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【完結】追放された名家の長男 ~馬鹿にされたハズレスキルで最強へと昇り詰める~  作者: 岡本剛也
8章

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後日譚 第18話


 外観は少し古びた感じがしたが、売られているアイテムは最新のものがかなり多い。

 レトロなアイテムも少しは期待していたが、ちゃんと実用的なものばかりが売られている。


「おばあさんが一人で営んでいるとは思えないアイテムばかり売られていますね」

「だな。どれもこれも良い商品が並んでいる。使えるアイテムや面白いアイテムを調べて仕入れているってことだ。あのおばあさん、相当な実力者かもしれない」

「纏っていたオーラがフィリップさんと似たようなものを感じました。私は実力者だと確信してます」

「雰囲気とか店に売られている商品だけじゃ実力までは分かんないだろ! 優しい店主さんってだけだろ?」


 何にも感じていないラルフは放っておいて、俺とヘスターであーだこーだ言い合いながら商品を見て行く。

 どの商品を渡してもミエルなら喜んでくれそうな感じはあるが、やはりミエルに適したアイテムを選びたいところ。


「得意魔法に合わせたものがいいんでしょうか。ミエルさんと言ったら氷属性魔法でしょうか?」

「ああ、氷属性魔法を得意にしている節はあるな」


 再会した時も氷属性魔法をぶっ放ってきたし、得意魔法が氷属性なのは間違いない。

 氷属性を強化させるアイテムやアクセサリーを選ぶのは良いかもな。


「やっぱりそうですよね。そっちの方面でアイテムを探しませんか?」

「氷属性を強化できるアイテムを主軸にして考えて良いと思う。そのアイテムはヘスターとラルフの二人で探してくれるか?」

「クリスさんは他に何か探したいものがあるんですか?」

「ああ。このお店にあるか分からないが、ちょっと思いついたものがある」

「分かりました。それでは私とラルフで手分けして探します」

「氷属性魔法に関するものを探せばいいんだな! 俺は適当に持ってくるからヘスターが判断してくれ!」


 こうしてヘスターとラルフには氷属性のアイテムを探してもらい、俺は単独で別のアイテムを探すことにした。

 俺が何を探すかと言うと、変装魔法に特化したアイテムを探したいと思っている。


 一番最初に出会った時は変装魔法を使った状態で近づいてきたし、氷属性魔法とは違った得意魔法の一つなはず。

 一見完璧に見えるミエルの変装魔法だが俺は見抜けた訳だし、もっと上手く隠せる方法があると思った。


 俺と同じ考えの人間が他にいるのであれば、変装魔法に特化したアイテムも存在するはずのため、俺は単独で変装魔法に使えそうなアイテムを探していくつもり。

 ……ただ変装魔法自体がマイナーな魔法な上に、ヘスターが言うには非常に高難度な魔法らしい。


 俺も使っている人間なんてミエルしか出会っていないし、あの魔法マニアであるゴーレムの爺さんですら使えないと言っていた。

 使いどころも限られているし、裏で暗躍しようと考える人間以外では需要のない魔法のアイテムなんか存在するのか怪しいところだが、主軸にしている氷属性は二人に探して貰っているし、探してみる価値はあると思う。


 そんなことを考えながら、俺は店の中を上から下まで順々に見ていたのだが、当たり前だが陳列しているのは変装魔法のへの字もないアイテムばかり。

 アイテム探しに行き詰まっていると、勘定場の方から視線を感じた。


 視線を感じた方を見てみると、何やらおばあさんが笑顔で手招きしている。

 何故呼ばれているのかよく分からないが、とりあえず行ってみようか。


「俺に何か用事でもあるのか?」

「探し物があるんでしょう? これなんかはどうかね?」


 そう言って俺に見せてきたのは黒い石のようなもの。

 俺が何を探しているかはヘスターにも話していないのに、商品を勧めてきたおばあさんに首を傾げながらも、俺は勧められた商品を一応受け取る。


「この黒い石は何だ? おすすめの商品ってことはそれなりのものだというのは分かるが」

「魔力を感知しづらくするアイテムだよ。魔力を感知できるのなら少し確かめてみてほしい」


 言われた通り、【魔力感知】を使っておばあさんを見てみる。

 予想いていた何倍もの魔力を持っており、思わず驚きの声を上げそうになったが何とか抑えた。


「そうしたらその石を返してくれるかい?」

「……あ、ああ。分かった」


 言われた通り黒い石をおばあさんに返してから、もう一度【魔力感知】を使っておばあさんを見てみると――放大な魔力が微弱なものへと変わっていた。

 適当に紹介してきたアイテムかと思っていたが、変装魔法とも非常に相性の良いアイテムだ。


「思っていたよりも凄いアイテムだな。魔力量が一気に変わった」

「特に珍しい技術が使われているとかではないんだよ。こび鉱石は魔力感知を歪める効果を持っているの。それに、石の位置によって自分の魔力の強弱も自由自在に変化できるのさ」


 そう言うと、黒い石を持つ位置を移動させたおばあさん。

 心臓に近づくにつれておばあさんの魔力が少なくなり、心臓から離れると魔力が強く感知される。


 黒い石の力で変装する人によって魔力を変化させれば、変装魔法を見破られ難くできるな。

 おばあさんが俺にこの黒い石を紹介した意図は分からないが、あまりにもマッチし過ぎていて心を見透かされているような感覚になる。


「その黒い石にはかなり興味が出てきた。値段はいくらなんだ?」

「さっきも言ったけれど、大した技術が使われている訳でもないから値段はしないよ。一つで金貨一枚。どうだい? 買うかい?」

「金貨一枚ならすぐに買わせてもらう。紹介してくれてありがとう」

「まいどあり。即決とはありがたいねぇ」


 金貨一枚なら相談せずに購入していいだろう。

 二人が良い物を見つけていたとしても、そっちも購入できるくらいには安い金額だ。


 効果と金額を考えると俺も欲しいくらいだが、クラウスとの戦いは既に終わっている。

 もう少し早めに出会えていたらとも思うが、決戦前はゆったりと買い物している時間なんてなかったし、たらればの話だな。



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