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【完結】追放された名家の長男 ~馬鹿にされたハズレスキルで最強へと昇り詰める~  作者: 岡本剛也
8章

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後日譚 第40話


 その後神父に買ってきたプレゼントを手渡し、めちゃくちゃ喜んでくれた。

 大したものは買えていないのだが、喜んでくれた表情を見て嬉しく思いながら、俺は教会を後にした。


 能力判別を行ってもらったことでお布施もしっかりとできたし、神父の情けなくも頑張る姿が見れて非常に満足。

 やはり色々な教会を巡ったが、オックスターの教会が一番俺の肌には合っているな。


 そんなことを考えながら、俺は借家へと戻った。

 家を出た時は全員寝ていたのだが、俺が戻った頃には全員起きたようで何やら忙しなく動いている。


「おっ、クリス! 何処に行ってたんだよ!」

「早起きしたから散歩していた。それより何でこんな慌ただしいんだ?」

「そりゃ依頼に行くからに決まってんだろ! クリスもルディと一緒に行くんだろ?」

「ああ。ということは、ラルフも一緒に来るのか?」

「いや、俺とイルダは別で依頼を受けるつもりだ! エイミーはクリス達と一緒に行くって言ってたぞ!」


 なるほど。

 俺とルディ、ラルフとイルダに分かれて依頼を受けるって感じで、エイミーは俺達の方についてくるのか。


 後はカルビン、ヘスター、スノーがどう振り分けられるかだな。

 ラルフとイルダのコンビが不安だし、ヘスターにはそっちに行ってもらいたいが……大変な仕事を押し付けている感覚になって少し申し訳なさも感じる。


「俺は別に構わないが、ヘスターはどこにいるんだ?」

「ん? キッチンでエイミーと一緒に朝食を作ってる!」


 俺はヘスターにお願いするべく、キッチンに向かった。

 キッチンにはルディ、エイミー、ヘスターの三人がおり、俺達の分まで朝食を作ってくれていた。


「美味しそうな匂いだ。朝食を作らせてしまって悪いな」

「あっ、クリスさん。戻ってきていたんですね。あと少しで出来上がりますのでもうちょっとだけ待っていてください」

「朝食よりも先に、ちょっとヘスターに頼みたいことがあってな」

「パーティの組み分けの件ですよね? 私がラルフを見ておくので大丈夫ですよ!」


 俺が全てを話す前に、ヘスターの方からそう言ってきてくれた。

 本当に話が分かるというか……全てを任せてしまって悪い気分になる。


「別にヘスターが行く必要はないと思いますけどね。ラルフとイルダの二人で行かせればいいんですよ。大変なのが目に見えていますし、ついていっても面白くないですよ?」

「あの二人で行かせるのは流石に心配だからね。クリスさんも同じ考えですよね?」

「ああ。ラルフがいるし戦力的には何の心配もしていないが、何かやらかしそうで怖い。ヘスターには損な役割を任せてしまうが、どうか面倒みてやってくれ」

「分かってますので大丈夫ですよ!」


 ラルフとイルダの両方を面倒見るというだけでゾッとするが、ヘスターは笑顔で受け入れてくれた。

 本当はこの二人を離れ離れにした方がいいんだが、昨日のパーティーですっかり意気投合したみたいだしな。


「いいですね。その信頼関係が羨ましいです。僕がお願いしても、エミリーさんは絶対に引き受けてくれませんから」

「それは嫌に決まってます。それに、単純にクリスさんと一緒に戦闘してみたいので。今日はよろしくお願いします」


 丁寧に頭を下げてきたエイミー。

 姉妹といえどやはりイルダとは違って、かなりまともな子に思える。


「何やら随分と楽しそうですね……! 私は除け者ですか??」


 俺達が談笑している声が聞こえたのか、リビングからやってきたのはシャンテル。

 髪の毛が爆発しており、寝起きなのが一発で分かった。


「別に除け者にした訳じゃない。副ギルド長とシャンテルは各々仕事があるだろ。それに依頼についてこれられない」

「それはそうですけど……やっぱり一緒に行きたいです!」

「護衛依頼でも出してくれ。そうしたらどこにでも連れていってやる」

「クリスさん達は高いじゃないですかー! 護衛依頼じゃなくて、連れていってくださいよ! ……聞いてますか!?」


 シャンテルの我儘を適当に流しつつ、俺達はリビングで朝食を頂いた。

 そして朝食を終えてから、半分に分かれて依頼へと向かう。


 こっちのメンバーは俺、ルディ、エイミー、スノー。

 向こうはラルフ、イルダ、ヘスター、カルビン。


 ラルフとカルビンが役割同じで被っているのだが、ラルフはアタッカーもできるし……そもそもヘスターがいれば何とでもなる。

 問題だけは起こさないように頑張ってもらい、俺はこっちのメンバーのことだけを考えよう。


「クリスさん、どの依頼を引き受けますか? 僕はカーライルの森の討伐依頼でいいと思うんですが」

「俺もそれで良いと思うぞ。カーライルの森にはよく行っていたし、久しぶりに行きたい気持ちが強い。な? スノー」

「アウッ!」


 スノーも尻尾をブンブンと振って、久しぶりのカーライルの森を楽しみにしている様子。

 俺にとってもスノーにとっても思い入れの強い森だからな。


「それならカーライルの森で決まりですね! 何の魔物を討伐しましょうか?」

「副ギルド長はまだ寝ているだろうし、受注処理も含めて適当に頼めばいいと思う。二人はいつでも行ける準備を整えておいてくれ」

「分かりました。依頼の方はクリスさんにお任せします」


 ルディとそんな話をしてから、俺はまだ二階で寝ている副ギルド長を起こし、カーライルの森の適当な依頼を見繕ってもらった。

 完全に寝坊していたようで、かなり焦っていたようだが……俺の依頼だけでなく、ラルフ側の依頼もしっかりと聞き入れてくれ、俺達は二手に分かれて依頼へと向かったのだった。


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