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第226話 新たな拠点探し


 沼地エリアを引き返してから、拠点へと戻ってこれたのは夜遅く。

 すぐにでも眠りにつきたい体をなんとか動かし、体を綺麗に洗い落としてから昨日は眠りについた。


 正直、東エリアは想定以上に危険な場所だった。

 沼地というよりも水没林って感じだったし、更に奥に進んだら川と呼べるくらいの水量になっていたはず。


 ヘンジャクの情報と相違はあるものの入口は確かに沼地だったし、進むにつれて水量が増えるなんてのは、あの危険生物しかいない沼地を突き進まなくては知り得ない情報。

 他の情報と照らし合わせても近年の間に水量が増えた可能性も否めないため、ヘンジャクを責めることは一切できない。


 ただあの水没林の先には、ロザの大森林で一番気になる洞窟があるんだよな。

 洞窟自体本当に存在するのか分からないし、存在していたとしても水没している可能性もあるが……。

 スキルの実が存在する可能性が少しでもあるのであれば、調べに行かないという選択肢はない。

 今は探索する手段を思いつけていないが、ラルフやヘスター達の助言も貰いながら考えていくつもりだ。


 とりあえずロザの大森林東エリア探索は後回しとし、今日からは西側の探索に向けての準備を進めていきたいと考えている。

 東は言わずもがな水没林の危険エリア、北は魔人やら人食い族やらの危険な人種がいるとの話。


 となると、比較的安全に探索できるのは現在いるロザの大森林の南エリアか、西エリアのみとなってくる。

 南エリアも十分に探索したとは言い切れないが、活動範囲をとにかく広げたいため西エリアにも着手していきたい。

 そして西エリアの探索を行うに当たり、第一に必要となってくるのはやはり拠点だと思う。

 

 ロザの大森林はとにかく広いため、移動だけで相当な時間を食ってしまう。

 昨日だって、東エリアの探索自体は二時間ほどしか行っていないのに、移動時間で往復十数時間も使ってしまった。


 仮にあの沼地で大怪我を負っていたとしたら、確実に拠点までは戻ってこられなかっただろうし、拠点に戻れないとなると真っ暗闇の森の中で一夜を過ごさないといけない。

 魔物がうじゃうじゃといる中、手負いの状態で視界も最悪。

 そんなリスクを常に追っていたら、いつ命を落としてもおかしくないからな。


 とりあえず、ロザの大森林南エリアの東西南北に拠点を一つずつ作るつもりでいて、今回の探索期間中に南エリアの西に拠点を作ろうと考えている。

 そうと決まれば早速、紐などの拠点作りに役立ちそうな荷物だけ持って西側を目指して歩いて向かおうか。

 


 エッグマッシュが自生している場所の更に先へと進み、俺は南エリアの西側へとやってきた。

 この辺りで良い拠点を作りたいのだが、やはり土台となる場所を見つけなければならない。


 オークの巣はいまいちだったため、原点でもあるペイシャの森に作った拠点のような場所を探していく。

 雨風を防ぐことができ、周囲から目立たない場所。


 魔物には気を付けつつ、目を凝らして拠点にするのに向いていそう場所を探っていると――中々に良さそうな洞穴が目に入った。

 中から魔物の気配はないし、余程変なものがない限りあそこの洞穴を第二拠点とするのはアリだな。


 索敵スキルに加えて、俺は【深紅の瞳】のスキルを発動させる。

 昨日東エリアの探索から戻ってくるとき、暗い夜道をなんとかしようとして偶然発見したのだが、【深紅の瞳】は暗い場所で周囲を見通すことができるようになるスキルだった。


 明るい時間帯に使うとただ視界が真っ赤に染め上がるだけだが、夜や洞穴といった暗い場所では視界がハッキリと映り、かなり有効的なスキルだということが判明した。

 ただ以前試した通り、スキルの燃費は非常に悪く体力の消費が激しいため、適材適所で使っていかないと体力切れを引き起こしてしまうのが難点。


 ――と、【深紅の瞳】の新たな発見についてはさておき、洞穴の中の確認へと急ぐか。

 【深紅の瞳】のお陰ではっきりと見える洞穴を進み、中の様子を確認したのだが……洞穴の中心部で丸まっている黒い巨大な塊が転がっているのが見えた。


 生命反応に引っかからなかったから安心し切っていたが、この黒い塊は確実に魔物で大きさから判断して相当デカイ。

 更に目を凝らして確認してみると、塊のからは何十本もの細長い足が飛び出ており、その正体が巨大なムカデの魔物だということが分かった。


 大量の卵をお腹に抱きかかえているようで、その卵を守るために丸まっている様子。

 生命反応を感じなかったのは、エネルギーを極力消費しないよう仮死状態になっていたかららしく、洞穴に足を踏み入れてからは侵入してきた俺に気がついたのか、少しずつ巨大ムカデから生命反応を感じるようになってきた。


 無数にある足を一本ずつ動かし、抱きかかえた卵を守ろうと臨戦態勢を取り始めた巨大ムカデ。

 俺としてはわざわざこの巨大ムカデと戦ってまでここに拠点を作ろうとは思っていなかったのだが、このまますんなり帰して貰えるとは思えないし……。

 戦わなくてはいけないのであれば、返り討ちにしてここを拠点として使わせてもらうか。


 昔は虫が大の苦手だったし今も見た目に対して軽い拒否反応は出るが、ペイシャの森でその苦手意識もかなり克服できた。

 栄養として洞窟の変な虫を食らったくらいだし、この巨大ムカデや卵を食えと言われたら嫌悪感はあるものの戦うくらいじゃなんとも思わない。


 俺は腰に差してある鋼の剣を引き抜き、今にも飛び掛かってきそうな巨大ムカデの魔物に剣を向ける。

 ほんの少し前まで仮死状態だったため、生命反応から戦闘力は推し量れないのは痛いが、全力で戦えば問題なく倒すことができるはず。

 気合いを入れて、巨大ムカデ狩りと行こうか。

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