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第264話 複合攻撃


 嫌な気配のする方向へと進んで行き、魔物をスキルで感知できる範囲まで近づいた。

 早速【生命感知】で索敵していくが……やはりこれだけの嫌な気配を放っているだけあり、相当高い生命力を持っている魔物。

 

 ただタコの魔物とは違い、この魔物は生命力よりも魔力の方が圧倒的に高いようで、膨大な魔力を持っていることが分かった。

 相当な生命力を持っていて、膨大な魔力も保有している魔物。

 倒すのに手こずるのが目に見えているハイスペックな魔物だが、魔法主体の戦闘スタイルならばタコの魔物ほどの苦戦を強いられることはなさそうだ。


「敵を感知したが、読み通りかなり手強そうな相手だな。生命力もそこらの魔物とは比にならないものを持っていて、特筆すべきはそんな生命力を凌駕する膨大な魔力。ラルフとヘスターに分かりやすく例えるなら、デッドリッチーの二倍の魔力を持っているカルロって感じだ」


 実際にいうとカルロよりは若干低いが、誇張して伝えた方がより警戒して挑むだろうからな。

 尻込みされたら逆効果だが、二人に限っては心配いらないはず。


「なんじゃその化け物!! 本当に倒せるのかよ!」

「デッドリッチー以上の魔法を使ってくるカルロってことですよね? 正直、倒せるビジョンが浮かばないのですが……」

「ん? でも、魔法ならクリスが無効化することができるよね? 私の魔法を無効化させたみたいに」


 俺の意に反して二人共に一瞬だけ尻込んだ様子だったが、ミエルの一言で目に自信が戻ったのが分かる。

 そう。魔法主体の敵であれば、俺がその魔法を防ぐことができる。


 複数相手では対処が難しくなるのだが、反応を見る限りは一匹のみ。

 俺が【アンチマジック】を完璧に決めるという前提ではあるが、タコの魔物よりも戦いやすいのは間違いないのだ。


「そう、ミエルの言う通りだ。一対一ならば、俺が魔法を無効化させることができる」

「そういえばそうだった! てことはよ、カルロぐらいの強さの魔物と戦うだけって話だろ! なら、いけんじゃねぇか!?」

「……ですね。私達もあの時より強くなりましたし、今回はミエルさんとフェシリアさん、それにスノーもいますもんね」

「よし。二人も倒せるビジョンが見えたみたいだし、この気配を放つ魔物退治と行こう。ミエルとフェシリアも準備はいいか?」

「ええ。いつでも大丈夫ですよ」

「私も覚悟は決まってるから大丈夫」


 二人のあっさりとした言葉にも頼もしさを感じつつ、陣形を組んでから俺達は一気に距離を詰めにかかった。

 嫌な気配を放っていた魔物は、タコの魔物とは違って洞窟内を徘徊しておらず、洞窟の開けた場所のど真ん中に鎮座し微動だにしていない。


 俺達に気づいていないのかとも一瞬思ったが、魔力が揺らめいているを感じ取れるし、その開けた場所に踏み入れた瞬間を狙って攻撃を仕掛けようとしているのが分かる。

 【アンチマジック】をギリギリまで隠し、致命傷を与えられるタイミングで初めて見せる――そんなプランも考えていたが、これは初っ端から切らざるおえないだろうな。


「見えたぞ。真正面にいるのが例の魔物だ」

「常人には見えないんだよ! 魔法を放ってきたら口頭で教えろよな!」


 嫌な気配を放っていた魔物は、俺が想像していた姿とは少し違った外見をしている。

 てっきりデッドリッチーのような、魔法使いみたいな見た目の魔物だと思っていたが、開けた場所のど真ん中で座っているのは人型の甲虫のような魔物。

 

 人型のタコに続き、人型の甲虫。

 この洞窟に生息する強い魔物は、決まって人型の見た目をしているのかもしれない。


「正面の魔物は人型の甲虫みたいな姿をしている。そして、魔力を額から生えてる剣みたいな一本角に集めているな」

「額の角に魔力を集めている? ただの魔法じゃないってことよね?」

「多分だがそうだ。魔法じゃなければ俺の【アンチマジック】は意味をなさない。急だが陣形を先ほどまでのものに戻すぞ」


 魔物の姿を見て、普通の魔法を使ってくるタイプではないと判断した俺は、ラルフとスノーが前衛、ヘスターとミエルとフェシリアが後衛、魔法を打ち消すだけの役割の俺が後衛の更に後ろに隠れるという陣形から……。

 先ほどまでと同じ、俺を前衛に加えた前衛三枚後衛三枚の陣形へと戻すことにした。


 即席パーティでは急な作戦の変更はタブーだが、流石に魔物の外見が近接が得意な見た目すぎる。

 俺も前衛に加わり、攻撃を捌く役割に徹した方が安定すると俺は判断した。


「来るぞ。斬撃と魔力の攻撃だ」


 俺の咄嗟の読みは当たっていたようで――俺達が開けた場所へと踏み込もうとした瞬間を狙い、人型甲虫は頭を振って額の角に溜めた魔力を飛ばしてきた。

 斬撃に纏わりつくように覆われた大量の魔力。

 斬撃魔力複合攻撃とでも呼べるその一撃に、隣に立つラルフが一瞬戸惑った様子を見せたものの、俺達の一歩前へ出て盾を構えた。

 

「【神の加護】」


 ラルフがスキル名を叫ぶと共に金色の光がラルフの体を包み、その輝く光が盾に集結。

 人型甲虫が放った斬撃魔力複合攻撃とラルフの輝く盾が激しく衝突し――。

 大量の魔力を帯びた斬撃は、神の手によって打ち消されたかのように消滅した。


お読み頂きありがとうございます!

七月から連載がスタートし、約半年間ありがとうございました <(_ _)>ペコ

読者の皆様のお陰で書籍化+コミカライズ化が決定し、今も発売に向けて裏で動いております!

よりよいものをお届けできるよう誠心誠意執筆しておりますので、書籍版コミカライズ版も発売したらどうぞよろしくお願い致します。


そしてweb版なのですが、今年の投稿はこの話にて終了となります。

次話の投稿は1/2からとなりますので、どうぞ完結までお付き合い頂ければ幸いです!

来年も引き続きご愛顧いただきますよう、よろしくお願い致します。

どうぞ良いお年をお迎えください。

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― 新着の感想 ―
[良い点] とても面白いと思います。 [気になる点] 初っ端から切らざるおえない←〜せざるおえないではなく、〜せざるを得ない、です。前にも同じ間違いがあったので気になりました。
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