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【完結】追放された名家の長男 ~馬鹿にされたハズレスキルで最強へと昇り詰める~  作者: 岡本剛也
6章

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第325話 最後の能力判別


 エデストルを観光しまくった翌日。今日はそんなエデストルを発つ日。

 昨日、知らなかった良い店や良い場所を見つけたからこそ、発つのが惜しくなってしまっているが……。

 全ての決着をつけるためにも発たなければいけない。


「ラルフ、ヘスター。忘れ物はないよな?」

「前々日から準備してたし大丈夫だ!」

「私の方も大丈夫です。もういつでも行けますよ」

「それじゃ……出るとするか」


 大きな荷物を持ち、俺達はエデストルに来てからお世話になっていた『ゴラッシュ』を後にする。

 スノーがいるためペット可の宿屋を探して辿り着いた場所だが、居心地も良かったし店主の愛想も良かった。

 慣れ親しんだ部屋を去るのは何度経験しても惜しい気持ちになるが、またいつか戻ってくればいいだけだもんな。

 

「そういえば、街の入口でボルスさん達が待っていてくれているそうですよ。……オックスターの時といい、こうしてお見送りしてくれるぐらいの関係を築けたのは幸運ですね」

「本当にそうだな。ボルスさんには来た時からずっと世話になりっぱなしだった」

「まぁクリスはそんな人をかなり無碍にしてたんだけどな!」

「今、礼儀を持って接してるんだからいいだろ」


 そんな雑談をしつつ、俺達は街の入口へ向けて歩を進める。

 ボルスさんだけでなく色々な人に世話になったし、俺一人の力ではどうにもできなかったことが山ほどあった。


 一応、昨日までに別れと感謝の言葉を伝えて回ったが、いつかまた改めて礼をしなくてはいけない。

 そこまで考えついたところで、俺は一人の人物にだけ挨拶をしていないことを思い出した。

 

 毎回、能力判別をしてくれた婆さんシスターだ。

 まぁ礼をするほどの世話になったのかと言われれば微妙なところだが、色々と細かい対応はさせていたし何も言わずに消えるのは違うかもしれない。

 別れの挨拶がてら、最後に能力判別でもしてくるか。


「ラルフ、ヘスター、悪い。一つ忘れ物した」

「なんだよ! クリスが俺達に忘れ物ないか聞いてたのに、自分が忘れ物してたのか? 一体何を忘れたんだよ!」

「ちょっととある人への挨拶だ。街の入口には先に行っててくれ。後からすぐに向かう」

「分かりました。先に行って待っててますね」

「なんかクリスって、出発のとき毎回こんな感じだよな!」


 ラルフとヘスターを先に向かわせ、俺は引き返して教会へと向かうことにした。

 言われて思い出したが、確かレアルザッドの時もオックスターの時も、出発ギリギリで挨拶したんだっけか?


 ……そういえばその時にレアルザッドの神父は、枢機卿が俺のことを探し回ってくれていることを教えてくれたんだった。

 俺に情報を流して無事だったのかも気になるし、戻った際に少し会いたいな。

 ふと思い出した顔立ちの良い神父のことを考えながら、俺は辿り着いた教会の中へと入った。

 

 礼拝している人達をいつものように無視し、奥にある能力判別部屋へと向かう。

 朝早いということもあって、流石に部屋の中には誰もいないためベルを鳴らして婆さんシスターが来るのを静かに待った。


「おや、こんな朝早くに来るとは珍しいですね。今日も連続で能力判別を行うのかい?」

「いや、今日は一回だけだ」

「これは本当に随分と珍しいことだね! やっと連続で能力判別しても意味がないことに気が付いたのですかな?」

「そういうことではない。そもそも俺が何回も能力判別を行っているのは決して無駄じゃないしな。……今日で街を離れるから、その挨拶を兼ねて最後の能力判別をしに来たんだよ」

「あれ、そうなんですか。それは寂しくなるね。変な人ではあったけど、面白くもありましたから。それで次はどの街に行くんですか?」


 やはり変な人だと思われていたんだな。

 まぁ、実際に変な行動しているから仕方ないんだけどさ。


「婆さんには一日に何度も能力判別して世話になった。俺が次に向かうのは王都だよ」

「ほー、王都! エデストルを離れて国内で向かうとしたら、まぁ王都になるかね。……わざわざ挨拶に来てくれたんだ。お得意様だったし最後に良い情報をあげましょうかね」

「良い情報? 婆さんも情報をくれるのか?」

「婆さん“も”? 他に良い情報をくれた人がいたのかい?」

「あー、いや。口が滑っただけだから気にしないでくれ」


 ここに来る道中でレアルザッドの神父を思い出していたため、つい口走ってしまった。

 説明したところで訳の分からない話になるし、可能性としては限りなく低いだろうが話したらあの神父に迷惑がかかるかもしれないからな。


「そうかい、本当に変わっているね。……それで良い情報なのだけど、王都の西地区にある孤児院に行ってみるといい。『エデストルのシスターから教えてもらった』と伝えれば、きっと良くしてくれると思いますよ」

「西地区の孤児院だな。王都に着いたら顔を出してみるよ。婆さんも以前は王都にいたのか?」

「……かなり前のことだけどね。それより長話もしていられないでしょう。能力判別をさせてもらうよ」

「ああ。よろしく頼む」


 聞かれたくないことなのか、あっさりと流されたな。

 

「――終わりましたよ。確認してみてくだされ」

「ああ、バッチリ反映されている。それじゃ今まで世話になった。またエデストルに来た時はよろしく頼む」

「はい。いつでもお待ちしておりますよ」


 こうして、俺は婆さんシスターに礼を伝えてから教会を後にした。

 少し話が弾んで長居してしまったため、早く街の入口を目指さないとな。



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