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第288話 思わぬ情報


「ありがとう。お陰で良いポーションが買えた」

「いえいえ! ボルスが色々とお世話になってるからね! 私が実際に使ってみて良いと思ったポーションを選んだし、トリシャさんが選ぶよりも実戦で使いやすいポーションだと思うよ!」

「それはありがたい。実際に使って失敗だと、今回は取返しがつかない可能性があるからな」


 購入したポーションは全部で三種類。

 一つ目は、レーペロ草と呼ばれる薬草から作られた高濃度回復ポーション。

 治癒能力向上に特化したポーションのようで、ランク的には中級回復ポーションなのだが、治癒力だけを考えれば上級以上に効果のあるポーションらしい。

 

 二つ目は、ファンイー草と呼ばれる植物をメインに作られた耐久力を上昇させる強化ポーション。

 複数の植物から作られており、『ガッドフォーラ』でしか買えない特製ポーションらしい。

 

 三つ目は、アングリフの実と呼ばれる木の実から作られた力を上昇させる強化ポーション。

 こちらは製法も広く知れ渡っているお馴染みの強化ポーションらしいが、一番安価でコストパフォーマンスが高いとルパートが力説していた。


「それにしても買い込んだね! これから『バルバット山』に行くんだっけ?」

「……あれ? そのことルパートに話したっけか?」

「ううん。ボルスとルーファスの会話を盗み聞きしただけ! 知られちゃまずかった?」

「いいや。ルパートになら別に知られても困らない」

「それなら良かったよ! ……それで、良いポーションを大量に買い込んだのは何か理由があるの?」


 別に知られても困らないとは言ったが、『バハムートの洞窟』の攻略に行くことを話すかどうか……。

 ポーション選びで世話になったし、もしかしたら情報をくれるかもしれないから隠し事はなしでいくか。


「『バハムートの洞窟』の攻略をしようと思ってな。危険と言われている場所だし、まずは『バハムートの洞窟』の捜索から始めないといけないから大量にポーションを買い込んだんだ」

「へー! ついこの間までボルスに手伝ってプラチナランクの依頼を受けてたのに、あの『バハムートの洞窟』の攻略って凄いね! なんだか、あっという間に追い抜かれちゃったよ」

「それでなんだが、ルパートは『バハムートの洞窟』について何か知っていることないか?」


 俺がそう尋ねると、顎に手を当てて考え出したルパート。

 歴は長いと言っていたし、ボルスさんも二十年くらいエデストルで活動しているとも言っていた。


 その当時からルパートもパーティを組んでいるのだとしたら、何か知っていても不思議ではない。

 ……でも、見た目はボルスさんと違って老けていないし、二十代後半ぐらいの感覚。


 ただルーファスの件もあるし、実際ルパートって何歳なんだろうか。

 俺がルパートの実年齢についての考察をしようとしたタイミングで、何かを思い出したルパートが笑みを浮かべて話し始めた。


「あまり詳しくは知らないんだけどさ、『バハムートの洞窟』の奥には邪龍バハムートの死骸があるって噂は聞いたことある! その死骸から大量の邪気が漏れ出ていて、邪気のせいで強い魔物が跋扈しているとかなんとかって噂!」


 ……今まで聞いたことのない話だな。

 確かに洞窟の名前にもなっている訳だし、その洞窟にバハムートそのものがいてもおかしくはない。


 ただ龍が住んでいるのだとすれば目撃証言が飛び交るだろうし、死骸が眠っているのは話としての辻褄が一番合う。

 とにかく、邪龍バハムートの死骸が入るぐらいの大きさの洞窟というだけでも貴重な情報だな。


「邪龍の死骸が収まるくらいの洞窟って訳か。噂話だとしても貴重な情報ありが――」

「……あれ? 死骸じゃなくて、剣から邪気が漏れ出ているんだっけ? ごめん! 詳しい話は忘れちゃった! でも、洞窟の中は強力な邪気で溢れていて、致死量の毒が蔓延してるって話はしっかり覚えているよ! くれぐれも中には入らないように気をつけてね!」


 ルパートの記憶も曖昧そうだし、その情報の出所も噂話。

 信頼に値する情報かどうか微妙だが、致死量の毒が洞窟内に蔓延しているという話は俺の心臓を大きく鳴らした。


 人間どころか生半可な生物は入れない洞窟だが、『毒無効』を持っている俺だけは別。

 誰に聞いてもハズレスキルと馬鹿にされるだろうが、『毒無効』はどんなスキルや適正職業をも凌駕する最強のスキルだと――改めて強く感じられたな。


「あれれ? 随分と嬉しそうな顔してる! 昔に聞いたことのある噂程度の話だけど良い情報だった?」

「ああ。ポーション選びに引き続き、情報提供までありがとう。今日は色々と助かった」

「いえいえ! 私も暇潰しで付き合っただけで、こんだけ感謝されたし大満足だよ! これからもボルスと仲良くしてあげてね!」

「もちろん。無事に帰ってこられたら、ボルスさん含めて礼をさせてもらうよ」

「おおー! 楽しみに待っているね!」


 手を振って見送ってくれているルパートに軽く頭を下げてから、俺は『ガッドフォーラ』を後にした。

 良いポーションも買えたし、思わぬ情報も得ることができた。

 ルパートには心から感謝をしつつ、『マジックケイヴ』に行くとしようか。



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