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【完結】追放された名家の長男 ~馬鹿にされたハズレスキルで最強へと昇り詰める~  作者: 岡本剛也
8章

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後日譚 第24話


 ノックした瞬間に中から返事があり、アレクサンドラの声が聞こえてきた。


「入って大丈夫ですよ」


 すぐに許可が下りたため、俺は扉を開けて中に入った。

 三番隊隊長室は仕事場兼自室になっている作りで、ベッドなんかも置いてある。

 アレクサンドラは椅子に座って書類整理を行っていたらしく、初めて見る眼鏡姿だった。

 

「急に来て悪かったな。仕事中だったか?」

「あっ、クリスさん達だったんですか! 仕事中といえば仕事中ですが、特に急ぎの仕事でもないので大丈夫です。またシャーロット様に用事があるんですか?」

「シャーロットにも用事はあるんだが、今日はアレクサンドラにも用があって来た。色々と世話になったし、プレゼントを買ってきたから受け取ってほしい」

「クリスさんから私にプレゼントですか!? 仕事でお手伝いしただけであって、プレゼントなんて受け取っていいのでしょうか?」

「俺がいいならいいと思うぞ。大したプレゼントじゃないし、気楽な感じで受け取ってくれ」


 かなり驚いた様子を見せたアレクサンドラにそう告げてから、俺はホルダーからタリスマンを取り出す。

 そして、立ち上がったアレクサンドラに手渡した。


「これは……タリスマンでしょうか?」

「ああ。特殊な効果がついているタリスマンだから、よかったら戦闘を行う時にでも身に着けてくれ」

「効果付きものなんですね! 大したものではないと言ってましたが、実用性高いものですし本当に嬉しいです!」


 受け取るなり、すぐに身に着けてくれたアレクサンドラ。

 口だけでなく、心の底から嬉しそうにしているし、アレクサンドラにプレゼントを買って正解だった。


「喜んでくれたみたいで良かった。デザインはあまりよくないと思っていたが、ちゃんと似合ってる」


 やはり見た目が良ければ似合ってしまうのか、アレクサンドラもグラハム同様に似合っている。

 多少ダサくとも、効果重視で選んだのは大正解だった。


「本当ですか? あまりプレゼントというものをもらったことがなかったので、思わずニヤケてしまうぐらい嬉しいです。喜び慣れていないのもあって、変な表情で申し訳ありません」

「別に謝ることじゃない。とりあえずこれがアレクサンドラへの用で、シャーロットにも用があるから案内してもらうことはできるか?」

「もちろんです! すぐに案内させてもらいますね」


 プレゼントの効果があってか、いつも以上に気合いが入った様子で拳を握り絞めたアレクサンドラ。

 今から戦闘でも行うのかと思うぐらいの気合いの入れように、俺も思わず笑ってしまう。


「相当喜んでくれてるじゃん! 女の子へのプレゼントしてはどうかと思ってたけど、大正解のプレゼントだったんだな!」

「クリスさんから貰ったというのも大きいと思いますよ。アレクサンドラさんはクリスさんを尊敬しているようですしね」

「何はともあれ、喜んでくれたのは良かった。ミエルも喜んでくれるといいんだけどな」


 三人でそんな会話をしつつ、先に進んで行くアレクサンドラの後を追う。

 辿り着いた先は、この間も来たシャーロットの部屋。


 アレクサンドラがノックをし、返事を待ってから中に入った。

 この間の時のような王女様っぽいドレスではなく、見慣れた冒険者の服装。

 というか、ついさっきまで何処かに行っていたようで服に泥がついている。


「アーシャだけでなく、クリス達もいたのね。てことは、私に用があるのはクリス?」

「ああ。アレクサンドラには案内をお願いしただけだ」

「あまりアーシャを使わないでほしいんだけど、嬉しそうだから何とも言えないのよねぇ」


 未だにニヤつきが収まっていないアレクサンドラを見て、少しため息交じりでそう呟いた。


「いいように使っているつもりはない。シャーロットの下に向かうのに、俺達じゃつまみ出されそうだから仕方なく頼んでるだけだ」

「別にアーシャを通さなくてもいいわよ。クリス達の顔はもう割れているしね。それより……今日は何の用で来たの?」

「ミエルの居場所が知りたくて来た。シャーロットなら知っているだろ?」


 本題を聞かれたため俺がそう答えると、目をぱちくりさせながら固まってしまった。

 変なことを口走ってしまったのかと思ったが、多分変なことは言っていないはず。

 ミエルはシャーロットのことを嫌っているが、シャーロットは別にミエルのことを嫌っていないはずだからな。


「変なことを尋ねたか? 怖いから急に固まらないでほしい」

「……驚いて言葉が出なかっただけだわ。まさかそれだけの用で尋ねてくるとは思ってなかったから。忘れているみたいだから言っておくけど、私はこの国の王女よ? 本来なら気軽に話す立場にないこと分かってる?」

「別に忘れていない。急にどうしたんだ?」

「急にどうしたって……まぁいいわ。エイルの居場所よね? 『三日月亭』という宿屋に行けば会えると思うわ」


 何かが癪に障ったようで、機嫌悪く不躾に答えたシャーロット。

 怒った理由はいまいち分からないが、ミエルの居場所を聞き出せたしいいだろう。


「情報をくれて助かった。シャーロットにもプレゼントを買ってくるから、楽しみに待っていてくれ」

「プレゼント? 言っている意味が全く分からないんだけど」

「そのままの意味だ。詳しくはアレクサンドラから聞いてくれ。それじゃ俺達はもう行く」

「最初から最後まで意味が分からないわね」


 そう呟きながら首を傾げているシャーロットに一方的に別れを告げ、俺達はシャーロットの部屋を後にした。

 滞在時間は数分だったし、効率よく情報を手に入れることができた。

 このまま『三日月亭』とやらに行き、ミエルにプレゼントを渡すとしよう。


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