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【完結】追放された名家の長男 ~馬鹿にされたハズレスキルで最強へと昇り詰める~  作者: 岡本剛也
8章

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第404話 情報量


「クラウスを倒すことを目標に掲げていたから知っているとは思うが……クラウス・スパーリング。俺の実弟であり【剣神】を授かった、今の国で一番英雄に近いと言われている人物。俺の親父は剣術の師範として街の人たちに指導をしていたのだが、クラウスは幼少期は体が弱く病気にかかりがちだったこともあって、俺はクラウスが剣を握ったところを見たことがなかった」


 今までクラウスが剣を握っているのを見たことがなかった俺が、その姿を初めて見たのが俺に剣を向けてきた時だった。

 明確な殺意を持って真剣を向けられたあの時の光景は……クラウスとの決着をつけたとしても、絶対に忘れることはないと断言できるほどの記憶。


「剣を握ったことすらなかったのに、【剣神】の適性職業を授かったのかよ! 本当に天恵の儀って訳が分からないな」

「逆に俺は幼少期から剣を振らされ続けてたのに【農民】だったからな。天恵の儀に関しては、本当に神の気まぐれとしか思えない。まぁそれまでの努力とか関係なしに秘めているポテンシャルに影響しているのかもしれないが」


 過去から既に脱却しているつもりだが、天恵の儀の日のことを思い出すとやはり未だに塞ぎ込みたい気持ちになってくる。


「その話を聞かされた時はあんまり分からなかったけど、周りのことにも気を遣えるようになった今考えると……クリスのその時の状況ってめちゃくちゃ怖いな! 想像するだけで震えそうになるわ!」

「その時は親父が全てって感じだったからな。逆に冷たくあしらわれてなければ、俺は一生再起できていなかったと思う。――っと、当時の俺の状況じゃなくて今重要なのはクラウスのことだ。そんな十六歳になるまで碌に剣も振ったことがなかったクラウスだが、天恵の儀を受けて【剣神】を授かった三日後には既に俺の力を凌駕していた。もちろん細かな技術では俺の方が上だったが、細かな技術なんて圧倒的な力の前では無力だと身を持って痛感させられたな」

「クラウスに殺されそうになったとは聞いていましたが、実際に剣を交えて戦っていたんですね。詳しくは聞いていなかったので、寝込みを襲われたのかと思っていました」

「ああ。不意打ちされたとかでもなく、しっかりと一対一で戦って殺されかけた。俺は木刀で殺す意思もゼロだったが、向こうは真剣で殺しに来ていたって差はあったけど……正直あまり関係ないな」


 俺が真剣を使ってクラウスを本気で殺しにかかっていたとしても、恐らく返り討ちにあっていたのは確実。

 それほどまでに、当時の俺では【セイクリッド・スラッシュ】に対抗する術を持ち合わせていなかった。


「十年以上の努力をたった三日で追い越されたって訳かよ! クリスとしては辛いな」

「辛いというより生物的に負けを認めてしまってたから、神への恨みはあったが辛さはあんまなかった。……じゃなくてだ。三日でそれだけの成長を見せたってことは、今どれほど強くなっているのか正直予想がつかない。頭の中でクラウス像を思い浮かべているだろうが、もう二回りぐらい大きく見積もってほしい」

「既に今まで出会った人物の中でトップの人物像として思い浮かべているのですが、それの二回りも大きくですか」

「大きく見積もる分にはこちらに不利はないからな」

「確かにさぁ、よくよく考えてみればクリスの双子の弟だもんな。適性職業に恵まれたクリスって考えたら……魔王も裸足で逃げる化け物じゃないか?」


 ラルフは俺を大きく見積もり過ぎている節があるが、それぐらい大きく見てもらった方が良い。


「それぐらいの化け物だと思っておいてくれ。他のメンバーと比べて戦闘情報もほとんどないからな」

「クリスは何か知っている情報はないのか? 実際に剣は交えたんだろ?」

「さっきも言ったが、俺と剣を交えた時は天恵の儀を終えてから三日しか経っていなかった。強力な力を持っていたけど不安定そのものだったし、俺が実際に見たのは【セイクリッド・スラッシュ】ってスキルだけだ」

「そうなんですか……。ちなみに、その【セイクリッド・スラッシュ】ってどんなスキルだったんですか?」

「ロザの大森林で戦ったヘラクベルグが使っていた飛ぶ斬撃みたいな攻撃だな。まぁヘラクベルグの攻撃よりも何倍も威力は高かったが」

「奥の洞窟にいた一本角の魔物か! ヘラクベルグの攻撃って超強力だった記憶があるんだが、あの攻撃の何倍も威力が高いのかよ!」

「その分溜めが必要で、放った後も一定時間動けなくなってたけどな」

「なるほど。ただの高火力なスキルって訳ではないんですね」

「そうだが、この情報も昔の情報だ。今は連続で使えるようになっている可能性もある」


 考え出したらキリがないが、俺が当時と比べて圧倒的に強くなっている訳だし、クラウスも強くなっていると考えなくてはいけない。

 俺が特別なんて考えは、天恵の儀の日に消し去っている。

 ラルフやヘスターと同じように敗北を味わっている人間であり、二度とあの時のような苦汁を飲まないように……一分の油断もせず、俺はクラウスを殺すことだけを考える。



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[一言] 慢心なのか、最近毒草食って無い気がする  廃人のように高みを!    
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