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【完結】追放された名家の長男 ~馬鹿にされたハズレスキルで最強へと昇り詰める~  作者: 岡本剛也
8章

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第427話 才能爆発


 ドレークに攻撃を仕掛け始めてから、二十分以上が経過しただろうか。

 未だに手ごたえを掴み切れてはなく、斬りかかっては盾で弾き飛ばされるという行為を延々と続けている状態。


「……おい、まだやんのかよ。攻撃のバリエーションもなくなってきたし、俺はそろそろ飽きてきたぜ?」

「へ、へへ。俺は全然飽きてない! 俺との戦いに決着をつけたいなら、次はドレークの方から攻撃を仕掛けてくればいいんじゃないか?」

「馬鹿か。鬼神乱撃を防がれた時点で、お前に攻撃することはない。俺は無駄なことが大嫌いだからな」

「なら、大人しく俺の攻撃を防いで跳ね返してればいい!」


 そんな軽口を交わしながら、俺は攻撃の手を緩めることなくひたすらに攻撃を続ける。

 未だにドレークのガードを突破するイメージは皆無なままで、盾で突き飛ばされ続けている俺の方が圧倒的にダメージが大きい。


 初代勇者が身に着けていたこのアイドスカルナがなければ、多分動けないくらいのダメージは負っていると思う。

 鎧を俺に貸してくれたクリスに感謝しつつ、俺はドレークにひたすら攻撃を続けていく。


 ドレークの言う通り単調な攻撃になっているのは俺でも分かるし、その対応をするのも本当に飽きてきたようで、戦闘中なのに何度かあくびを噛み殺している。

 この攻撃を続けていても、ドレークにダメージを与えることは不可能に近い。


 なんでそれが分かっていて攻撃を続けているのかというと、俺は攻撃を通そうと思っているのではなくドレークのガードの際の動きを見ているのだ。

 俺が今まで出会ったタンクの中で、抜きんでて一番の実力を持っているドレーク。


 そんなドレークに追いつくためには、ドレークの技術を盗むのが手っ取り早いと俺は考えた。

 幸いにも剣での攻撃はしてこないと宣言してくれているため、安心して身を以て技術を体験できている。


 そして一方的に盾で殴られ続けて約三十分が経過した時――ようやくドレークの技術を習得できたと自信も持って言えるレベルまで達した。

 成長というよりも覚醒に近い感じがして、今まで勘で行ってきた動作がドレークの技術によって埋まった感覚。


「……またニヤけ始めやがって。頭打ちすぎておかしくなったのか?」

「俺の中で全てが繋がったんだよ! 今なら――クリスにも勝てるかもしれない」

「クリス? クラウスじゃなくて、駄目兄貴の方に勝っても仕方ねぇだろ。それに……お前は俺にも勝ててねぇんだぞ?」

「まずは今からドレークを圧倒するんだよ! でも、俺が強くなれたのはドレークのお陰だし感謝はしているから、逃げたいっていうなら見逃すぜ?」

「地面に腰を下ろし、血まみれで片目腫らした奴が言う台詞じゃねぇな。俺はまだ一度も攻撃を食らってないのに対して、お前は何百回と俺のシールドバッシュを食らってる。……逃げたいなんて言う訳ないだろうが」

「なら、やるしかないって訳か! それじゃ遠慮なくやらせてもらう!」


 勝手に盗んだとはいえ技術を叩き込んでくれた師匠なようなもんだし、本当に逃げたいなら見逃すつもりだったけど、逃げるつもりがないなら仕方がない。

 ドレーク相手にどこまで戦えるのかも気になるし、戦闘ではあまり感じたことのないワクワク感が俺の中で暴れている。


 俺は重たい体を起こしてから、軽く首と手首を回してから――。

 さっきまで振り回していた剣をしまい、ドレークに盾を向けて構えた。


「あれだけ大見え切って……盾? ガード合戦でも行うつもりか?」


 ドレークは両手に盾を構えたスタイルで、俺はそんなドレークに対して盾を構えてにじり寄っていく。

 傍から見たら、お互いに盾を構えた訳の分からない状態だと思うけど……これでいい。


 お互いに盾ということもあり、超至近距離まで近づきドレークと顔を見合わせる。

 真横に並ぶと身長の差が明確に分かってしまうから、そこだけが少し引っかかるな。


「盾と盾で一体何をすんだよ。諦めて寝てた方がいいんじゃねぇのか?」

「そりゃ――シールドバッシュの打ち合い!」


 俺は質問にそう返答してから、ふっ飛ばすつもりで勢いよく盾を突き出した。

 ただ何の捻りもないシルードバッシュ程度じゃ、ドレークの強固な牙城を崩せるはずもなく楽々と盾で防がれ――そして、さっきから何度も食らった返しのシールドバッシュが飛んでくる。


 そう、これが俺が待ち望んでいた展開。

 今度は俺がドレークのシールドバッシュを防ぎ、その返しでシールドバッシュを繰り出す。


 この攻防でドレークも俺の意図がようやく伝わったらしく、両手に持った二つの盾を駆使してガードとシルードバッシュを淀みなく行ってきた。

 俺は盾を一つしか装備していないし、一見不利なようにも思えるけど盾の大きさも俺の方が小さいし身軽で小回りも利く。


 ドレークの技術を体で覚えた俺は、自分の技術と組み合わせて昇華させたことで、ドレークと対等にやり合うことができている。

 ――うん。やっぱり守備っていうのは面白いな!


 今までは盾役って地味な感じだし攻撃役の方がカッコいいと思ってたけど、誰かを守れる力というのは俺に合っている。

 そして何より……如何に相手が嫌だと思うことを実行できるかが重要。


 相手の不得意な形を探り出し、その不得意な形に持っていかせる。

 窮屈な体勢を強いられ、戦いづらそうに俺を睨んでくるその目を見るのが――最高に気持ちがいい。


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