表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】追放された名家の長男 ~馬鹿にされたハズレスキルで最強へと昇り詰める~  作者: 岡本剛也
8章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

443/540

後日譚 第1話


 まるで息が止まっていたかのように、目覚めだというのにも関わらず酷く苦しく必死に空気を吸い込む。


 ようやく呼吸が安定し、目をゆっくりと開けると……そこには見覚えのある顔が二人並んでいた。

 大粒の涙に大量の鼻水。

 ありとあらゆる体液が顔から漏れ出ており、その酷い顔に最悪の目覚めの中、俺はたまらずに吹き出してしまった。


「よ”がっだああ”ああ!! 心臓が動い”でなぐで、死ん”ぢゃっだんじゃな”いがど……本当に”心配じだんでずよ”!!!」

「な”んで目覚め”早々で泣い”でい”る俺ら”を見で笑え”るん”だよッ! グリズッ! お”前、本当に”死にがげでいだん”だぞ!!」

「……悪い。二人の泣き顔が面白くてな。俺もてっきり死んだと思っていたから、目が覚めているこの状況にはビックリしてる」

「ぜん”っぜん――ビッグリじでいる”よう”にば見え”ねぇ”!! ……でも”、目を覚ま”じでぐれで本当によ”がっだあああああ”」


 まだ寝転んでいる俺に飛びつくように二人が抱き着いてきて、まだ体が痛むが……また二人と生きて会えた嬉しさを噛みしめつつ、俺からも二人を強く抱き返した。

 それから二人は俺に抱き着きながらずっと泣いており、俺の頭の上にいたスノーからは髪がべったべたになるまで舐められ続けた。



「二人とも落ち着いたか?」

「全然落ち着いてねぇけど、涙はもう枯れて何もでねぇ!」

「私ももう涙を出したくても出せない状況です!」

「とりあえず冷静に話せる状況になったのなら良かった。状況を聞きたいんだけど何があったんだ?」


 正直、記憶が曖昧で何が起こったのか全く分からない。

 クラウスとの決着をつけ、死ぬところを看取った後――俺の記憶では死んだはず。


 色々と思うところがあったし二人のことが酷く心配だったから、俺がもう助からないと悟ったところは強く覚えている。

 実際に助かる傷ではなかったと思うし、俺は確実に死んだと思ったんだけどな。


「私達三人全員をスノーが助けてくれたんです。私はエリファスと戦闘で全力を使い果たしまして、動けなくなって気を失っていたところをスノーに救われました」

「次はスノーがヘスターを闘技場まで運んでいる最中で、力尽きて倒れていた俺を拾ってくれた! 俺は道中で倒れてはいたけど意識は残っていて、スノーの背にヘスターと一緒に乗せてもらって闘技場まで運んでもらったんだ!」

「二人共、エリファスとドレークに勝ったんだな」

「当たり前だろ! 俺はクリスをも超える男だぞ——ってそこはどうでもいい! 急いで闘技場まで運んでもらったんだけど、クリスとクラウスの戦いは既に終わっていて、死んでいるクラウスと……その横で死にかけているクリスが目に飛び込んできた!」


 先に俺とクラウスの戦いが終わっていたのか。

 すぐにスノーと二人が闘技場まで駆けつけてくれたから助かったようなもので、記憶通り本当に死んでいてもおかしくなかったらしい。


「それでラルフが俺を助けてくれたのか?」

「ああ! 何かないかと思ってクリスのホルダーを漁ったら、王女から貰った世界樹のポーションがあったから無理やり飲ませたんだ! ……でも、全然呼吸が戻らねぇし、もう死んじまったのかと思ったけど――スノーが大暴れしたらクリスが目を開けたんだよ!!」


 なるほど。

 薄っすらと覚えているが、ラルフとヘスターが俺を呼ぶ声が聞こえた記憶がある。


 その後に何かしらの爆音が聞こえて、俺を覚ましたんだ。

 その爆音が……スノーの声だったんだな。


 ここに二人を連れてきたのもスノーだし、俺を呼び戻してくれたのもスノー。

 これは、一生スノーに頭が上がらないかもしれない。


「色々と合致した。ラルフとヘスターも本当にありがとう。そしてスノー、俺を呼び戻してくれてありがとな」


 そう言葉をかけた瞬間に、頭を食べるのではと思うほどの勢いで舐めまわしてきたスノー。

 顔もべっちょべっちょに舐めてくるせいで若干鼻にくるけど……。

 何にも気にしないくらいには、ラルフ、ヘスター、スノーとこうして戯れることができるのが心の底から嬉しい。


「礼なんかいらねぇ! 俺とヘスターはクリスに助けられたんだ! 恩返しができて良かった!」

「私もです。力になれたか分からないですけど、私にできる全てをやりました」


 【農民】の適性職業を授かり、俺は全てから見放されたと思っていたが、あの時の全てから見放されたお陰で――こうして素晴らしい仲間と出会うことができた。

 神に感謝するつもりはないが、【農民】という適正職業を授かって良かったと思える日がくるとはな。


「それじゃ、王都に戻るとするか。早くここから出たい」

「……なぁ、クリス。クラウスの死体はどうするんだ?」

「ここで燃やしていく」

「そうか……。分かった」


 俺はなんとか体を動かし、死んでいるクラウスの下へと近づく。

 その姿は看取った時のままで、涙を零しながら親父の懐中時計を握り絞めていた。


 俺はその手から懐中時計と紅蓮の剣を取ってから、生まれ変わったらこんな歪な関係ではなく、別の形で出会いたい――そう願いながら【ファイアボール】で焼かれるのを静かに見守ったのだった。




お読み頂きありがとうございます!

本日から後日譚の投稿を開始させて頂きます。

お楽しみ頂ければ幸いです!


そして、先ほど本作のコミカライズが開始されました!!!

期間内は無料で見れますので、ぜひお読み頂ければ幸いです!

↓の画像をタップ頂けると、コミカライズが公開されているサイトへ飛びます!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
  ▼▼▼ 画像をクリックすると、コミックウォーカーに飛びます! ▼▼▼  
表紙絵
  ▲▲▲ 画像をクリックすると、コミックウォーカーに飛びます! ▲▲▲ 
― 新着の感想 ―
[一言] 後日譚嬉しい…!!
[一言] や、や、や、やったぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!
[良い点] 後日譚の再開とコミカライズ化おめでとうございますw この作品が好きなので、アニメ化まで出来るよう祈っております。 エピローグでは少し物足りず、補足的でもうれしいですし、槍の勇者のコミック…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ