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【完結】追放された名家の長男 ~馬鹿にされたハズレスキルで最強へと昇り詰める~  作者: 岡本剛也
8章

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後日譚 第45話



 オックスターを後にした俺達は、【銀翼の獅子】さん達に報告するべく、ノーファストにやってきた。

 王国三大都市の一つであるだけあり、オックスターとは比較にならないほど賑わっているのが、街に入る前から分かる。


「相変わらず凄い人だな! 何だかんだノーファストは全然観光していないよな!」

「前回訪れた時もお墓参りぐらいしかしてないもんな」

「今回は観光するのか? せっかくだし、俺は観光してみたい気持ちはあるけど!」


 挨拶だけして、すぐに出発する予定だったが……確かに一日、二日くらいは観光してもいいかもしれない。

 早めにエデストルに行って報告はしたいが、特段急いでいるって訳ではないしな。


「へスターはどう思ってる?」

「私は観光したいですね。今日と明日だけ軽く観光して、明後日からエデストルに向かう――でいいのではないでしょうか?」

「……へスターもそう言ってるなら、軽く観光しようか。ついでに良いお土産が見つかるかもしれないしな」

「やったー! 何か面白いものあったら、イルダに買って行ってやろうかな!」

「それはやめとけ。イルダは元々ノーファストを拠点にしていたんだし、ノーファストで売ってる珍しいものは珍しくないと思うぞ」


 変なことをしようとしているラルフを注意しつつ、俺達は久しぶりのノーファストに足を踏み入れた。

 まずは従魔も泊まれる宿探しから。


 流石に三大都市の一つだけあり、宿探しには困ることはなく、値段はお高めだが従魔可の宿屋を取ることができた。

 墓参りにスノーは連れて行けないため、宿屋で待っていてもらい、俺達は三人で街の外れにあるお墓に向かった。



「もっと頻繁にお墓参りをしたいんですけどね。流石にノーファストとなると頻繁には来れないのが残念です」

「確かにそうだな。街の中にあって、教会の管轄のお墓だから手入れはされているだろうけど……やっぱり高頻度で来たいよな」


 もっと頻繁にお墓参りに来るのが筋というのは分かっているのだが、やはり距離の壁は大きい。

 比較的近いオックスターに移住すれば、その問題も解決するため、やはり引っ越し先はオックスターが第一候補だな。

 そんな会話をしながら墓地にやってきた俺達は、丁寧に墓石を拭いた後、花を添えてから報告を行う。


「全てが終わったので報告に来ました。【銀翼の獅子】の皆は絶対に求めていなかったと思うが、俺の実弟であるクラウスを殺してきた。仇討ちではないが、全ての元凶はこの手で仕留めた。ただ……まだやることは終わっていない。孤児たちのための受け入れ先や獣人奴隷の解放。裏組織も徹底的に潰して、弱い者を食い物にするもの達を殲滅する。俺はまだまだ戦いの手を止めるつもりはないから、どうか天国から見守っていてほしい」


 俺は両手を合わせ、報告と宣言を行う。

 これは【銀翼の獅子】さん達への報告でもあり、まだ終わっていないという自分自身への宣言。

 

「俺はまだまだ最強の冒険者とは言えないけど、一歩ずつ着実に強くなっている! レオンさんが目指していた最強の冒険者。弟子である俺が必ず成し遂げるから――どうか見ていてほしい!」

「私は二人のような夢はありませんが、二人を支えるのが目標です。私と同じく、【銀翼の獅子】さんの皆さんも二人を見守って頂けたら嬉しいです」


 俺に続き、ラルフとヘスターもそれぞれ思いを告げた。

 それから王都の『レモンキッド』で購入したアクセサリーを取り出し、アルヤジさんの形見であるネックレスを入れてあった綺麗な箱の中に入れる。


 レオンとアルヤジさんには、俺とラルフで選んだブラックサファイアのネックレスを。

 ジャネットとジョイスには、ヘスターが選んだダイヤモンドのネックレスとトリニティリングを。


 ……未だにブラックルビーで、パーティで統一した方がいいんじゃないのかと思っているが、ヘスターが選んだものだから間違いはないのだろう。

 これでひとまず報告は済んだな。


 俺達は最後に深々と頭を下げてから、墓を後にした。

 色々な感情が巡ってくるが、宣言することで身が引き締まる。


 まずは報告参りが先だが、報告が終わったら絶対に成し遂げるつもりだ。

 俺は自分の頬を思い切り叩いて気合いを入れた。


 

 教会の墓地を後にした俺達は、ノーファストの武器屋である『イチリュウ』にやってきた。

 『イチリュウ』は前回俺一人で来た武器屋であり、大活躍したヴァンデッタテインの情報を教えてくれた武器屋。

 特にプレゼントとかは用意していないのだが、貴重な情報を教えてくれたということでヴァンデッタテインを見せるべく、寄ることに決めた。

 

「ここがドワーフの店主がいる『イチリュウ』って武器屋か!」

「かなり質の高い武器が揃っていたし、おすすめの店ではある。俺は報告だけ済ますつもりだが、ラルフは何か良い武器や防具があったら買ったらどうだ?」

「うーん……。今のところ欲してはいないからなぁ! まぁ何か欲しいって思えるものがあったら買うわ!」


 そんな会話をしながら『イチリュウ』の前までやってきた俺達は、営業中であることを確認してからすぐに店内に入った。

 相変わらず店内は多少古臭い感じはあるものの、良い武器や防具が並んでいて雰囲気が良い。


「おう! いらっしゃい! 俺の店によく来たな! ……ん? 何か見覚えがあるな!」

「覚えているのか? 結構前に一度だけ来ただけなんだが」

「……あー、鋼の剣を買ってくれたお客さんじゃねぇか! 珍しくヴァンデッタテインのことを話したから覚えているぜ!」

「それは嬉しいな。俺もその魔法の剣よりも質の高い武器があるってことで、ヴァンデッタテインに興味を持ったんだ。それで――こうして実際に入手した」


 覚えていてくれたということもあり、俺は間を置くことなくヴァンデッタテインを引き抜いてドワーフの店主に見せた。

 最初は何を言っているんだこいつ――的な目を向けていたのだが、刀身を見た瞬間に本物であることに気づいたようで、目と口を大きく開けて声にならない声を上げた。

 ここまで良い反応を見せてくれたのなら、わざわざ寄った甲斐があったと思える。



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