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第221話 久しぶりの再会


 ミエルとの話し合いを終えた日から、約二週間が経過した。

 この二週間は当初の予定通り、金を稼ぐために依頼をこなす日々を過ごしており、依頼だけに打ち込んだ甲斐もあってしっかりと金を稼ぐことができた。


 そして今日からはまた二週間の自由時間となっているのだが、流石にロザの大森林へと足を運ぼうと考えている。

 前回は【アンチマジック】習得のためロザの大森林へ赴くことができず、前回の探索から一ヶ月以上も期間が空いてしまった。


 拠点の様子も気になるし、オークキングのオンガニールも気になる。

 ヘンジャクから貰った情報の調査もしたいし、依頼に打ち込んでいる間もロザの大森林へ行きたくてうずうずとしていた。


 そうと決まれば早速準備を整え、ロザの大森林へ向かう――と言いたいところだけど、その前に今日はとある約束をしている。

 ヘスターを『マジックケイヴ』へ、ラルフをダンジョンへ行くのを見送った後、俺は一人で北の平原へとやってきた。


 ちなみにだが、ミエルからの連絡は未だになく王都に帰るという報告もなかったため、王女パーティはダンジョン攻略を再開したと見ていい。

 俺が待ち合わせをしているのがミエルではないということは、残るは一人しかおらず……。


「よう! 久しぶりだな、クリス!」

「ああ、久しぶり。ボルス」


 そう。一時的に急増パーティを組んでいた人物である、もじゃもじゃヘアーのボルスと待ち合わせしていた。

 本当は【アンチマジック】を習っている途中で会う約束をしていたのだが、思いの外習得に時間がかかってしまったため、キャンセルして今日に日にちをズラしてもらったのだ。


「どうなんだよ最近は。上手くいってるのか?」

「ボチボチってところだな。ただ、ボルスが色々と紹介してくれたからエデストルには大分慣れた」

「そりゃ良かったぜ! そういえば、『ガッドフォーラ』の婆さんがお前を探しているって聞いたぜ? 俺だけじゃなくそっちにも顔を出していないんだろ?」


 『ガッドフォーラ』の婆さん……。

 確かにポーション制作の依頼をしたまま、長いこと放置してしまっている。


 俺が考えていた予定では先々週にロザの大森林へと赴いた際、新たなジンピーの葉を採取してポーションを受け取ると同時に採取したジンピーの葉を渡そうと考えていたのだが、二週間ズレてしまったせいで待たせている状態となっている。

 二度手間になるし、今すぐに必要な物ではない。

 金も前払いしてあるし、やはり受け取るのはロザの大森林から戻ってきてからいいと思う。


「多分依頼したポーションが完了したんだと思う。大分期間を空けてしまっているからな」

「へー、早速活用したんだな! 店に行かなくていいのか?」

「予定が立て込んでてな。やることを終えてから向かう予定ではある」

「そうかい。ま、俺はどっちでもいいんだけどよ! 婆さんが探していたってのはしっかり伝えたぜ? それじゃ世間話はここらへんにして……早速始めるか」


 わざわざボルスとこうして会ったのは世間話をするためではなく、以前話していた手合わせを行うため。

 久しぶりの会話も程々に、もう始めるみたいだな。


 正直、ボルスと俺では圧倒的に俺の方が強いと断言できる。

 それでもこうして手合わせの約束を取り付けたのは、ボルスから学べるものがあると直感的に思ったから。

 ……まぁ改めて見るとただのおっさんにしか見えないし、勘が外れている可能性は多いにあるだろうけどな。


「ルールとか決めるのか? それともただの打ち合うだけか?」

「そうだな……。簡単なルールだけ決めておこうぜ! クリスが潔く負けを認められるようによ!」

「ルールについては任せる。……あと、俺は絶対に負けない」

「この世に絶対ってのはねぇんだよ! ルールは簡単だ。先に有効打三発かノックアウトを決めた方の勝ち。単純明快だろ?」

「了解。そのルールでいこう」

「それじゃ、周囲の魔物には気をつけつつ始めようぜ。好きな方の木剣を持ってくれや」


 俺はボルスが持参した木剣を適当に選び手に取った。

 ……木剣は懐かしいな。この独特の感触のせいで、嫌でも親父に指導されていた日々が頭を過る。


 俺は大きく深呼吸をし気持ちを落ち着かせてから、残った木剣を手に取ったボルスと向かいあう。

 構えは以前見た時と同じでオーソドックスな構え。


 戦い方も基本に忠実だけど何故か強いというのが、ボルスの戦いを見て抱いた俺の感想。

 今回の手合わせは勝敗よりも、その何故強いと感じたのかを探りたいのだが……ボルスには絶対に負けたくないと思ってしまっている。

 一度でも負ければ、一生言われ続けると思うしな。


「こっちはいつでも大丈夫だ」

「了解。んじゃ、始めるぜ? 覚悟しろよ!」


 その言葉と共に、ボルスはゆっくりと距離を詰めてきた。

 さっきまでのヘラヘラ顔ではなく、殺気すら漏れている真剣そのものな表情。

 この切り替えの早さもボルス特有のものな気がする。

 

 俺は【知覚強化】のスキルだけを発動させ、戦闘スキルは使わずに素の状態で戦う。

 最近はスキルを使った状態に慣れさせるという意味もあって、弱い魔物相手にでもスキルを使って戦っていたのだが、今回の手合わせは【知覚強化】のみで戦う予定。


 スキルを使わないといっても、有毒植物で底上げした能力はミスリルランクと比べても遜色はないだろうし、プラチナランクのボルス相手なら圧倒できる。

 技術面に関しても、ボルスに長年の経験があろうとも俺は幼少期から対人の剣術を叩き込まれてきた。

 

 決して見下している訳ではなく、対等な目線で見て俺の方が上。

 俺はそう断言できる力量差があると思っていたのだが……。

 戦闘が始まってすぐにその考えが甘かったと痛感させられることになった。


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