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第278話 相乗効果


 早足で北の平原へとやってきた俺は、早速新たに得た特殊スキルの試し撃ちを開始していくことにした。

 まずは……無難に【硬質化】のスキルから使っていこうか。

 

 俺の予想では【外皮強化】の上位スキルで、【外皮強化】よりも硬度を高くできると踏んでいる。

 心の中で念じ、俺はスキルを発動させた。


【硬質化】


 心の中で念じると、予想通り使用したいと念じた腕が硬質化し硬くなったのだが、皮膚だけでなく筋肉ごと影響を受けているようで【硬質化】させた肘から下が一切動かせない。

 手首も指も動かせず、細かな動作が取れなくなるようだ。


 硬度についても俺が期待していた以上の硬度はなさそうで、腕ごと【硬質化】させたお陰で【外皮強化】よりかは僅かに硬くなっているといった程度の硬度。

 ……苦労して手に入れた特殊スキルということもあり、期待しすぎていたこともあるが落胆してしまうな。


 何故これが特殊スキルなのかという疑問はあるが、通常スキルでも能力の差は激しいしハズレを引いたってだけだと思うしかない。

 使えない訳ではないし、気を取り直して次のスキルの試し撃ちに移ろうとしたその時――。


 風に乗って飛んできた落ち葉が、偶然【硬質化】させていた俺の手のひらに乗った。

 特に気にすることもなく、【硬質化】させていないもう一方の手で掃おうと思ったのだが……。


「……葉が硬質化している?」


 予想していなかったことが起き、思わず独り言が漏れ出る。

 偶然手のひらに乗った落ち葉は、俺の【硬質化】の影響を受けてカチカチに硬くなっていたのだ。


 使い勝手の悪い【外皮強化】だと思っていたが、本来の能力はこっちだったのか!

 自分だけでなく、他の物体をも硬質化させることができるスキル。

 

 こうなってくると、微妙だと感じていたスキルの評価が大幅に変わってくる。

 一度【硬質化】を解くと、手のひらに乗っていた落ち葉も元へと戻り、次は新たに鋼の剣を握って再びスキルを発動させる。

 

 剣にも【硬質化】の影響を及ぼせたら強いと思ったのだが、元々硬い物質だと硬質化しているのかどうかの判別がつかないな。

 ただ落ち葉のこともあるし、確実に【硬質化】の影響しているだろうから、強敵と戦う時は剣や盾にも【硬質化】を使って戦おう。


 続いて気になったのは、【硬質化】のスキルが影響を及ぼせる範囲。

 視界に取らえていれば【硬質化】できるのなら、また違った使い方もできるからな。


 敵の足を硬質化させて動きに制限をかけてみたり、味方に【硬質化】を使って守備強度を上げるような使い方もできる。

 色々と想像が膨らんでいたのだが……色々と試した結果、俺が直接触れていないと効果は発動しないということが分かった。


 流石に高望みしすぎていたが、触れるものを硬質化させるというだけで十二分に強力なスキル。

 たまたま飛んできた落ち葉に感謝しつつ、今度こそ次の特殊スキルの試し撃ちに入ろうと思ったが、また一つ試してみたいことが思い浮かんでしまった。


 フクロウの魔物を捕縛した時にも使った【粘糸操作】のスキル。

 直接触れた物体も硬質化させることができるのは分かったが、はたしてスキルで生み出したものはどうなのか。


 【粘糸操作】のスキルを発動させ、少し離れた木に付着させる。

 それから付着させた粘糸に【硬質化】を使ってみると……俺の手から真っすぐに伸びたは糸は、落ち葉同様カチカチに硬質化していた。

 

 一度【粘糸操作】を解除してから、次は最初から【硬質化】を発動させながら粘糸を飛ばしてみることにする。

 木に向かって攻撃するつもりで、腕を振りながら【粘糸操作】を発動させると――手から放たれた鉄のような糸は凄まじい速度で木まで飛んでいき、太い幹を抉り取るように深く突き刺さった。


 ……これは実戦でも使えるかもしれない。

 【粘糸操作】を手に入れた時はこんな使い方を想像もしていなかったが、攻撃手段としても使えて、敵が対応してきたら粘糸で搦め手としても使える万能スキルへと変わった。


 これでも十分すぎる化け物スキルへと変わったのだが、後一つだけ気になることがある。

 スキルも硬質化させることができるの分かったが、【粘糸操作】で付着させたものを硬質化させられるかどうか。


 突き刺した木から糸を外してから、足元に落ちている先ほどの落ち葉に粘糸を付着させる。

 そして粘糸を付着させた落ち葉に【硬質化】を発動させてみると――手で直接触れていなくとも落ち葉はカチカチに固まった。


 よく分からんが、俺のスキルで生み出したから体の一部として扱われているということなのだろう。

 実験は大成功で、粘糸を付着させたものなら硬質化させられるという事実は戦術の幅を大きく広げることができる。


 【硬質化】の鍵は【粘糸操作】と言っても過言ではないし、【粘糸操作】の扱いに長ければ長けるほど様々な戦い方ができる。

 特殊スキルのポテンシャルの高さに驚かされつつも、上手く使いこなせた時に俺は更に数段強くなることができるという確信が持てた。


 【硬質化】だけをみても未知の部分が多すぎたし、スキル一つ一つ説明書でもあればいいのだが……こればかりは自分で試して見つけていくしか方法はない。

 【硬質化】の試し撃ちはここまでにし、今度こそ二つ目の特殊スキルの試し撃ちへと移るとしようか。



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― 新着の感想 ―
特殊スキルの有用性は悪魔の実クラスだな… そりゃ「食ったら死ぬ」と言われるリスクがある筈だわ。 クリス「ゼハハハハ!」 ラルフ「あいつの身体は異形だからな」
[一言] ドフラミ○ゴ?(笑)
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