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第287話 攻略準備


 話し合いから二週間が経過した。

 スキルの実を食べた反動も程々に受けつつ、依頼をこなしながら戦闘の勘を取り戻す日々を送っていた。

 【黒霧】と【広範化】のスキルも合わせつつ金もしっかりと貯めることができ、『バハムートの洞窟』の攻略もいよいよ明日へと控えている。

 

 ちなみになのだが、先週ミエルとシャーロット達が王都へと帰還した。

 何やらミエル抜きでダンジョン五十階層を攻略したようで、ミエルは不満を俺に吐き散らしてからエデストルを去って行った。


 王女達とは一緒にダンジョン攻略はしたくないと文句を言っていたのに、自分抜きで攻略成功したのもどうやら納得がいかなかったらしい。

 ミエルは本当に面倒くさい性格をしていると思うが、まぁ手伝ってもらった恩もあるし悪く言うのはここまでにして……明日の攻略についてを考えるとしようか。


 今日は各々準備を整えることとなっており、ラルフは【月影の牙】の面々にアドバイスをもらうためダンジョン街へ。

 ヘスターは街の方々へと回って、『バルバット山』及び『バハムートの洞窟』についての最後の情報収集を行っている。


 俺はというと明日からの探索に向けての買い出しを頼まれており、これから街を回って必要な物の買い出しを行う。

 まぁ買い出しと言っても特筆して必要というものはなく、普段の持ち物を揃えるだけだがポーションについてはこだわりたいため、『ガッドフォーラ』と『マジックケイヴ』を回るつもり。


 時間も限られているし、早速『ガッドフォーラ』から向かうとしようか。

 遊びたそうにしているスノーに大人しくしているよう伝えてから、俺は『ゴラッシュ』を出て『ガッドフォーラ』へと向かった。


 今まではジンピーのポーション生成の依頼でしか尋ねることはなかったのだが、【広範化】のスキルを手に入れてからは頻繁に通っている。

 値段は張るが強力なポーションが必要になったし、今まで手を出してこなかった強化ポーションにも手を出し始めたからな。


 ヴェノムパイソンの毒ポーションや、ロザの大森林で見つけた新種の毒草のポーションなんかが使えるならば、もっと安上がりで強力なポーションを使うことができたのだが……。

 無論のこと、能力強化だけじゃなく毒も付与されてしまうため、【広範化】を使っての味方強化には利用できない。


 レイゼン草やリザーフの実といった毒草も同じで、これらの効能が味方にも付与できればよかったのだが、毒の部分のせいで使うことは不可となっている。

 オンガニールの実と【広範化】を利用しての、大量スキル保持パーティなんかも一瞬だけ夢見たがそこまで甘くはなかったという訳だ。


 そんなことを考えながら歩いていると、あっという間に『ガッドフォーラ』へと辿り着いた。

 気持ちを切り替え、真剣にポーション選びを行うとしようか。


 扉を押し開け中に入ると、トリシャとルパートが話しているのが目に入った。

 ルパートはボルスさんと同じパーティで、重い病気を患っていた『ガッドフォーラ』の常連。

 最近は俺もよく『ガッドフォーラ』に顔を出すため、結構な確率でこうして出くわす。

 

「あっ、クリス君だ! 今日もポーション生成の相談に来たの?」

「いや、今日は単純にポーションを買いに来ただけだ。……それにしても頻繁に顔を出し過ぎじゃないか? 三回に一回はいる気がするぞ」

「それはこっちの台詞だよ! 私は二回に一回はクリス君と会っているし、頻度的にはクリス君のが来ているんじゃないの? ねぇ、トリシャさん」

「どっちもどっちだよ。私も老体なんだから、あまりコキ使わないで欲しいねぇ」

「私は別に仕事を頼みに来てないでしょ! 遊びに来ているだけ」

「話し相手も疲れるのさ」


 トリシャにそう言われ、ふくれ面をしているルパートを流し見しつつ、俺は目的であるポーション探しへと移る。

 今日ここで買おうと思っているのは、良い回復薬と強化ポーションの二種類。


 練習用の質の低いポーションは購入していたが、質の高いポーションは初めて買う。

 トリシャに効果を尋ねながら、じっくりと何のポーションを買うか決めようと思ったのだが……。


「ジーッと見て何か用か? 暇ならトリシャと話をしてればいいだろ」

「もう話は終わったから! ポーション買うんだったら私が手伝ってあげようか? 最近の頻度でいえばクリス君の方が高いけど、歴で言えば圧倒的に私だし知り尽くしているからね!」


 確かにルパートの方が詳しいのだろうけど、相手にするのが面倒くさいんだよな。

 トリシャから最低限の説明を聞きつつ、自分でじっくり決めたい気持ちが強いが……今回は失敗できないことを考えるとルパートにお願いするのが正解か。


「……ルパートがいいなら手伝ってくれ」

「なんでそんな不服そうなのさ!」

「気にしないでくれ。それより早くポーションを見繕いたい」


 こうしてルパートと共にポーション選びを行うこととなった。

 なんだかんだボルスさんのパーティメンバー全員に、世話になっているんだよな。

 『バハムートの洞窟』の攻略が終わったら、三人には礼を兼ねて今度は俺が『ぺこぺこ』のワイバーンステーキを奢るとしようか。


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