願い致します!!!!


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― 新着の感想 ―
ジーニアって誰でしたっけ? 辺境の村の英雄の方にはいたような気がする。
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