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後日譚 第69話


 とりあえずラルフとへスターをイバンと共にダンジョンに置いたまま、俺とスノーだけで外へと出てきた。

 一直線で五十階層まで向かったこともあり、ダンジョンに潜ってからそれほど時間が経っていなかったようで外がまだ明るい。


 夕方前くらいではあると思うのだが、あと五、六時間くらいはダンジョンの中で隠れていないと駄目かもしれないな。

 そんなことを考えつつ、まずは協力をお願いするためにボルスさんのところに向かおう。


「スノーはここで待っていてくれ。帰りにメロンを買ってくるからな」

「アウッ!」


 エデストルの中ではスノーがいると動きにくくなってしまうため、ダンジョン前で待機させることにした。

 何かトラブルに巻き込まれないかは心配だが、スノーに絡んだところで反撃に合うのが目に見えているし大丈夫だろう。


 頭を軽く撫でながらすぐに戻ってくることを約束し、俺は急いでダンジョン街からエデストルへ向かった。

 今日もダンジョンに潜ってくれているなら見つけるのが簡単だったが、映像を軽く確認した限りダンジョン内にはいない。


 【翡翠の銃弾】の面々の姿もなかったため、ボルスさん達は【翡翠の銃弾】と共にエデストルにいるはず。

 そう目星をつけて、すぐにエデストルへと戻ってきた俺は、【生命感知】と【魔力感知】のスキルを発動させてボルスさんの捜索を開始した。


 スキルを使っているとはいえ、見つけるのに時間がかかるかと思っていたが……捜索を開始して僅か十分ほどでボルスさんの反応を感知。

 反応を頼りに向かってみると、どうやら武器屋で武器を見ていた様子。


「あれ? クリスさんじゃないですか! クリスさんも武器を見に来たんですか?」


 店内に入った俺に、真っ先に気がついたルディが声を掛けてくれた。

 すぐに事情を説明したいところだが、集めてから話した方が良いため、まずは全員に集まってもらうことにしよう。


「武器を買いにきた訳じゃなくて、ちょっとトラブルがあってボルスさんを探してたんだ」

「そうだったんですね。ボルスさんは奥にいますので呼んできます!」

「ありがとう」


 俺は全員に話をするつもりだったのだが、ルディはボルスさんだけを呼んでくれた後、気を使ってか店の奥へと去ってしまった。

 イルダが店の奥から興味津々な様子でこっちを見ているが……まぁとりあえずボルスさんだけに事情を説明するとしようか。


「クリス、昨日の今日でトラブルって何だよ! 例の指輪の件ではあるんだろ?」

「ああ、そうなんだ。あれから色々あったんだが……とにかくエデストルのお偉いさんに知り合いはいるか?」

「もちろんいるが、何にも話が読めてこないぞ? 一体何があったんだ?」

「話をすると長くなるから簡潔に説明させてもらう。実は――」


 そこからボルスさんに今日会ったことを説明した。

 指輪に凄い効果があったことは自分のことのように喜んでくれてほっこりしたが、アイスワイバーンを従魔にしたことを報告すると一気にボルスさんの表情は険しくなった。


「アイスワイバーンを従魔にした!? 無茶苦茶すぎて訳が分からねぇ!」

「あまり深く考えずに従魔にしてしまったんだ。懐いてはくれたし、従魔にするのを止めるって訳にはいかなくて……どうにか交渉できないかと思ってボルスさんのところに来たって訳だ」

「確かに、急にアイスワイバーンが姿を見せたとなったら大騒ぎになるだろうからなぁ。ったく、クリス達と一緒にいると色々あって面白いが、今回は流石にぶったまげたわ! ……とりあえず事情は分かった! 俺が話をつけてくるから、クリスはダンジョンで待っていてくれ!」

「俺がついて行かなくていいのか?」

「クリスがいると話がややこしくなりそうだからな! ある程度の事情説明は俺に任せておけ!」

「そういうことなら分かった。何から何まで本当にありがとう」

「別に構わねぇよ! 指輪が本物だったってことだし、ワイバーンステーキを奢ってもらえるからな!」


 ボルスさんは屈託のない笑顔で親指を立ててから、一人で交渉に向かった。

 こうなってくると、ワイバーンステーキだけでは足らない気がしてきたが……それは後々考えよう。


「クリス、聞いてたニャ! アイスワイバーンって何なのニャ!」


 俺がダンジョン街に戻ろうとしていたところ、武器屋から出てきたイルダが話しかけてきた。

 イルダがこっちを見ていたのは知っていたが、店の奥にいたから盗み聞きできる距離ではなかったはずだが……。


「あの位置から話が聞こえたのか?」

「獣人だからバッチリ聞こえたニャ! それよりアイスワイバーンについて教えるニャ!」

「耳がいいのか。……詳しい話は後で説明する。ボルスに話した通りだから、聞こえていたならイルダの方からみんなには事情説明しておいてくれ」

「まだ何にも聞いていないニャ! あっ、逃げるニャ!」


 俺は質問責めする気満々のイルダから逃げるように武器屋を離れた。

 イバンを直接見ないと理解できないだろうし、今全てを説明するのは時間を消費するだけ。


 後でキッチリ説明するからと、心の中でイルダに謝りつつ……。

 俺は帰りにスノー用のメロン、そしてダンジョンで待たせている二人とイバンの食糧を買ってから、一足先にダンジョン街へと戻ったのだった。


書籍第二巻、コミック第二巻が発売されております!

よろしければ手に取って頂けたら幸いです。

それからカドコミ(旧コミックウォーカー)にてコミカライズの連載されておりますので、よろしければお読み頂ければ幸いです!

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