第417話 交戦
スノーと副団長が交えたことで、戦闘は一気に激化。
スノーは超速で動き回り、体から生やした氷柱で攻撃を行っているが……流石は王国騎士団の副団長。
先ほどのアンデッドとは違い、完璧に盾で防ぎ切っている。
「【守護者の咆哮】」
「チッ、うぜぇな!」
ただし、スノーに攻撃を仕掛けようとしたタイミングで、ラルフが【守護者の咆哮】を使って注意を無理やり自分に向けているため、攻撃には一切転じられていない。
実力は確かだが、一対一では圧倒的にこちらに分があるのはその光景だけで分かった。
となれば、俺がやることといえば一つだけ。
後ろで控えている枢機卿と司教のサポートを遮断すること。
「ヘスター、まずは司教から狙って攻撃してくれ。俺は三人が分断するまではガードに徹する」
「分かりました。攻撃は任せてください」
ヘスターと連携を取りながら、放ってくる神聖魔法や回復魔法を防ぐことだけに注意をし、三人が放ってきた魔法を全て叩き落としていく。
流石に馬鹿ではないようで、小賢しいことに時折通常の魔法も織り交ぜてきたのだが、残念ながら普通の魔法に対しても俺は【アンチマジック】という対応策がある。
ヘスターの魔法で一方的に攻撃を行いつつ、枢機卿と司教のサポートを完全に遮断することに成功した。
「く、くそ神父! 早く俺に回復を入れやがれ!」
「こっちだって戦っているんですよ! 早くそっちの奴らを蹴散らしてください!」
戦闘開始からほんの五分程度が経過したところで、強い口調で言い争いを始めた副団長と枢機卿。
未だに一発もまともに攻撃を食らってはいないが、スノーの攻撃によって徐々に体の熱を奪われて動きが極端に鈍り始めて焦っている副団長と、司教の一人がヘスターの魔法をまともに食らって倒れ、じわりじわりとにじり寄る俺に恐怖する枢機卿。
あれだけ強者感を漂わせていたのにも関わらず、早くもその姿は見る影もない。
副団長に回復を入れさせたくないため俺はタンクに徹していたが、この状況ならば一気に仕留めにかかってもいいかもしれないな。
司教の一人は倒れているため、残ったもう一人の司教と枢機卿を仕留めればこちらの勝ちが決まる。
近くに魔力反応も感じられたことから、戦闘に顔を出していないが近くにアンデッドがいることは確実。
なるべく早期の決着をつけなければ、息を吹き返せるだけの力をこいつらは持っているからな。
「ヘスター、一気に仕掛けにいく。上級魔法で注意を惹いてくれ。……倒してくれても構わないぞ」
「分かりました。仕留めるつもりで魔法を放ちます」
ヘスターと一言会話を交わしてから、俺は今まで温存していたスキルを少しだけ解放。
身体能力を上昇させるスキルだけ発動させた後、ヘスターの魔法が放たれるのを待ち――。
「【ツイストエアレイド】」
ヘスターが放った二つの巨大な竜巻のような魔法。
あまりにも暴力的な風圧だが、完璧に制御されたその魔法は一度上空へと舞い上がった後、轟音を立てながら司教と枢機卿に襲い掛かった。
上から攻撃してくれたお陰で視線が上に向いた隙に、俺は一気に枢機卿の下へと近づく。
そんな俺の動きに気が付いた副団長が注意を呼び掛けたが、【ツイストエアレイド】の風音のせいで枢機卿には届いていない。
枢機卿も司教も何らかの魔法を使って必死に【ツイストエアレイド】を防いでいるが、その無防備な姿目掛けて俺はヴァンデッタテインを振り下ろした。
背中を深々と斬り裂いた瞬間、ようやく俺の方に目を向けたが……もう遅い。
背中を斬られたことで発動していた魔法が途切れたのか、大量の血を撒き散らしながら【ツイストエアレイド】が枢機卿に直撃した。
俺はすぐに距離を取って巻き添えを食らわないように回避してから、すぐに司教を仕留めにかかろうとしたのだが……。
司教の方はヘスターの【ツイストエアレイド】を防ぎ切れなかったようで、仰向けの状態で泡を吹いて倒れていた。
枢機卿は死亡。司教の二人は戦闘不能で後衛は壊滅させることに成功。
残るは前衛を一人で行っていた王国騎士団副団長だけだが、剣は既に床へ投げ捨てられており、ガタガタと体を震わせながら必死に攻撃を防ぐことだけに注力している。
ただ守備だけに徹している状態でも体が思うように動かなくなっているせいか、徐々にスノーの攻撃が体を捉え始めて血で赤く染まってきた。
後ろで控える枢機卿たちを気に掛ける余裕は既になく、永遠にくるはずのないサポートを必死に待っている状態。
俺も参戦して、一気に片をつけようかとも思ったその瞬間――。
スノーの体から伸びた氷柱が太腿を深く斬り裂き、足の踏ん張りが効かなくなった副団長は仰向けに倒れた。
最初の威勢は何処へやら、必死に命乞いをしているようだが呂律が一切回っていないせいで言葉になっていない。
スノーもラルフも攻撃の手を止めているため、俺がトドメを刺しに行くとしよう。
王国騎士団の副団長を殺すのはどうかと一瞬迷ったが、王女であるシャーロットと手を組んでいるから咎められることはないはず。
倒れている副団長を見下ろし、ヴァンデッタテインを向ける。
「王国騎士団に何か伝えたいことがあれば言ってもいいぞ」
「た、たす、け――」
最後の言葉を聞こうと思ったが、発したのは相も変わらず命乞いの言葉だったため、躊躇なく心臓にヴァンデッタテインを突き立てた。
既に瀕死の状態ということもあり、突き立てた瞬間に血を噴き出しすぐに絶命。
先ほどまで騒々しかった空間は、一瞬にして静寂に包まれたのだった。
昨日投稿ミスをしておりましたので、12時にもう一話投稿致します。
お手数お掛け致しました <(_ _)>ペコ





