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【完結】追放された名家の長男 ~馬鹿にされたハズレスキルで最強へと昇り詰める~  作者: 岡本剛也
8章

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第403話 死霊使い


 ヘスターが自信を取り戻したところで、エリファスの戦闘能力についてのおさらいを行う。

 エリファスの情報については、シャーロットよりもミエルの方が詳しく知っており事細かに話してくれた。


「それじゃ、エリファスの情報の続きを話していくぞ。エリファスは普通の魔法使いとは異なり死者を操る魔法を使う。ゾンビやスケルトンと言ったアンデッド種の生成や、自然に湧いているアンデッド種の支配なんかも行うことができるらしい」

「なんていうか悪っぽい能力だよな! 英雄ってよりかは魔王の仲間が使ってきそうな魔法な感じがする!」

「実際、かなりブラックなことも行っているみたいだぞ。名を馳せた冒険者の墓を掘り起こして、その死体を基にアンデッドの生成も行ったってミエルが言っていたしな」

「それって禁忌とされている行為ですよね? 許されているんでしょうか?」

「まぁクラウスが主導だろうからなんでもアリなんだろ。『アンダーアイ』のリーダーだったミルウォークをパーティに加えているぐらいだからな」

「確かにミルウォークをパーティメンバーにしていたって聞くと、人間の死体を弄ってアンデッドとして使役していてもおかしくないと思っちまうな!」

「おかしくないというか、ミエルの話が本当なら確実にやっている行為だ」


 それ以外にも、殺した魔物もアンデッドにしている実験も行っているのではともシャーロットは話していた。

 エデストルのダンジョン攻略に赴いたのもダンジョンを攻略することが目的ではなく、ダンジョン五十階層にいるボスをアンデッドにして使役することが目的と睨んでいたようで……。


 シャーロットがゴーティエとミエルを連れて後から攻略に向かったのも、その事実を確かめるためだったらしい。

 ダンジョンのボスは定期的に復活するらしく、その事実は確認できなかったようだが、使役していてもおかしくないとシャーロットは言っていた。


 ミエルに関してはもっとあくどいことをしていると睨んでいるらしく、魔物だけでなく生きた人間を実験として自由につかうためにミルウォークをパーティに引き込んだと見ているようだ。

 これについては何の証拠もないミエルの憶測だが、『アンダーアイ』の建物から大量の人間が見つかったことから、あり得ない話ではないと俺も感じている。


「アンデッドを使役する魔法って凄まじいですね。あまり考えたくないことですが、私達の誰かが殺されてしまったら敵側の駒として使われるってことですもんね」

「そういうことになるだろうな。……ただ、エリファスが恐ろしいのはアンデッドの生成や使役だけじゃないってところだ。さっきも話した通り、十二歳の段階で四元素全ての初級魔法を完璧に使えていた。天恵の儀で【操死霊術師】って特殊な職ではあるが魔法職を得ている訳だし、上級魔法を扱えていても何もおかしくない」

「アンデッドを使わずとも強いって何なんだよ! そんな相手と相対するのはヘスターなんだよな? ……本当に勝てるのかよ」

「もう迷わないので大丈夫です。私は絶対に負けませんよ。ただ、ラルフやクリスさんが早々に負けて、エリファスに使役されてしまったら分からなくなりますので……二人こそ負けないでくださいね?」


 満面の笑みを浮かべてそう言ってきたヘスター。

 この様子なら、ヘスターに関しては本当に心配いらなそうだな。


「俺も絶対に負けないから大丈夫だ! だから、全てはクリスにかかっているんだぞ! 全てはクリスから始まっている訳だしな!」

「二人に偉そうなことを言っておいて、俺としても負けるつもりは微塵もないが……負けることがあるとすれば、まぁ俺だろうな」

「クリスさんは自信がないんですか?」

「自信がない訳ではない。勝てるという自信がついたから、クラウスに戦いを挑みに行く訳だしな。ただ、如何せん情報が少なすぎる」


 【剣神】ということもあり、クラウスの知名度は他の奴らに比べても知名度はあるのだが、戦闘に関する情報がほとんどない。

 意図的に力を見せないようにしているようで、シャーロットでもほとんど掴めていないと言っていた。


 執着心が強く、非常に用心深い性格。

 【剣神】という圧倒的な適性職業を授かっても驕ることはなく、根本的ないやらしい性格は変わっていないのが面倒なところだな。


「でも実の兄弟な訳だし、クリスは色々と情報を持っているんだろ?」

「まぁそれも含めて今から話をする。三人目のパーティメンバーであるミルウォークは既に俺が殺したから説明を省くとして、最後は【剣神】であり俺達がずっと目標として定めていた俺の実弟であるクラウスについての情報確認を行う。二人は戦わない予定ではあるけど、一応頭には入れておいてくれ」

「当たり前だ! 俺もクラウスを倒して、最強の冒険者となるために実力をつけてきた訳だしな! 戦う隙があれば、クリスには悪いけど俺が倒すつもりでいるぜ!」

「まずは俺が戦わせてもらうが、その心づもりでいてもらえると助かる」


 意気込んでいるラルフにそう言ってから、俺は最後にして要である【剣神】クラウスについての情報を二人に話していくことにした。


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