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【完結】追放された名家の長男 ~馬鹿にされたハズレスキルで最強へと昇り詰める~  作者: 岡本剛也
7章

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第330話 神父の情報


 『七福屋』にて、おじいさんとかなり長い時間話し込んでしまった。

 レアルザッドを発ってからは本当に色々あったし、長話となるのは考えてみれば仕方のないこと。

 辺りがすっかり暗くなってしまったため、今日のところは話の途中で帰ることとなり、軽く挨拶をしてから俺達は『七福屋』を後にした。


「すっかり話し込んでしまったな。着いたのが昼頃だったのに、もう日が落ちてしまってる」

「色々と他の店も回りたかったけど、もう宿屋に帰るしかなさそうだな! 長旅の疲れでヘトヘトだし、今日は早めに眠りたいぜ!」

「私もラルフと同意見ですね。帰りに惣菜を買ってから帰りましょうか」


 二人は既に目がとろんとしており帰って眠る気満々の様子だが、俺はどうしても教会に寄りたい。

 日が落ちているし、もう教会派閉まっている可能性も高いが……あの顔立ちの良い神父が大丈夫なのかの確認がしたい。


「二人共、先に宿屋に戻っててくれるか? 俺はどうしても寄りたい場所があるんだ」

「えっ? こんな時間に寄りたい場所があんのか? ……まぁ別に構わないけど、クリスは夜ご飯どうするんだよ!」

「一緒に買っておいてくれると助かる。そこまで長い用ではないから俺もすぐに帰る」

「分かりました。それでは私達と同じお惣菜を買っておきますね」

「ああ。よろしく頼む」


 こうして俺はラルフとヘスターと別れ、一人で教会へと向かうことに決めた。

 教会の場所は表通りのど真ん中で、レアルザッドの一等地に建てられている。


 オックスターの街の外れにある教会とは違い、神秘的で神々しさを感じる教会だったのを今でも覚えている。

 何か手土産でも買っていこうと思ったが、教会が閉まっていたら無駄となってしまうため、今日のところは何も持たずに教会へとやってきた。


 ……一応中は灯りがついているが、人気は一切ないし多分閉まっていると思う。

 ただ普通の店とは根本的に違うため『CLOSED』の看板は出されていないし、無知なふりをして入ってみるとしようか。


 扉に手をかけ押してみると、鍵がかかっていないようであっさりと扉が開いた。

 教会の中も相変わらず神秘的な空間となっており、夜で薄暗い感じも逆に神聖な空気が流れている気がする。


 やはりというべきか、教会の中には信者はおろか神父やシスターの姿も見えない。

 完全に盗みに入った感じになっているが、ここから声を出して呼べば何の問題もないはず。


「誰かいないか? いたら出てきてほしい」


 俺は少し大きめの声量で呼びかけてみた。

 薄暗く無音の教会に俺の声が響き渡り、そしてまた静寂が流れる。

 

 うーん。これはまた別日に出直した方がいいかもしれないな。

 何の物音もせず誰からの返事もなかったため、俺は諦めて教会を去ろうとしたのだが……。


 教会の扉に手をかけたタイミングで、奥の部屋から足音が近づいてくるのが分かった。

 どうやら俺の呼びかけ気づいて、誰かが来てくれたみたいだな。


 俺は立ち去るのを止めてしばらく待っていると、教会の奥から現れたのは一人のシスターだった。

 もしかしたら顔立ちの良い神父じゃないかと期待していたのだが、物事というのはそう上手くはいかない。


「礼拝をしに来てくれたのでしょうか? 申し訳ございませんが、本日の礼拝は終わっております。また後日、改めてお越し――」

「いや、礼拝に来た訳じゃない。ここに勤めているであろう知り合いの神父に会いに来たんだ」

「知り合いの神父さんですか? ……お名前とかって分かりますでしょうか?」


 名前……? 今思えば、あの神父の名前を教えてもらっていなかったな。

 ただ名前は分からないが、あれだけ顔が整っているのだから聞けば分かるはず。


「名前は忘れてしまった。なんとういうか……顔の整っている神父なんだが、顔立ちの良い神父に心当たりはないか?」

「わざわざ尋ねてくるほどの知り合いなのに、名前を忘れる……? え、えーっと、顔立ちの良い神父さんですか。――あっ、グラハム様ですね!」


 かなり疑惑の目を俺に向けてきたシスターだったが、顔立ちの良い神父というワードでどうやら思い当たった人物がいたらしい。

 名前を聞いてすらいないため、俺はグラハムという名前に聞き覚えはないが……俺が探している神父はグラハムで間違いないだろう。


「そのグラハムって神父で間違いない。グラハム神父は今教会にいるのか? いるならば呼んできてほしいのだが」

「申し訳ございません。グラハム様は半年ほど前に王都の教会へ異動してしまいました。ですので、レアルザッドの教会にはいないのです」

「そうだったのか。……そういうことなら仕方がないな。教えてくれて助かった」


 丁寧な対応をしてくれたシスターに礼を伝えてから、俺はそそくさと教会を後にした。

 まだこの教会で働いていると思っていたが、まさか王都に移っていたとはな。


 教会にも異動という概念があることにも驚きだが、その異動先が王都というのは少し心配が増してくる。

 教会が俺のことを探しているという情報を俺に流してくれた訳だし、そのことがバレていたとしたらクラウスの手が及んでいる可能性もある。


 せっかく来てみたはいいものの、心のモヤモヤが晴れるどころか……。

 更にモヤモヤとした気持ちになった状態で、俺はひとまず宿屋である『月花』に戻ることにしたのだった。



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