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第338話 アンダーアイ


 クラウスの邪魔になる者を消して回っているっていうのは、自分が自由に動き回るためのもの。

 ミエルの話では、パーティに『アンダーアイ』のリーダーを加えたことで王からの反感を買ったようだし、武力行使に出たと捉えるのが正しいはず。


 血縁関係にある俺を躊躇なく殺しにきたことからも、クラウスは殺しに対して一切の躊躇いも持ち合わせていない。

 殺して回っているという話を聞いても驚きはないし、何の迷いもなく実行するだろう。


「相当危ない連中なんだな。その『アンダーアイ』って組織に属してる奴らは」

「『アンダーアイ』って言うよりも、それを自由に動かしている【剣神】のが俺は恐ろしいけどね」

「……でも、そんな噂が立っているなら民衆からの反対は出ないのか? 【剣神】と言えば勇者候補と呼ばれている人物なんだろ? 街を脅かしてる裏の組織の人間と繋がってるなんて支持はされないと思うが」

「大抵の一般人は知らないし興味もないだろうよ。それに王立の学園に所属していて、更に国内どころか隣国まで【剣神】の名は轟いているからな。ただ王国としても隠蔽したい事実なのは間違いない。裏から圧力はかけたようだが、国からの圧力すらも『アンダーアイ』の暗躍によって黙らされたみたいだしな」


 話がデカくなりすぎていて、クラウスが一体何をしようとしているのか俺には全く理解できない。


「その【剣神】が何をしようとしているかの情報は回っていないのか?」

「さあな。エデストルのダンジョンへ攻略に行ったって噂もあるし、勇者としての務めを果たそうとは思っているんじゃないのか? 最近、魔王軍の動きも活発だって聞くしな。――っと、世間話も兼ねて色々と喋っちまったがここまでだ。二つ目の質問をしてくれ」


 魔王軍。またしても聞きなれないワードが出てきたし、掘り下げたい気持ちはあるが……。

 今は他のことに気を取られている余裕はないため、『アンダーアイ』について掘り下げて聞いてみようか。


「二つ目も『アンダーアイ』に関してを聞かせてほしい。少数精鋭と言っていたが、知っている構成員の名前と特徴を教えてくれ」

「『アンダーアイ』について知りたいなんて本当に変な客だな。構成員について知ってることなんてほとんどないぜ? リーダーと幹部四人の内に二人しか情報がない。それでもいいなら二つ目の情報として話させてもらう」

「それで構わない。話してくれ」


 身のこなしや分身スキルの強さ。

 勝手に幹部クラスだと思っているため、特徴が当てはまる人物が出てこないか注意して聞こう。

 仮に当てはまらなかったとしても、クラウスとやり合うことを考えればぶつかる組織なのは間違いないからな。

 

「分かったぜ。まずはリーダーについて話そう。『アンダーアイ』のリーダーはミルウォークという人物。さっきも話したが【剣神】のパーティに加入していて、素性を一切隠す気がない」

「ミルウォークの名は俺でも聞いたことがある。誰でも知っているのか」

「多分、知らない奴のが少ないだろうぜ。怪しい服装に顔の右半分は傷によって潰れている――見るからにイカれた野郎だからな」

「確か、【剣神】を凌ぐ才能を持っているんだろ?」

「一部ではそう言われているらしいな。戦闘は見たことがないが『アンダーアイ』のリーダーとして動いていた時は、一人で【賭影】って盗賊団を壊滅させたって噂も流れていたし……顔右半分の傷さえなければ、【剣神】以上の強さを持っていたって言われているな」


 エデストルでミエルが話していたのは事実だったんだな。

 こうなるなら、もう少し詳しく聞いておけば良かった。


「なるほど。ミルウォークについては分かった。幹部四人の内の二人について教えてくれ」

「幹部の方はあまり情報がないんだが、一人目はプラウズって名前の大男。単純な力だけなら王国一と言われている怪力の持ち主」

「王国一の怪力か。体もデカそうだし相当目立ちそうだな」

「だから情報が出回っているんだろうな。完全な戦闘要員だし、ミルウォークに次いで知られている」


 王国一ということはカルロよりも力が強いってことか。

 片腕ってことを差し引いても、俺が出会った人間の中で最も力が強かったカルロよりも上。

 精鋭ばかりが集まったっていうのは伊達じゃないようだ


「二人目はブルーデンスって名前の女だ。【アンダーアイ】唯一の女性で、しかも幹部の一人ってことで有名。それぐらいしか情報が出回っていないが、なんでも超が付くほどの美人らしい」

「女で極悪組織の幹部か。美人ってのはどうでもいいが、関わりたくない人物なのは間違いない」

「――っと、まぁ俺の知っている情報はこんなもんだ。満足してくれたか?」

「ああ。金貨一枚払っただけの価値はあった」

「それなら良かった。お前さんならまた情報を売ってやるから、いつでも来てくれや」


 情報屋はそう言うと、片手を上げながら廃屋から足場やに立ち去って行った。

 自死した黒フードの男については、貰った情報に当てはまる人物じゃなかったが、予想以上に良い情報を貰うことができた。


 レアルザッド。それも裏通りを拠点にしている情報屋だし、あまり期待していなかったが大方満足のいく内容。

 さてと、あのローブの男についての情報はもう集まらなそうだし、二人とスノーが戻ってくるまでの間に他にできることを探すとするか。


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