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【完結】追放された名家の長男 ~馬鹿にされたハズレスキルで最強へと昇り詰める~  作者: 岡本剛也
6章

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第315話 鑑定士の情報


「いやぁ、素晴らしい剣だな! 久々にここまで興奮した気がする」

「それは良かった。……それで、ヴァンデッタテインについて何か分かったことはないのか? 可能ならばケヴィンから教えてもらいたいからな」

「悪いが凄い剣としか分からねぇ。剣の構造が複雑すぎて、普通に打った剣とはまるで違う。恐らく鍛冶師が打った剣じゃないと思うぜ」


 やはりケヴィンでは分からないのか。

 言っている通り、魔力を流すと剣の切れ味が増大するということから、何かしらの魔法技術も加わっているのは間違いない。

 鑑定を専門としている人間に聞かなければ、ヴァンデッタテインの性能の解明には至らなそうだ。


「分からないなら仕方がないな。なら約束通り、鑑定できそうな人を教えてもらうことできるか?」

「もちろんだ。ヴァンデッタテインを見せてくれなくとも、教えるつもりではあったしな。クリスは『レラボマーケット』って知っているか?」


 『レラボマーケット』。

 エデストルに訪れたばかりの時、ボルスさんから紹介してもらった雑貨屋だ。


 紹介してもらった他の個人経営の隠れ名店とは違い、三大都市であるこのエデストルで一番大きな雑貨屋。

 たまに買い物をしに行くし、俺も知らない訳がない。


「知っているぞ。たまに買い物だってしに行くしな」

「それなら話が早ぇな。『レラボマーケット』のオーナー社長が、俺の言った一流鑑定士なんだ」

「あの馬鹿デカい雑貨屋の社長でもあり、一流の鑑定士なのか。とんでもない人物だな」

「逆を言うのであれば一流の鑑定士だからこそ、『レラボマーケット』をあそこまで大きくできたとも言える」

「なるほどな。妙に納得できた気がする。……だけど、『レラボマーケット』の社長なんかに会えなくないか? ヴァンデッタテインを鑑定できる人物を教えてもらったのはいいけど、会えなきゃ意味ないからな」


 店長くらいならば『レラボマーケット』に足を運べば会えるだろうが、オーナー社長となれば話は違うはず。

 教えてもらったからと言っても会うことができないのであれば、この鑑定士の情報は無価値に等しい。


「大丈夫だ。俺はその社長オーナーとはちょっとした知り合いでな。ヴァンデッタテインを見せてくれた礼も兼ねて、紹介状を書いてやるよ」

「そうなのか? それは本当にありがたい」


 ケヴィンは店の裏まで戻ると、一枚の紙を持って戻ってきた。

 かなり汚い紙に雑に書かれたものだが、こんなもので果たして通してもらうことができるのか……少し不安だな。


「この紙を『レラボマーケット』の店員に見せれば通してもらえるはずだ」

「本当に紹介状として有効なのか? かなり汚い紙のようだが」

「大丈夫だ。多分な」


 不安は残るものの好意で書いてくれたものだし、この紹介状以外で『レラボマーケット』の社長オーナーと会う方法はない。

 仮に会うことができなかったとしても、紹介状を見せるだけ見せに行くとしようか。


「そんで、他に何か用はあるのか?」

「あー、あと鎧の方も見てもらおうと思ったんだが、こっちも鑑定は『レラボマーケット』の社長に見てもらった方が正確だよな?」

「そうだろうな。俺が鑑定するよりも正確に鑑定してくれると思うぜ。まぁ手入れとかだったら俺の方が完璧に行えるから、手入れが必要になったら持ってきてくれや。ヴァンデッタテインなら無料で引き受けてやるからよ」

「ケヴィンが個人的に手入れしたいってことか。そういうことなら、いずれ手入れをお願いしに来させてもらう。とりあえず今日は本当に助かった」

「紹介状をちょちょっと書いただけだから気にすんな。こっちこそ良い武器を見せてもらったからな。またいつでも遊びに来てくれ」

「ああ。また何かあったらよろしく頼む」


 俺はケヴィンに感謝の言葉を伝えてから、ケヴィンの武器屋を後にした。

 時間もまだまだあることだし、このままの足で『レラボマーケット』へと向かうとしようか。


 正直こんな街外れにある汚い鍛冶屋と、街一番の道具屋の社長オーナーとの接点が未だに分からないし、この紹介状が意味を成すとは思えないのだが……。

 あまり期待はせずに行ってみるとしよう。



 商業通りへと戻り、一番栄えている街の中央部。

 見上げなければいけないほど大きな建物が鎮座しており――ここが街一番の雑貨屋『レラボマーケット』。

 

 裏路地や裏通り、闇市場などを好んで通っていた俺からすると、人で溢れているこういった店はあまり得意ではない。

 品揃えが豊富で一番目立つ場所に建っている割に、値段自体も良心的ではあるのだけど決して安いとは言えないしな。

 そんなネガティブな思考を巡らせつつ、俺は『レラボマーケット』の社長オーナーに会うため、店の中へと足を踏み入れたのだった。


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